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久しぶりにエピジェネティクスー原因不明の好酸球性副鼻腔炎 [原発問題・ホットパーティクル]

今日見たネットニュースの記事で気になるものがあったので、ちょいと考えてみました。

こちら朝日新聞デジタル

副鼻腔炎に手ごわい型 増える患者 抗菌薬、効きにくく
2015年10月27日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12036460.html?rm=150
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大阪府羽曳野ログイン前の続き市の弓場啓佑さん(70)は、20代の頃から、ひどい鼻づまりに悩まされてきた。とくに就寝時は呼吸が苦しくなって寝付けず、睡眠不足になることもしばしば。花粉症などアレルギー性の病気にもかかることが多く、日常生活でも我慢を重ねてきた。
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福島で特に多いというわけでなく、事故前からあった病気です。ただ原因不明ということと、好酸球はウィキペディアによると
「白血球の一種である顆粒球の1つである。正常な末梢血でみられるのは成熟型で、普通染色標本でみると、エオジン親和性の橙黄色に染まる均質・粗大な顆粒(好酸性顆粒)が細胞質に充満し、核は通常2分葉で細いクロマチン糸でつながれ細胞周縁に偏在し、細胞の大きさは好中球に比べてやや大きく、直径10~15μm。肥満細胞から出されるIL-5によって活性化する。
好酸球数は白血球の0.5~13%を占める。」
とあります。白血球とクロマチンで、やはり放射性物質との関連性、エピジェネティクスが気になりました。

 そこで検索してみますと

http://jja.jsaweb.jp/am/view.php?pubdate=20150425&dir=2015s&number=15s_poa006P6-5

P6-5.好酸球性副鼻腔炎鼻茸に対するエピジェネティックス研究

二之宮貴裕1), 野口恵美子2), 徳永貴広1), 意元義政1), 藤枝重治1)
福井大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学1), 筑波大学遺伝医学教室2)

なるものに行きあたりました。
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【目的】好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は気管支喘息を高率に合併し,末梢血中および鼻茸組織中に好酸球の増多が認められるが,その病態については明らかではない.本研究では患者の正常鼻粘膜と病的鼻茸について,RNA-seqとクロマチン免疫沈降法(ChIP)を行い,正常組織との変化を比較することにより,鼻茸組織中における「DNA配列の変化を伴わない,後天的な修飾により遺伝子発現の制御(エピジェネティック)」についての解析を行う.【方法】ECRSおよび非慢性副鼻腔炎(non ECRS)の鼻茸を対象とし,まずRNAの抽出を行い,RNA seqを行うことで,新規転写配列の検索,遺伝子発現量の定量を行う.また,同検体からホルムアルデヒドでの蛋白質のDNAへの固定化,クロマチン免疫沈降反応で得られたDNAを次世代シーケンサーで解析を行う.これにより疾患関連の遺伝子発現の制御を明らかにする.【結果】2013年9月から2014年11月までの期間に当科で鼻内内視鏡手術を行い,試料の採取に同意が得られた89例のうち,ECRSと診断されたものは20例であり,non ECRSと診断されたものは17例であった.このうち,3例ずつの症例についてChIP-seqならびにRNA-seqを用いたエピジェネティック研究について合わせて報告する.

第64回日本アレルギー学会春季臨床大会 2015年5月開催
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これだけ見てもなんのこっちゃわからんのですが、エピジェネティクスが原因究明に一役買うのは間違いなさそうです。
 もうひとつタンパク質との関係
http://homepage1.nifty.com/jibiaka50/hukubikuukousankyuuzoutasei.htm
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体中の好酸球が活性化を起こしECP(eosinophilic casionic protein)、MBP(major basic protein)EPOなどの「組織障害性の好酸球由来の顆粒タンパクが喘息における気道上皮と同様に副鼻腔上皮を破壊して、粘液分泌亢進が生じて、炎症状態が持続、難治化する」疾患です。むしろ「アレルギー性疾患」というより「全身性疾患」でしょう。
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上皮細胞を破壊してしまう働きを持つ顆粒タンパクの正体も解明されてくるものと思われます。
好酸球性副鼻腔炎患者が増加傾向にあること、場所がホットパーティクルが留まりやすいところであることなどから、原発事故との関係を疑ってみてもおかしくないと思います。
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低線量被ばくでも発がんリスクが高まるとする、国際的な研究成果:津田先生のコメント [原発問題・甲状腺がん]

今週は時間がないのですが、これは重要につき記事にさせていただきます。

新聞記事にもなりました、100msv未満の被ばくでの発がんリスクの上昇についての発表ですが、津田先生が公式にコメントをしておりましたので、紹介します。

http://smc-japan.org/?p=4216

専門家コメント
低線量被ばくでも発がんリスクが高まるとする、国際的な研究成果

低線量被ばくでも発がんリスクが高まるとする、国際的な研究成果:専門家コメント
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アメリカやスペインを含む国際的な研究チームは、原子力産業の放射線業務従事者が受ける低レベル放射線の被ばく量が増加するにつれて、労働従事者の発がんリスクが高まったとする研究成果を発表しました。これまでは、低線量被ばくよりも高線量被ばくの方が危険度が大きいとされていましたが、今回の研究では発がんリスクは同程度であるとしています。論文は10月21日付けの The BMJに掲載されました。本件についての国内外の専門家コメントをお送りします。
翻訳は迅速さを優先しております。ご利用の際には必ず原文をご確認ください。
【参考リンク】
David B Richardson , et al, "Risk of cancer from occupational exposure to ionising radiation: retrospective cohort study of workers in France, the United Kingdom, and the United States (INWORKS)", The BMJ, Published 20 October 2015
http://www.bmj.com/cgi/doi/10.1136/bmj.h5359
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津田 敏秀 教授

