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大飯判決に何を学ぶか-⑩準備中のまま年を越します。 [原発問題・大飯判決]

次のとおり8月ぐらいから準備してたのですが、年内に書く時間が取れそうにないので、判決文のみお読みいただくようお願いします。
 本日は、午後に高浜原発運転差し止め仮処分の異議に関する決定と合わせて、大飯原発の運転差し止め仮処分の決定も出ます。結果を見てからアップした方がいいのでしょうが、あの大飯判決と、高浜決定が覆されることのないよう祈っております。


”大飯判決に何を学ぶか”が中断しておりましたが、復活させていただきます。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/237/084237_hanrei.pdf
「当裁判所の判断」以降を使わせていただいて、「6 閉じこめるという構造について(使用済み核燃料の危険性)」から再開いたします。

6 閉じこめるという構造について(使用済み核燃料の危険性)

(1) 使用済み核燃料の現在の保管状況
原子力発電所は,いったん内部で事故があったとしても放射性物質が原子力発電所敷地外部に出ることのないようにする必要があることから,その構造は堅固なものでなければならない。
そのため,本件原発においても核燃料部分は堅固な構造をもつ原子炉格納容器の中に存する。他方,使用済み核燃料は本件原発においては原子炉格納容器の外の建屋内の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれており,その本数は1000本を超えるが,使用済み核燃料プールから放射性物質が漏れたときこれが原子力発電所敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない(前提事実(5)ア)


(2) 使用済み核燃料の危険性
使用済み核燃料は,原子炉から取り出された後の核燃料であるが,なお崩壊熱を発し続けているので,水と電気で冷却を継続しなければならないところ(前提事実(5)イ),その危険性は極めて高い。福島原発事故においては,4号機の使用済み核燃料プールに納められた使用済み核燃料が危機的状況に陥り,この危険性ゆえに前記の避難計画が検討された。原子力委員会委員長が想定した被害想定のうち,最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは使用済み核燃料プールからの放射能汚染であり,他の号機の使用済み核燃料プールからの汚染も考えると,強制移転を求めるべき地域が170キロメートル以遠にも生じる可能性や,住民が移転を希望する場合にこれを認めるべき地域が東京都のほぼ全域や横浜市の一部を含む250キロメートル以遠にも発生する可能性があり,これらの範囲は自然に任せておくならば,数十年は続くとされた(甲31)。
平成23年3月11日当時4号機は計画停止期間中であったことから使用済み核燃料プールに隣接する原子炉ウエルと呼ばれる場所に普段は張られていない水が入れられており,同月15日以前に全電源喪失による使用済み核燃料の温度上昇に伴って水が蒸発し水位が低下した使用済み核燃料プールに原子炉ウエルから水圧の差で両方のプールを遮る防壁がずれることによって,期せずして水が流れ込んだ。また,4号機に水素爆発が起きたにもかかわらず使用済み核燃料プールの保水機能が維持されたこと,かえって水素爆発によって原子炉建屋の屋根が吹き飛んだためそこから水の注入が容易となったということが重なった(甲1・159ないし161頁,甲19・215頁ないし240頁)。そうすると,4号機の使用済み核燃料プールが破滅的事態を免れ,上記の避難計画が現実のものにならなかったのは僥倖ともいえる。


(3) 被告の主張について
被告は,原子炉格納容器の中の炉心部分は高温,高圧の一次冷却水で満たされおり,仮に配管等の破損により一次冷却水の喪失が発生した場合には放射性物質が放出されるおそれがあるのに対し,使用済み核燃料は通常40度以下に保たれた水により冠水状態で貯蔵されているので冠水状態を保てばよいだけであるから堅固な施設で囲い込む必要はないとするが(第3の3被告の主張(1)),以下のとおり失当である。