岡山大学大学院環境生命科学研究科 人間生態学講座
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本論文で紹介されているINWORKS STUDYは、これまでにも多くの知見をもたらしています。たとえば、Lancet Haematologyで発表した論文では、「放射線被ばくによる白血病の発症リスクは、蓄積曝露(曝露した放射線の積算量)と相関がある」と結論づけています。つまり例えば、「毎年20mSVずつ5年間、放射線を浴びた場合の発がんリスク」と「原爆のように一度に100mSVを浴びた場合の発がんリスク」は、ほぼ同じであるとしたのことが分かったのです。これにより、ICRPによる「低線量被ばくの発がんリスクは半分に割り引く」という主張*は根拠がなくなったことになります。さらに今回は、白血病だけでなく、すべての固形がんでも、同じようなことがあてはまるとしました。
医療被ばくの場合は被ばく線量を正確に計測できますが、原爆投下13年後から始まった広島・長崎の追跡調査では個人の被ばく量が正確に特定されていません。今回の研究では、そのようなあいまいな点はかなり排除されています。たとえば、個人のモニタリングデータは会社の記録から利用でき、個々人の外部被ばく推定量が大腸被ばく線量として推定されています。内部被ばくや中性子線の被ばくに関する情報も得ています。また、大きな発がんへの影響のある喫煙など、交絡要因の可能性のある要因に関しても、丁寧な分析と考察が行われており、非常に精密で凝った研究だといえるでしょう。今後、INWORKSでは、放射線被ばくによるあらゆる健康影響について定量的に求めようとしており、その成果にも期待しています。
日本国内では2011年ごろから、「100mSv以下の被ばくではがんは発生しない」、もしくは「発がんしたとしても、放射線被ばくが要因であるかどうかは不明」との認識が出てきました。私はこの認識は医学的に誤りで、誤りの根拠も明確ですだと考えていますが、今回の論文によって、誤りであることがさらに確実になったはっきりしたと思います。福島では、今でも誤った認識に基づく政策が続いています。今回のような医学的根拠に基づく政策を再構築すべきだと考えます。

*ICRPによる「低線量被ばくの発がんリスクは半分に割り引く」という主張
低線量被ばくによる発がんリスクの増加は、広島・長崎の原子爆弾の被ばくデータから得られた高線量被ばくの半分とするというもの

(参考リンク)
放射線の人体影響については様々な議論が続いています。

岡山大学チーム原著論文反応に対する津田教授の応答
http://fukushimavoice2.blogspot.jp/2015/10/blog-post_19.html
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 まだまだ福島は帰還なんてとんでもないところで、もっと状況を見極めていかなければ安心などできないし、再稼働をしているところも川内は2機同時にメルトダウンすれば、とんでもない事故だし、伊方なども1機だけであっても、電源喪失して水素爆発が起きれば、ホットパーティクルと言えるセシウムボールは形成されるのであって、これが人体に与える影響が解明されない限り、再稼働などもってのほか。
 とにかくアベは早く辞めろ!!
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中村知事は同意をするな!!-「事故が起きたら死ぬのを待つしかない」。(再掲) [伊方再稼働反対]

中村愛媛県知事の伊方原発再稼働同意がカウントダウンに入ったようです。
前に一度書いたと言うか、新聞記事を引用したものがありましたので、今回手抜きで申し訳ありませんが、知事の最終判断に対する意思表示として再度掲載させていただきます。


伊方原発:岬の住民、避難に不安…3号機「合格」 
http://mainichi.jp/select/news/20150520k0000e040211000c.html

四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に向けた安全対策が20日、事実上の「合格」と判断された。しかし、原子力規制委員会の安全審査は巨大災害や大事故の際に被害を最小限に抑えられるかを見るもので、住民の避難計画の実効性は問われない。伊方原発は細長い佐田岬半島の付け根に立地する特異な地理条件で、半島の先には約5000人が暮らす。住民の不安は大きい。

 ◇特異な地理条件

 「事故が起きたら死ぬのを待つしかない」。伊方原発の西約20キロ、伊方町三崎地区で物販会社を営む長生(ちょうせい)博行さん(48)はため息をついた。原発の西約5キロの瀬戸地区に住む漁業の男性(78)は「事故が起きないと信じるしかないやろ」。

 四国西端の佐田岬半島は東西約40キロ。佐田岬半島の幅は極めて狭く、斜面を切り開いた細い道路も多い。

 原発事故時、半島西側の住民は、陸路避難の「出口」を塞がれる。愛媛県や伊方町の避難計画は、対岸の大分県などへの海路避難やヘリでの空路避難を盛り込む。

 しかし、県の試算では半島住民が30キロ圏(緊急防護措置区域=UPZ)外へ船で出るのに、三崎港発着のフェリーで16時間半、海上保安部などの応援を得ても4時間半かかる。

 南海トラフ巨大地震では最大13.7メートルの津波が三崎港を襲うとされ、海からの救援は極めて困難だ。ヘリは輸送人員が限られる。【橘建吾、渕脇直樹】

手抜きにはなりますが、新聞記事でいいのがあったら本記事にさせてもらいます。
ちょっと時間節約ですんません。

手抜きのままではいけないので前のコメントから
地震調査研究推進本部 トップ>中国・四国地方>愛媛県
http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/chugoku-shikoku/p38_ehime.htm
まさに活断層銀座ですね。
p38_ehime_s.jpg
南海トラフの確率からすると、中央構造線のがえらい低いのですが、
愛媛地震.png
「この他、1854年の安政南海地震の2日後にはM7.4の地震が豊後水道付近に発生しました。南海地震による被害と区別し難いのですが、県西部はさらに被害を受けたと考えられます。」
これは、南海トラフ、中央構造線連動型でしょう。


結局 アベが一番悪い。避難計画に合理性などないのです。だれも未来を的確に予想などできない。
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東京理科大院生の研究受賞-1号爆発によるセシウムボール [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

ちと今月は時間がなくなってきたので、今のうちにあとひとつだけ記事を書いておきます。
といっても、前の記事のコメントで紹介した東京理科大学の大学院生の研究です。
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http://www.tus.ac.jp/today/archive/20150925004.html

本学大学院生が日本分析化学会第64年会ポスター賞を受賞

本学大学院生が日本分析化学会第64年会においてポスター賞を受賞しました。

受賞者 : 総合化学研究科 総合化学専攻 修士課程1年 小野 貴大
指導教員 : 理学部第一部 応用化学科 教授 中井 泉
理学部第一部 応用化学科 助教 阿部 善也
受賞内容 : 2011年3月に発生した東日本大震災に伴う福島第一原発事故により、放射性物質が環境中に飛散した。これまで当研究グループでは、福島第一原発2,3号機由来と考えられる非水溶性の放射性微粒子、通称「セシウムボール」について、大型放射光施設スプリング8においてマイクロビームX線を用いた非破壊の複合X線分析を行い、その詳細な化学的性状を明らかにしてきた。
本研究では新たに1号機由来の放射性物質が飛来したと考えられる原発北部の土壌から放射性粒子を分離し、スプリング8において同様の分析を行った。従来報告されていた2,3号機由来のセシウムボールとの性状比較を行った結果、化学組成に明確な差異が見られた。また化学状態に関しても、ガラス状物質であったセシウムボールとは異なり、1号機由来の粒子では一部の元素が結晶性状態で存在していた。こうした性状の違いは、1号機と2,3号機とで異なる放射性物質の生成・放出過程が生じていた可能性を示唆している。
上記の研究成果についてポスター発表を行い、分析化学における研究として優れたものであるとして表彰された。
発表題目 : 福島第一原発由来の放射性粒子の放射光複合X線分析
受賞日 : 2015年9月9日
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 おそらくこれは、東京理科大学中井教授が科研費を獲得した次の研究の一環だったのではないでしょうか。

https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15H00978.ja.html
放射光複合X線分析による福島第一原発事故由来の放射性物質の特性化

2015年4月1日~2017年3月31日(予定)
研究分野
福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態に関する学際的研究
審査区分
研究種目 新学術領域研究(研究領域提案型)
研究機関 東京理科大学
配分額 総額:3770千円 2015年度:3770千円 (直接経費:2900千円, 間接経費:870千円)

 まだ金額は少ないですが、来年度以降しっかり増額していくのでしょう。ポスター賞の内容で気になったのは、昨年のつくばのセシウムボールでは、ウランが検出されたことが注目を集めたのですが、その成分分析結果はあまり公にされず、1号爆発で、2,3号機とは違った形で形成されたセシウムボールが見つかったと言う点ですね。スプリング8で分析してますので、その結果を合わせて詳細報告してもらいたいものです。

 ウランのことに関しては、これまた昨日コメントに書きましたが、地球化学会の何かのイベントの資料か?
http://geochem.jp/conf/2015/pdf/2D.pdf" target="_blank">http://geochem.jp/conf/2015/pdf/2D.pdf
福島第一原発事故で放出した放射性粒子の特徴

最初のページですが
「粒子の形状は先行研究で報告されている球状に加え、断片状や複数の粒子が結合した構造のものが見つかった。ガンマ線測定で、全ての粒子から134Csおよび137Csを検出し、2 つの異なる Cs 同位体比が観測され、12 日に1号機からも放射性粒子が放出されたことを確認した。構成元素は EDS で Si、O、Fe、Zn に加え、一部の粒子から Cs の存在を確認したが、全ての粒子において Si の割合が突出していた。EDS で Cs が検出限界以下であった粒子は、いずれも 1 号機由来の粒子と判別された。そこで放射光蛍光 X 線イメージングを実施したところ、Cs が粒子内部に不均一に存在する様子が可視化された。
この他、一部粒子から U を検出したが、いずれも特定の部位に局在しており、U は粒子の主要構成元素でないことが明らかとなった。

ここにも1号機が出ますので、ポスター受賞のものと共通の研究のようですね。

「チェルノブイリ原発事故(1986)では、ホットパーティクルと呼ばれる放射性粒子が環境中に放出されたが、それらは核燃料であるウランの断片で、Cs 以外にも様々な放射性核種が検出された。しかし今回観察した放射性粒子は、どれもチェルノブイリ型のホットパーティクルの特徴とは明らかに異なり、福島第一原発事故特有の粒子であると考えられる。」

 チェルノブイリほどの危険性はないといいたげですが、主要でなくてもどのくらいあって、人体への影響はどうなのか、ある程度は発表できる段階にきてるはずなんだが。
 またアベのやつがあれこれ指示を出しているんじゃないだろうな。
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気象研究所は、Csボールの再飛散に注力すると見たが如何に [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

久しぶりにホットパーティクルの話題を。

科研費DBから気象研 五十嵐氏の成果を見つけましたので、引用処理はしませんが、色つけ、改行でいくらか見やすくしておきます。
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放射性物質の大気沈着・拡散過程および陸面相互作用の理解
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/24110003.ja.html

研究概要(最新報告)

1)大気試料の組織的捕集と放射能分析:福島県浪江町津島の高線量率地域(津島地区)にてHV、LV、降水・降下塵サンプラーで観測を継続。HVサンプラーで日毎の試料を得た。分析は気象研、東工大で実施。さらにA04-08班の大阪大と連携し1700試料を分析。
2)放射性エアロゾルの物理・化学・同位体性状と燃焼再飛散解明:茨城県つくば市で2011年3月に得たHVフィルターからIP計測で放射性粒子を抽出し、SEM-EDS等で性状を解明。粒子はFe, Zn, Cs等の元素から構成され、1~数μm径の球状で数BqのCs放射能とサブテラBq/gに達する高い比放射能をもつ。134/137Cs比はほぼ1で事故起源を示す。事故初期の放射性Csには微小で溶解性の高いものに加え、このような不溶性球状粒子もあったことが判明。公募班と連携し、同試料のSPring-8でのXRFイメージング分析で他のFP起源元素も検出。津島地区にてサルフェート、BC、粒径別重量濃度の観測を継続中。35Sの輸送、沈着に関するモデル評価を実施。フィルター試料の金属元素、燃焼指標有機物を分析しCsとの相関を解析。
3)土壌再飛散の解明とエアロゾル大気質量分析:津島地区にて気象観測を継続。エアロゾルICP-質量分析を津島地区で1週間に亘り成功裡に実施。
4)有機物・植物起源粒子による再飛散解明:フィルター試料のイオン成分、水溶性有機物、n-アルカンの分析を実施、Csとの相関につき統計解析を実施。
5)放射性粒子の湿性沈着過程解明:球状Cs粒子の特性を組み込み、高解像度モデルによる沈着量計算を実施、従来のCsエアロゾルの仮定による計算結果と比較。
6)再飛散過程モデル化と輸送・沈着モデルの高精度化:表土粒子飛散メカニズムを組み込んだ1D放射能飛散モデルを構築。一次放出の逆解析をさらに進め、高空間分解能の気象解析データの整備とアンサンブル計算を実施。


現在までの達成度(最新報告)

ここは省略して再飛散のみ

6)「再飛散過程モデル化と輸送・沈着モデルの高精度化」については、表土飛散メカニズムの一次元モデル化と再飛散の長期挙動予測への新規スキームの考案の努力が継続している。

今後の研究の推進方策(最新報告)