ア 冷却水喪失事故について
使用済み核燃料においても破損により冷却水が失われれば被告のいう冠水状態が保てなくなるのであり,その場合の危険性は原子炉格納容器の一次冷却水の配管破断の場合と大きな違いはない。むしろ,使用済み核燃料は原子炉内の核燃料よりも核分裂生成物(いわゆる死の灰)をはるかに多く含むから(前提事実(5)イ),(2)に摘示したように被害の大きさだけを比較すれば使用済み核燃料の方が危険であるともいえる。原子炉格納容器という堅固な施設で核燃料を閉じこめるという技術は,核燃料に係る放射性物質を外部に漏らさないということを目的とするが,原子炉格納容器の外 部からの事故から核燃料を守るという側面もあり,たとえば建屋内での不測の事態に対しても核燃料を守ることができる。そして,五重の壁の第1の壁である燃料ペレットの熔解温度が原子炉格納容器の溶解温度よりもはるかに高いことからすると(被告準備書面7頁によると,①核燃料ペレット,②燃料被覆管,③原子炉圧力容器,④原子炉格納容器,⑤建屋の溶解温度は,それぞれ,①が2800度,②が1800度,③及び④が1500度,⑤が1300度であり,外に向かうほど溶解温度が低くなっている。),原子炉格納容器は炉心内部からの熱崩壊に対しては確たる防御機能を果たし得ないことになるから,原子炉格納容器の機能として原子炉格納容器の外部における不測の事態に対して核燃料を守るという役割を軽視することはできないといえる。なお,被告はかような機能は原子炉格納容器には求められていないと主張するが,他方では原子炉格納容器が竜巻防御施設の外殻となる施設であると位置づけており(甲68・35ないし36頁),被告の主張は採用できない。
福島原発事故において原子炉格納容器のような堅固な施設に囲まれていなかったにもかかわらず4号機の使用済み核燃料プールが建屋内の水素爆発に耐えて破断等による冷却水喪失に至らなかったこと,あるいは瓦礫がなだれ込むなどによって使用済み核燃料が大きな損傷を被ることがなかったこと(甲1・159ないし161頁,甲19・215ないし240頁)は誠に幸運と言うしかない。使用済み核燃料も原子炉格納容器の中の炉心部分と同様に外部からの不測の事態に対して堅固な施設によって防御を固められてこそ初めて万全の措置をとられているということができる。


イ 電源喪失事故について
上記のような破断等による冷却水喪失事故ではなく全電源が喪失し空だき状態が生じた場合においては,核燃料は全交流電源喪失から5時間余で炉心損傷が開始する。これに対し,使用済み核燃料も崩壊熱を発し続ける から全電源喪失によって危険性が高まるものの,時間単位で危険性が発生するものでない。しかし,上記5時間という時間は異常に短いのであって,それと比較しても意味がない。
被告は,電源を喪失しても使用済み核燃料プールに危険性が発生する前に確実に給水ができると主張し,また使用済み核燃料プールの冷却設備は耐震クラスとしてはBクラスであるが(別紙4・別記2第4条2二参照),安全余裕があることからすると実際は基準地震動に対しても十分な耐震安全性を有しているなどと主張しているが(第3の3被告の主張(2)),被告の主張する安全余裕の考えが採用できないことは5(2)オにおいて摘示したとおりであり,地震が基準地震動を超えるものであればもちろん,超えるものでなくても,使用済み核燃料プールの冷却設備が損壊する具体的可能性がある。また,使用済み核燃料プールが地震によって危機的状況に陥る場合にはこれと並行してあるいはこれに先行して隣接する原子炉も危機的状態に陥っていることが多いということを念頭に置かなければならないのであって,このような状況下において被告の主張どおりに確実に給水ができるとは認め難い。被告は福島原発事故を踏まえて使用済み核燃料の冷却機能の維持について様々な施策をとり,注水等の訓練も重ねたと主張するが,深刻な事故においては発生した事象が新たな事象を連鎖的に招いたりするものであり,深刻事故がどのように進展するのかの予想はほとんど不可能である。原子炉及び使用済み核燃料プールの双方の冷却に失敗した場合の事故が福島原発事故のとおり推移することはまず考えられないし,福島原発事故の全容が解明されているわけでもない。たとえば,高濃度の放射性物質が隣接する原子炉格納容器から噴出すればそのとたんに使用済み核燃料プールへの水の注入作業は不可能となる。弥縫策にとどまらない根本的施策をとらない限り「福島原発事故を踏まえて」という言葉を安易に用いるべきではない。
本件使用済み核燃料プールにおいては全交流電源喪失から3日を経ずして冠水状態が維持できなくなる(甲70・15-14頁)。我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼすにもかかわらず,全交流電源喪失から3日を経ずして危機的状態に陥いる。そのようなものが,堅固な設備によって閉じこめられていないままいわばむき出しに近い状態になっているのである。


(4) 小括
使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ,使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え,国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく,深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。


ここはコメントでお知らせしておいた岩波科学への高島武雄氏、後藤政志氏投稿論文です。
https://drive.google.com/file/d/0B78Zj1ROeNA-aGpPMlNyV0p5WkE/view?pli=1
加圧式原発の水蒸気爆発の危険性について述べられた貴重なものです。ぜひご一読いただきたいと思います。

 アベはもう再稼働に前のめりです。改めることはないでしょう。退陣させるしかありません。
sho_fj.jpg
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大飯判決に何を学ぶか-⑨ [原発問題・大飯判決]