 H25年度は、福島原発事故直後の一次放出粒子の性状解明につき、大きな成果を得た。他方、二次放出、すなわち一旦地表面に沈着した放射性核種が再度大気中に放出される過程については、現象が極めて複雑かつ、複数の発生源が存在することが改めて分かった。このため、副課題の構成を以下の通りあらため、観測・解析に支障なきように進捗管理を進める。1)試料組織的収集・放射能分析、2)一次放出、3)二次放出、①表土起源再飛散、有機物・植物起源再飛散、燃焼起源再飛散、②高時間分解能計測、4)大気モデルの精度向上・再飛散過程モデル化。
 なお、福島県浪江町津島地区は依然として「帰還困難区域」であることから、許可等の事務手続きを適切に進め円滑に観測を実施する。また、5,6)「モデルの高精度化」につき担当者の里村京大教授が逝去されたことから、A01-01班から気象研梶野主任研究官を連携研究者とし、さらに班外に別の協力者も得つつ、対応可能とする。
 より効率的な研究進捗を図るため、年度内複数回の班会議を開催し、特に不明点が多い二次放出に関する研究戦略の見直し等を随時行う。さらに、2014日本地球惑星科学連合大会など国内で開催される国際会議、その他の国内各学会への参加・発表を促進することで、論文発表を強く推進し、研究水準の底上げを図る。また、本新学術領域研究全体に関わる出版事業に参画して、広く国民へ成果を公開することに努めていく。なお、毎回の班会議には他研究班からの参加を必ず要請し実現しており、公募班との連携もさらに深まるように努力していく。
 これに加えて、前年度から開始した若手育成事業を今年度も継続し、フィールド観測と実験室での電子顕微鏡観察を有機的に結んだプログラムを実施する。
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 セシウムボールの発表以来注目されていましたが、今年度に入ってからは、さほど新情報もなく、いったいどうなってんだと思ってましたが、調査研究は進んでおりました。東京理科大学のとかもいくらかはあるのですが、目立った情報はなかったので、この気象研の今後の研究を取り上げてみました。
 科研費は国民の貴重な税金使ってますので、是非有意義に使っていただかなければ困ります。結局のところ、セシウムボールの成分分析や、地域ごとの飛散量など、まだ詳細の公式発表はないわけですが、昨年末のNHKのサイエンスゼロで注目を集めましたので、その後なしのつぶてでは困るのです。
 仮にウランが成分的には少ないにせよ、セシウムだけでも不溶性であれば長期間影響が出ます。肺に留まればなおさらです。これから冬を迎えますが、北風も強くなり空気も乾燥しますので、再飛散にはかなり神経をとがらせなければなりません。気象研究所が再飛散対策をするのは当然のことで、十分予算をつけてやるべきで、科研費なんぞに頼らずに、通常予算でやるべきことです。
 最近になって、フクイチ作業員の方の、白血病労災認定や、岡山大学津田教授による甲状腺がんと事故の因果関係を認めた論文発表など、いろいろと進展はあるのですが、原子力村の抵抗はいかんせん強く、再稼働への影響を恐れてか、NHKはもちろんのこと大手マスゴミも抑え込み、広く国民に知らせることをしません。大学や研究機関もいろいろイベントでは発表しているものの、成果を記者会見したりして拡散するようなことはなくなってきましたね。
 まあ、アベのやつがいらんこと指図してるのでしょう。しかし研究には国民の税金が使われているのだから、包み隠さず公開すべきです。アベはいらんことすんな!!
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宇沢先生の「ヴェブレン」に書かれた不在所有制 [ヴェブレン]

 ルソーの記事のコメントで、ヴェブレンとの関係を調べていて出てきた「不在所有制」の問題ですけど、ちとつかみどころのない概念なのですが、持っていた宇沢弘文先生の「ヴェブレン」(岩波書店)でコンパクトにまとめていただいてました。
124ページ
 ヴェブレンは、『不在所有者制』で、近代産業社会においては、生産の諸条件と信用の利用にかんする制度が、不在所有者制によって支配されていると考え、その変貌的、理論的分析が必要となることを強調する。そして、近代的信用制度に依存した不在所有者制が究極的には、近代産業社会の停滞を惹き起こしていることを結論づけようとするものである。
 ヴェブレンは『帝政ドイツと産業革命』で展開された論法をそのまま、不在所有者制の分析に適用する。そして、不在所有者制のもとにおける近代産業社会では、不在所有者は、その掠奪的目的を達成するために、一般大衆の盲目的服従を、神学的 - 形而上学的な根拠にたって、強要する。不在所有者たちの金銭的利益の大きさがそのまま、国民の福祉に反映して現われるという、誤謬もはなはだしい論理がここで援用される。不在所有者制はまた、一般的な経済取引について、さまざまな制約をもうける。そして、このような取引制限から、一般大衆の犠牲のもとに発生する利得はすべて、不在所有者の既得権益に帰するとされている。不在所有者制はまた、愛国心の発現を、資本化の増大と混同させている。
 不在所有者制を廃止することによってはじめて、民主的共和国は、産業の生産手段、方法を共同に利用することができるようになり、すべての市民は、生活、自由、そして幸福の追求という基本的権利が充足されることになるであろう。
 昨日のコメントで出てきた
http://u-air.net/workshop/veblen/absentee-1-2.pdf
では、「(第1次)世界大戦は実に不在者的利害関係の抗争から勃発」とありますので、戦争にまで発展しかねないものをはらんでいるということなのですね。不在所有者と言うのは労せずして富を築く者と言い換えることができ、投資銀行などがこれを助長する。リーマンショックがまさにそうでしたが、第二次世界大戦の引き金ともなったウォール街の大暴落に始まった世界恐慌も、まさにこの不在所有制度が招いたものといっても過言ではないのでしょう。
 ヴェブレンの平和論をつきつめていくとこの不在所有制に突きあたるのですが、この点は以前、県立図書館で借りた「ヴェブレンとその時代」(稲上 毅  新曜社 )、けっこう分厚いのですけど5章の部分だけコピーしていましたので、またの機会に何か書いてみたいと思います。

 アベの考えも、まさにこの不在所有制を助長するようなやり方をしています。1パーセントの利益のために、戦争につながる防衛予算を拡大し、武器、原発を輸出する。中国、韓国を挑発する。アベノミクスの実態も、戦争経済路線がなかったら、国民の福祉に反映できるような立派な内容ではありません。まさに製作者本能に基づいた技術立国日本こそが、世界に誇れるものづくりであったはずです。アベは有閑階級ばかりを相手にしないで、庶民の声に耳を傾けよ!!
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ルソーの言葉 [戦争法廃止]

 ちと先週からチャレンジしてますルソーの本ですが、「人類不平等起源論」はあきらめ「社会契約論」をルソー『社会契約論』(光文社古典新訳文庫 中山元訳)を借りて読んでます。
本文は実質これからなのですが、非常に気になる部分があります。
76ページ
社会契約は、契約の当事者の生命の保存を目的とするものである。目的を達成することを望む者は、そのための手段も望む。この手段には、ある程度の危険はつきものであり、さらにある程度の損害もつきものである。他人を犠牲にしても自分の生命を守ってもらおうとする者は、必要な場合には他人のために自分の生命を与えねばならない。法が市民に生命を危険にさらすことを求めるとき、市民はその危険についてあれこれ判断することはできない。だから統治者が市民に、「汝は国家のために死なねばならぬ」と言うときには、市民は死ななければならないのである。なぜならこのことを条件としてのみ、市民はそれまで安全に生きてこられたからである。市民の生命はたんに自然の恵みであるだけではなく、国家からの条件つきの贈物だったからである。
 この部分は、かなり右寄りの人たちに引用され、左翼批判に使われていますね。そのあたりを紹介してもしかたないので、より客観的な評価と言うことで

市民法学における「市民」と「市民社会」の基礎法学的考察
―ルソー,カント,ヘーゲルの思想との関連で―
篠原敏雄氏
http://jww.iss.u-tokyo.ac.jp/jss/pdf/jss600506_045080.pdf

から引用させていただきます。

19、20ページ(下に書いてるページ数では63、64ページ)
次に,国家に忠誠を誓う「市民」像であるが,この「市民」像は,現代のわが国で軽視ないし無視されてきたものではないだろうか.国家に忠誠を誓う,とか,祖国への愛,とか,国家への献身,とか言うと,直ぐ戦前の軍国主義国家の復活ないし賛美という批判を浴びるのではないだろうか.しかしながら,共同存在性,公共性の中で支えられ,育まれている市民は,普段は市民社会の中で自己の私的利益を追求して日常生活を送っているものの,共同存在性,公共性が一旦危難に陥いる時には,それを守る義務を意識することになる.ルソーの言い方によれば,統治者が市民に向かって「お前の死ぬことが国家の役立つのだ」と言う時には,市民は死ななければならないのである(誤解の無いように,言っておかなければならないが,以上のように言うことは,戦争をしろ,とか,戦争を好んでいる,ということではなく,そのような精神的態度を自覚することが大切だ,ということである).社会契約によって出来上っている国家,機構信託論によって出来上っている国家,においては,市民の生命は単に自然の恵みだけではもはやないのであり,その生命は,国家からの条件つきの贈り物なのである.国家秩序,法秩序によってのみ,市民は安全に生活でき,市民社会において自分の利益を追求できたのである.市民的公共性を積極的に自覚的に市民において意識化することは,それ故,きわめて重要なのである.以上のことをはっきり示しているのが,アメリカ合衆国憲法(1788年)の「前文」である.そこには,こう書いてある.
「われら合衆国の人民は,より完全な連邦を形成し,正義を樹立し,国内の静穏を保障し,共同の防衛に備え,一般の福祉を増進し,われらとわれらの子孫の上に自由の恵沢を確保する目的をもって,ここにアメリカ合衆国のために,この憲法を制定し確立する」(初宿他編『新・解説世界憲法集』(三省堂,2006)).
「共同の防衛」に備えなければならない必要性が,論理的に,市民にはあるのである.すなわち,「祖国の防衛は市民の神聖な義務」なのである.このように言うと,わが国では軍国主義者と言われかねない.しかし,祖国防衛は市民の神聖な義務であると述べているのは,イタリア共和国憲法第 52条第 1項である.現在のイタリアは,独裁国家でも,軍国主義国家でもなく,まさに民主主義共和国なのである.もしわが国において,「共同の防衛に備える」とか祖国防衛ということを理論的に語ることが忌避されているなら,立憲主義・共和主義憲法である日本国憲法の論理は,未だ国民的コモン・センスになっていないのではないか,ということになるのである.
 相変わらず引用文が多いのですが、自分の言葉の割合を上げるのもなかなかしんどいので、おいおい訓練していきます。
 「立憲主義・共和主義憲法」が出てきますね。民主主義を守るための祖国防衛、スイスが永世中立を守るために国民皆兵制にしていますが、あのイメージでしょうか。
 ルソーの主張をすべて受け入れる必要はないのかもしれませんが、長谷部先生の「憲法と平和を問いなおす 」の121ページに「日本国憲法の解釈論としても、第9条が政府による軍備の保持を禁じているにすぎないとの立場をとるならば、ルソーの提案する国民皆兵の民兵組織による国土防衛は、必ずしも憲法の禁ずるところではないとの結論が得られるであろう。」と述べていますので、日本国憲法にも受け入れられる素地はあるということなのですね。このルソーの提案と言うのは「ポーランド政府論」に出ているようです。(なかなかここらはニュアンスをお伝えしにくいのですが、長谷部先生は、常備軍に対するルソーのひとつの概念として皆兵制を紹介しています。これはカントの「永遠平和のために」にも通じるところがあります。)
 この篠原敏雄氏は、次のような興味深い論文も書いておられますね。
 篠原敏雄「自衛隊における法の支配―法務幹部の実際」『法学セミナー』2008年 3月号
 http://www.nippyo.co.jp/magazine/3747.html
ちと手に入りそうにはありませんが、現在は国士館大学の教授のようなので、保守系のお考えの方かもしれません。
 アベのような者がルソーの言う「統治者」であれば「統治者がが市民に、『汝は国家のために死なねばならぬ』と言う」こと自体資格があるとは言えませんし、だれも従うものはいないでしょう。ただ自衛隊員となれば、服務規程などがあり、所属する以上従わなければならない。「統治者」としてふさわしくない者が政治の中心にいる場合、自衛隊員の命を無駄にしないためには、法で守っていくしかありません。その法を作ったり、変えさせないために責任をもって国会議員を選ばなければなりません。
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福島事故後の甲状腺がんの因果関係 [原発問題・甲状腺がん]

サーバが不調なのかコメントを受け付けなくなったので記事にします。
慶大 金子先生のツイッターです。
https://twitter.com/masaru_kaneko/status/651805638352244739

岡山大の津田敏秀教授らのチームが福島の甲状腺癌について「被ばくで発症」と主張する論文を国際環境疫学会誌電子版に発表。http://goo.gl/k35TZ3
愛媛県議会特別委が伊方原発の再稼働求める請願を採択。無反省無責任。
http://goo.gl/ia6f82

で、東京新聞の記事です。あまりカットするところがなかったので、そのまま。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015100601002207.html

「被ばくで発症」と主張 福島事故後の甲状腺がん 
2015年10月7日 16時33分
 東京電力福島第1原発事故後、福島県で見つかっている子どもの甲状腺がんの多くは被ばくで発症したものだと主張する分析結果を岡山大の津田敏秀教授(環境疫学)らのチームがまとめ、国際環境疫学会の6日付の学会誌電子版に発表した。別の疫学専門家からは「結論は時期尚早」との指摘がある。
 研究チームは、福島県が事故当時18歳以下だった約37万人を対象にした昨年末時点までの甲状腺検査の結果を分析。年間発症率は事故前の日本全体と比べ、20~50倍と算出した。さらに福島県内でも地域によって発症率が最大2・6倍の差があった。(共同)