大飯判決に何を学ぶか-⑧の続きです。
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2015-06-14
”(3) 700ガルに至らない地震について”の残りをやります。

エ 被告の主張について
 被告は,主給水ポンプは安全上重要な設備ではないから基準地震動に対する耐震安全性の確認は行われていないと主張するが(第3の2被告の主張(3)ア),主給水ポンプは別紙3の下図に表示されているものであり,位置関係を見ただけでも,その重要性を否定することに疑問が生じる。また,主給水ポンプの役割は主給水の供給にあり,主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿であって,そのことは被告も認めているところである。安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして,それにふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。このような設備を安全上重要な設備ではないとするのは理解に苦しむ主張であるといわざるを得ない。
 フクシマ:安全神話と地球科学の現実の間のギャップ
http://thebulletin.org/%E3%83%95%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%9E%EF%BC%9A%E5%AE%89%E5%85%A8%E7%A5%9E%E8%A9%B1%E3%81%A8%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E5%AE%9F%E3%81%AE%E9%96%93%E3%81%AE%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97

非常に貴重なことがかかれています。判決の主給水ポンプに関係する部分ですが
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 福島第一原発は,すべての通常もしくは非常用の冷却システムが故障した場合に備え,炉心冷却と格納容器の熱除去のために,津波に耐えうる独立した緊急システムを作っておくべきであった.スイスの原子力発電所にはそのようなシステムが存在する.これは,その冷却水のほとんどを,地下水供給源から得るようになっている。地下水供給施設は、地震や洪水に耐えうるようにバンカー(掩蔽壕)で守られており,通常の取水設備とは別のものである.リスク分析の結果は,この二重の緊急システムのおかげで,スイスの原発の炉心損傷の確率が極めて低いことを示している.スイスのシステムは防水性があり,テロリストの攻撃や航空機の墜落にも耐える構造で,安全余裕の高い耐震性を備え,全交流電源喪失(ステーション・ブラックアウト)の際には10時間無人で機能することができる.バンカー内に設置された燃料タンクは優に2日分の供給量を備えている.また,施設は近傍の川の水位より十分に高い場所に設置され,極端に大きな氾濫があっても耐えられるようになっている.たとえ,上流のダムが決壊するようなことがあってもである.スイスの安全当局は,1980年代後半にこの緊急システムを既存・新規両方の原発で備えることを義務付けた.同じことを日本の規制当局がしなかったことは,残念である.こうした追加的緊急システム,あるいは福島における津波対策の強化だけでも,安価というわけにはいかなかっただろうが,これらがあれば,最終的に起こってしまった福島第一原発の大事故を防ぐことができたかもしれない.この事故は,もちろん,経済的および人的被害の両面において,考えうる限りのいかなるバックフィット(既存の施設への新しい規制の適用)よりも遙かに高くつくことになるであろう.
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本当の安全余裕とはこういう対策を万全にしてから言えることなのですけどねえ。

オ 基準地震動の意味について
 日本語としての通常の用法に従えば,基準地震動というのはそれ以下の地震であれば,機能や安全が安定的に維持されるという意味に解される。基準地震動Ss未満の地震であっても重大な事故に直結する事態が生じ得るというのであれば,基準としての意味がなく,大飯原発に基準地震動である700ガル以上の地震が到来するのかしないのかという議論さえ意味の薄いものになる。
 ここも説明するまでもないと思います。ほんと基準にならないものを、しかも敢えて低めに設定する。旧来の地震の見方からすると700ガルあれば震度7に対応してるように思える。
http://www.daime.co.jp/gifujisin/data/skasokudo.html
極めて単純な試算であって、現実におきうる最大加速度は、条件次第でいくらでも大きくなる。素人騙しのようなことをしないで、規制委員会の密室の中で決めない、まあ動画を公開すればいいというものでない、本当の意味の情報の公開性をもって基準地震動は定められるべきです。

(4) 小括
 日本列島は太平洋プレート,オホーツクプレート,ユーラシアプレート及びフィリピンプレートの4つのプレートの境目に位置しており,全世界の地震の1割が狭い我が国の国土で発生するといわれている。1991年から2010年までにおいてマグニチュード4以上,深さ100キロメートル以下の地震を世界地図に点描すると,日本列島の形さえ覆い隠されてしまうほどであり,日本国内に地震の空白地帯は存在しないことが認められる。(甲18・756,778ないし779頁,訴状31頁参照)。日本が地震大国といわれる由縁である。
 この地震大国日本において,基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上,基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば,そこでの危険は,万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。
 ここに関しては説明は不要かと思います。ただ、なかなかこれを言える裁判官が少ない。第二、第三の樋口判事の登場が望まれるところです。