こちらに記者会見の模様が和訳されています。
http://fukushimavoice2.blogspot.jp/2015/10/blog-post.html
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結果:最も高い発生率比 (IRR) を示したのは、日本全国の年間発生率と比較して潜伏期間を4 年とした時に、福島県中通りの中部(福島市の南方、郡山市の北方に位置する市町村)で、50 倍(95%信頼区間:25 倍-90 倍)であった。スクリーニングの受診者に占める甲状腺がんの有病割合は100 万人あたり605人(95%信頼区間:302 人-1,082 人)であり、福島県内の比較対照地域との比較で得られる有病オッズ比 (POR) は、2.6 倍(95%信頼区間:0.99-7.0)であった。2 巡目のスクリーニングでは、まだ診断が確定していない残りの受診者には全て甲状腺がんが検出されないという仮定の下で、すでに12 倍(95%信頼区間:5.1-23)という発生率比が観察されている。

結論:福島県における小児および青少年においては、甲状腺がんの過剰発生が超音波診断によりすでに検出されている。
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疫学は、統計学の手法でデータ分析をしますので、これもあって、統計学を勉強しようと言う動機になっておりました。地震の予知からもあるのですが、以前から津田先生の動きは注目しておりました。

youtubeの動画埋め込みにチャンレンジしましたが失敗。so-netの無料ブログではできないのか?
こちらの動画をお時間のある方はどうぞ。

2014/01/18 【岡山】「年間100ミリシーベルト以下でも、国際的に発がんの有意性は認められている」 ~津田敏秀先生の福島報告会
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/120248

 とにかく医学界を総動員して因果関係なしにしようとしています。自民党が政権に復帰してからが顕著です。民主党の時代には、原爆症認定訴訟で心筋梗塞と放射線被爆との間には放射線量の程度にかかわらず、有意な関連を認めた大阪地裁判決を控訴しませんでした。
すべてはアベが問題です。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c4ce145d3554482eb1facff47b07d3da

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明日のブログ開設1周年向けにと思ったけど、仏滅につき末広がりの8日のうちにアップしておきます。
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南スーダンPKO-憲法学者は駆けつけ警護は”違憲”が多い [戦争法廃止]

 水島朝穂早稲田大学法学学術院(法学部、大学院法学研究科)教授が、雑誌「世界」の2014年5月号に書かれた論文「安保法制懇の『政局的平和主義』」から引用します。
 まだ閣議決定をする前の段階ですが、集団的自衛権のみならずPKOの駆け付け警護まで広範囲に渡って述べられています。
 水島先生は全国憲法研究会代表を務めるなど、エネルギッシュに活躍されています。
http://www.asaho.com/jpn/
まず85ページ
国際社会の非難の対象になり得る」ので、「国際基準に従い」「その場所まで駆け付けて、要すれば武器を使用して仲間を助けること(いわゆる駆け付け警護)」を自衛隊にも認めるべきとする。政府解釈は、自己の生命、身体の危険がない場合にあえて駆け付けて武器を使用するのは、「言わば自己保存のための自然権的権利というべきものの範囲を超える」ので、「国又は国に準ずる組織に対して行うという場合には憲法第九条の禁ずる武力の行使に当たるおそれがある」(二〇二年一〇月二七日参院外防委梶田内閣法制局長官)としている。
 では、報告書が「駆け付け警護」を「国際基準」と断言する根拠は何か。米陸軍の「OPERATIONAL LAW HANDBOOK 2013」はいう。「連合軍の作戦用の交戦規則が一つの文書に記載されていることはまれであり通常、多国籍の軍を構成する各国部隊は、それぞれの国の指揮系統から交戦規則を受け取るのであり、その交戦規則には、国際法や任務などの共通の考慮事項のほかに、当該国の国家的問題、政治的問題、作戦上の問題、国内法が反映されている。参加国は、多国籍軍の交戦規則を円滑に適用するため、当該多国籍軍の交戦規則の自国部隊への適用について注意書きー警告を付することもある」、「連合軍の友軍が別々の国ごとの交戦規則のもとに行動しようと、または一つの多国籍軍用の交戦規則のもとに行動しょうと、国ごとの異なった規則または当該国家の付した注意書き・警告に反映されているその武力を行使する能力には違いがあるだろう」と。
”南スーダンPKO-駆けつけ警護は合憲か?”の記事では、大森元内閣法制局長官の駆けつけ警護への見解を紹介しました。ほぼ合憲という内容になります。今回は違憲の立場からになりますが、憲法学者は駆けつけ警護をどう見ているかと、報道ステーションが行った「憲法判例百選」に執筆している憲法学者に対して行ったアンケートが大いに参考になるでしょう。

憲法学者に聞いた~安保法制に関するアンケート調査の最終結果
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/info/enquete/index.html

ここに水島先生のコメントもありますので、先に紹介しておきます。
早稲田大学法学学術院教授・水島朝穂氏
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/info/enquete/07.html
この法案は、これ以上はないというほどの、徹頭徹尾憲法違反である。そもそも昨年7月1日の閣議決定が重大な違憲行為だった。今回の法案はその具体化にほかならないから、どこかに修正を加えて違憲性を治癒するという可能性はまったくない。直ちに廃案にすべきものである。
参考:拙著『ライブ講義 徹底分析!集団的自衛権』(岩波書店、2015年)
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2015/0601.html
◆ 閣議決定が、集団的自衛権と個別的自衛権が「重なり合っている」部分について限定的に集団的自衛権を認めたものという見解が憲法研究者の一部にある。このアンケートでもそのような意見が見られると思う。「新3要件」に限定した集団的自衛権行使を正当化する議論であるが、これは間違いである。両者は「自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかという一点において、明確に区別されるものであ」り、ある武力行使が個別的自衛権にあたるのか、それとも集団的自衛権にあたるのかは二者択一の関係にあり、両者が同時に成立することはない。これは確立した政府解釈だった(2003年7月15日政府答弁書より)。
参考:http://www.asaho.com/jpn/bkno/2015/0602.html
    http://www.okinawatimes.co.jp/cross/?id=253
◆ そもそも私は日本国憲法9条のもとで個別的自衛権も放棄していると解しており、「必要最小限度の実力の保持は憲法9条に違反しない」という自衛力合憲論を否定する立場である。したがって、今回の法案に対しては根本的に違憲とする立場だが、昨年の『世界』5月号の論文以降、ホームページや拙著を通じて、60年にわたる政府解釈(自衛力合憲論)を閣議決定で覆した、立憲主義に反する安倍政権の狼藉を批判することに重点を置いている。
    http://www.asaho.com/jpn/bkno/2014/0428.html
    http://www.asaho.com/jpn/bkno/2014/0707.html
 なるほど、「自衛力合憲論を否定する立場」とのことで、大森元長官との考えに開きがあるのも止むをえませんが、おおむね憲法学者は駆けつけ警護は、「違憲」か「違憲の疑いあり」で、合憲説は7人、安保法制合憲が3名ですから、わずかに4名増えた程度で、大森元長官の立場に近い人もごく少数であると見られます。

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 コメントをしていただいた学者の方の見解のすべてを読む時間がありませんし、なぜ駆け付け警護は違憲かと言う理由を書いてる方もあまりなさそうなので、水島先生の見解を掘り下げて見て行く以外になさそうです。
 後から気がつきましたが、世界の論文81ページに、自衛隊違憲論には立つが、この論文では政府解釈を基軸に置くと、注意書きされていますので、むしろ中立的な視点で書かれたものと捉えていいのでしょう。
 86ページ
 つまり、参加各国は、各国独自の交戦規則により武力行使の態様に違いがあることを交戦規則の「注意書き・警告」で相互に承知しており、「駆け付け警護」のできない「自衛隊に救援を求めている」事態はそもそも生じないはずである。
この米陸軍文書は、「国家の自衛についての規則は、防護の対象者または対象物に関して異なっていることもありうる。米軍が集団的自衛権の行使や多国籍軍の防衛を行うためには、それに特化した権限が付与されていることが必要であり、このことは、自己または国籍の如何を問わずに他者を防衛する固有の権利を有している他の多国籍軍の立場とは対照的である」とする。
 結局、これは、安保法制懇の報告書の内容に対して反論しているのですが、法制懇は、我が国独自の基準によって武器使用ができない、他国の部隊を救援しないことは常識に反するだの、国際社会から非難される、よって国際基準に従わなければならないと主張するのですが、他国は、日本の憲法を理解しており、日本から派遣された自衛隊員に対して、駆けつけ警護を要請することそのものがない。あえて、憲法上、武力行使に当たる疑義のある行為を、日本の法律を変えてまでする必要はないということです。
 同じ86ページですが       
カナダ政府の「Use of Force for Operations」にも、「カナダ軍は、作戦行動中に、他の交戦していない部隊がカナダ軍の近くにいる場合、適切な交戦規則上の措置が認められている場合に限り、これらの部隊を敵対行為から防護するために武力を行使することができる」とある。米軍もカナダ軍も、交戦規則で特に認められていなければ、「常識に反して」いても、「駆け付け警護」はできない。それが、主権国家の政治的決定を反映した交戦規則というものである。そもそも規定されていない「常識」というのも疑わしい。
 法制懇のいう「常識」というものが、ちゃんと各国の交戦規則を調べて言ってることではないことがよくわかります。米軍であれカナダ軍であれ、「交戦規則で特に認められていなければ」駆けつけ警護は認められず、「国際常識」だけで判断するわけではないのです。もっとも無理やり悪法を作りましたので、政令、省令で「交戦規則」を定めることになり、派遣される自衛隊の部隊も当然、訓練を行うようになる。ただ憲法9条で、「交戦」という言葉は使えない。「武器使用規定」は現存するので、この中に駆け付け警護に基づく武器使用のあり方を定めていくことになるのでしょう。明らかに違憲であれば、これらの武器使用規定を定めると言う行政上の行為を差し止めることも可能なのではないか。ちと、これも詳しく行政訴訟を調べてみる必要が出てきますが、他国のPKO派遣部隊は「交戦規定」に基づいて行動しますが、日本の自衛隊は海外で「交戦」するわけにはいきませんから、独自の行動基準に基づいて諸活動をしても、なんら後ろ指を指されることはないのです。

 今回は深入りしませんが、自衛隊の合憲違憲をめぐる議論をまとめていただいているサイトがあります。
第2編 第9条解釈と自衛隊 健章会・中島 健氏
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7009/mg98x083.htm
なかなか各説ありますね。小林節先生は

●第5説
 これは、(3A)⇒(4B)により、第9条は自衛戦争のための自衛戦力は否定していないとする説(自衛戦争合憲説=芦田説)であり、自衛隊は当然に合憲となる(※図3参照)。つまり、戦力をその主観的目的に応じて認めてもよい、とする説である。この説は芦田均が提唱し、小林節もこの立場をとるが、第2説(通説)の立場からの批判が為されている。

で、合憲です。木村草太さん、長谷部先生は論拠はちょっと違うかもしれませんが、合憲です。したがって、今回マスコミによく出ていた憲法学者は、自衛隊自体合憲ですから、公明党国会議員が、創価学会員説得に使った説明は詐欺と言ってもいい。

 水島先生が、駆け付け警護を「違憲だ」という根拠は、赤い字で書いた、梶田元内閣法制局長官の政府解釈のとおりで、「自己の生命、身体の危険がない場合にあえて駆け付けて武器を使用するのは、『言わば自己保存のための自然権的権利というべきものの範囲を超える』ので、『国又は国に準ずる組織に対して行うという場合には憲法第九条の禁ずる武力の行使に当たる』」と、断定的に確信を持たれているからでしょう。
 首相官邸のホームページにある過去の答弁集ですが、「自己保存のための自然権的権利」という点で探すと
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzenhosyou/dai4/siryou2.pdf
4ページ
「法第十七条による武器の使用は、対応措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官が自己等の生命又は身体を防衛するために必要な最小限の範囲で認められるいわば自己保存のための自然権的権利というべきものであり、また、自衛隊法第九十五条による武器の使用は、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊、奪取しようとする行為からこれらを防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為であって、これらの武器の使用は、我が国領域外で行われたとしても、国家の人的・物的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為である『武力の行使』に当たらない。」
と出てきます。
 PKO等であっても、他の場所にいる他国の部隊を救出するための武器使用は、「自己等の生命又は身体を防衛するために必要な最小限の範囲」は超えるであろうし、「我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊、奪取しようとする行為からこれらを防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為」に該当することはあり得ないので、駆け付け警護が「武力の行使」になることは否定できません。

 さて、水島先生の世界の論文の結びの部分です。91ページ
「『戦争』では必ず人が死ぬ。個別的自衛権以外の武力の行使を認めれば、日本を攻撃していない外国人を殺傷し、それに伴い無事の市民を殺傷する可能性が生じる。実際の戦闘では即死は少ない。腹部を撃たれた場合、腸が出てきてもかなりの時間生きている。五体満足で死ぬとは限らず、手榴弾で機関銃座を吹き飛ばせば、当然死体の損傷は激しい。銃剣で人を刺せば相手の体に銃剣を送り込む感触が手にこびりつく。苦悶の表情を間近で見ることになるし、断末魔の叫び声は耳にこびりつき、返り血も浴びる。精神的後遺症もあるだろう。人間を殺すというのはそういうことなのである」(水島『戦争とたたかうー憲法学者・久田栄正のルソン戦体験』岩波現代文庫、二〇一三年)。
 生々しい表現が出てきます。専守防衛であれ、戦争をするということは、こういうことになるのです。太平洋戦争の経験者は、いやというほどこういうことをしてきました。自衛隊に入るからには覚悟はできているだろう。と。
 しかし、あの戦争の深い反省、懺悔から憲法9条を定め、自衛隊はあくまでも専守防衛で、政府は外交努力により、ぎりぎりまで他国に攻撃をさせないよう政治家も最大限の努力をしてきました。だから自衛隊員は、ほんとうに万一の場合にだけ武器を使用する。そうしなければ国民を守れない時に限り、それこそ「限定的に」行使できるのが個別的自衛権です。
 しかし、戦争知らない世代が大半をしめる安倍内閣は、「積極的平和主義」などという本来の使い方と違う概念をひっぱってきて、従来禁止されてきた集団的自衛権も「限定的」ならゆるされるという強引な解釈により今回の戦争法案を強行採決させた。
 集団的自衛権行使について饒舌に語る政治家たちは、決して「戦場」に赴くことはない。「当然、ベトナム戦争とかボスニア戦争に参加すること、これは集団的自衛権である」(二〇〇一年六月七日参院外防委中谷防衛庁長官)、「集団的自衛権の行使としては、非常に明確なものは、これはアフガンに対する攻撃、いわゆるアフガン戦争の際にヨーロッパの国々が、NATOにおいて定められているこの集団的自衛権の行使を行うということにおいて言わば攻撃を行った」(二〇〇七年五月二二日参院外防委安倍首相)のであるから、もし、自衛隊が海外での武力行使を「不通に」行える軍隊になったならば、日の丸にくるまれた柩が羽田空港に到着する可能性は確実に高まる。
 戦後半世紀もの間、自衛官が海外で「戦死」することは想定されてこなかった。この国は憲法九条で「戦争をしない国」というのが国是であり、自衛隊員は「わが国を防衛するために」、「危険を顧みず」「身をもって責務の完遂に努め」ると宣誓したはずである(自衛隊法施行規則三九条)。米国へのご機嫌取りのため、命を危険にさらす「宣誓」はしていない。
 まさにアメリカへのご機嫌とりのために、自衛隊員の血を捧げる。なんという愚かなことでしょう。
 新しい閣僚が決まり、一億総なんとかというスローガンも決まった。しかしアベの本質はなにも変わりません。対米追従、数の力で国民無視、戦争への道まっしぐら、これを阻止するには、まず来年、参議院選挙で、与党とその予備軍を完膚なきまでに叩きのめし、ねじれを作ること。それに限ります。
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伊方原発:再稼働、町議会が同意-許せん!! [伊方再稼働反対]

いよいよ伊方原発同意に向けて動き出しました。

http://mainichi.jp/shimen/news/20151002ddm041040131000c.html
ほとんどコピペなんですが。
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愛媛・伊方原発:再稼働、町議会が同意へ

毎日新聞 2015年10月02日 東京朝刊

 四国電力伊方原発3号機が立地する愛媛県伊方町議会(定数16)が、再稼働への「地元同意」を表明する見通しとなった。2日の原子力発電対策特別委員会(14人)で再稼働に賛成・反対双方の陳情を採決するが、毎日新聞の取材に対し、採決に加わる町議の過半数が再稼働に賛成する意向を示した。6日の本会議採決でも賛成が多数となる公算が大きい。7月の原子力規制委員会の審査合格後、地元の意思が示されるのは初めて。

 町議会には再稼働に賛成3件、反対4件の陳情が付託されている。原発対策特別委は2日、13人で採決するが、少なくとも8人が賛成の意向を示した。6日の本会議採決でも賛成多数が覆る可能性は低い。【渕脇直樹】
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町はどうしょうもないが、ここは隣接の八幡浜市も反対しないときています。

大分県側からは
http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2015/10/02/005122235

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大分県佐賀関半島から海を挟んで45キロにある四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働をめぐる議論が熱を帯びている。3号機は7月に原発の新規制基準に合格し、国は県と伊方町に再稼働への同意を要請。今後の焦点は、伊方町長が再稼働の可否をどう判断するか、さらには中村時広知事の最終決断だ。一方、住民には安全性に対する根強い不安がある。大分からも106人が原告として参加する運転差し止め訴訟が松山地裁で続いており、原告側は「司法判断が出る前に再稼働させてはならない」と訴える。

 「3条件に一定の進展はみられるが、まだ判断できる状況にない」
 9月中旬、愛媛県議会本会議。再稼働の可否について問われた中村知事は、まだ白紙という従来の見解を述べるにとどまった。
 知事は「将来的には脱原発が望ましい」としながらも、現在の日本のエネルギー事情では原発を一定規模で利用せざるを得ないとのスタンス。再稼働は「国の考え方」「四国電の取り組み姿勢」「地元の理解」の三つを踏まえ、最終的に判断する意向だ。
 知事は▽事故時の避難路の整備▽大分県まで海路で避難する訓練に対する支援―など8項目を国に要請。国からは9月に「前向きな回答」があったものの、安倍晋三首相から「事故の最終責任は国が負う」との言質を直接取ることなど、一部は見通しが立っておらず、知事は「(国の回答は)まだ中間的段階」とする。
     □
 とはいえ、判断に向けた「環境」は整いつつある。
 愛媛県は四国電に対し、新規制基準を満たすだけでなく、揺れ対策など独自の安全対策を求めているが、専門家でつくる県の専門部会は8月、規制委の審査や四国電の対策は「妥当」と判断した。9月には伊方町に隣接する八幡浜市が、条件付きながら再稼働を了承すると表明。注目の山下和彦伊方町長は今月7日以降に見解を示すとしている。
     □
 伊方原発の運転差し止めを求める訴訟は、早くとも結審は来年3月になる見込みだ。原告側は、原発前の海域に日本最大級の「中央構造線断層帯」があり、大地震による重大事故の危険性があると主張。「一日も早い判決を」と望む。
 愛媛県では「首相の言質があれば知事は再稼働を容認するのではないか」との見方も出ているが、原告側弁護団の1人は「国が責任を負うというのは、結局は国民一人一人が責任を負うということ。国民に事故の責任を取れと言っているに等しい。そもそも住民の健康や瀬戸内の自然は、金銭で埋め合わせできる性質のものではない」と指摘した。
---------------------------------------------------------------------
知事もポーズでしょう。腹は決めている。判決が半年後となるといまから仮処分はやりにくいのか?
でも判決で勝っても控訴で止められない。仮処分が決まれば当面止めることはできる。
弁護団の判断はどうなんでしょう。

 もうアベのやつは、現場おまかせで気楽なものだ。福島の後始末もほっといて戦争法推進と国連常任理事国への夢想に走る。早く辞めさせないといけません!!
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