 さて以下は、川内仮処分決定書に対しての批判といえるほど立派ではない。まあいちゃもんですね。
https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/150422/%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E6%96%87%EF%BC%93.pdf
川内仮処分決定書下の数字の111、112ページです。
川内仮処分阪神.png
 阪神大震災を分析したものかと思って取り上げたのですが、どうもそうではありませんでした。乙54の2という証拠は九電側が出したものでしょうが、静的地震力の耐震安全上の余裕に関する部分ですね。九電証拠をそのまま採用なのでしょうが、これがいつごろの文献なのかは調べておりません。しかし、一般的に建築工学の方が、二つの大震災を経て、免震、耐震にかなり進歩を遂げており、原発だけが特殊なのではないはずです。

今後期待される構造設計の方向性
http://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h24/pdf/K4.pdf

設計余裕.png
 ありきたりの表現ではありますが、東洋ゴムのようなことをやれば、すぐ社会的制裁を受けるわけです。しかし、原発だけが伏魔殿のようになっていて、耐震工事をしたとも言わないのに、安全余裕だとか、数字をいじくるだけで基準地震動を勝手にあげたり、専門用語をとことん駆使して、裁判官も迷路に入り込んで、どう判断したらいいかもわからない状態にするわけです。

 鹿児島地裁前田裁判長も東大工学部出ですから、理解力はあったはずで、あんなに九電、規制委員会寄りの判断をしてしまうのが考えられないのですが、地裁全体のムードのようなものが出来上がってしまっていて、あそこで差し止めすると所長始め大半の裁判官が左遷されるという雰囲気ができあがってしまっていたのか?
 ま 言ってもはじまらないので、このくらいにしておきますが、福島の事故で、本来真っ先に巨大地震、巨大津波に対する認識を大きく変えなければならないところが、再稼働を焦るあまり、おかしな方向に走ってしまったと言っていいのでしょう。

 次の文書は、阪神大震災の後に原発の耐震安全性を検討したものです。案とはなっていますが、このまま決定したのでしょう。

平 成 7年兵庫県南部地震を踏まえた原子力施設耐震安全検討会報告書(案)
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/hyougo_taishin/hyougo_taishin008/siryo2.pdf
読んでて頭にきたので、OCRの誤読も修正せず、小さい字にして読みにくくしてます。

 以上により、原子炉施設の地震及び地震動の評錨は、地震のマグニチュード及びエネルギーの放出の中心から敷地までの距離等を十分に考意して、地震動の実測結果に墓づいた経験式や断層モデルに基づいて行われることとなっており、兵庫県南部地震に照らしでも、その妥当性が損なわれるものではないと判断される。

また、 「耐震設計審査指針」では、基準地震動 S2には、 M6.5の直下地震によるものもこれに含むとしている。兵庫県南部地震はいわゆる「誼下型地 震 J として M7.2の規模の地震が生じたものであるが、この地震は六甲山地南東麓から淡路島北部にかけての既知の活断麗が密集する六甲-淡路断層帯に沿って発生したものであること、及び r5. (2) r耐震設計審査指針 j の地震及び地震動の評語 j で詳述したように、この断層帯からは兵麗巽南部地震の規模 M7.2をも上自る規模の地震が想定されることから、活断層が認められない場合においても M6.5の度下地震による地震動を想定する「耐震設計審査指針 J の考え方は、兵庫県南部地震に照らしでも、その妥当性が損なわれるものではないと判断される。

(5) まとめ
 以上、 「耐震設計審査指針 J について、兵庫県高部地震の状況を把謹し、これを踏まえて、描出した「耐震設計審査指針 J の考え方のなかで検討を斐すべき事項について詳細に検討を加えた結果、兵庫県南部地震を踏まえても我が毘の原子力施設の耐震安全性を確保するよで基本となる指針の妥当性が損なわれるものではないとの結論を得た。

こんな感覚では福島の事故を防げないはずです。柏崎刈羽原子力発電所では地震による事故が現実に起こっております。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%8F%E5%B4%8E%E5%88%88%E7%BE%BD%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
「設計時の予想を超えた加速度[編集]
東京電力から発電所本館に設置されている地震計の記録が発表されており[15]、それによると観測された記録は、耐震設計時の基準加速度を上回っていた。
その後、3号機タービン建屋1階で2058ガル(想定834gal)、地下3階で581ガル(想定239gal)、3号機原子炉建屋基礎で384ガル(想定193gal)を観測したとの発表もなされた。

懲りずに再稼働しようとしている。泉田知事が跳ね付けていますが、あきらめない。
ムラの悪あがきをなんとかしないといけませんが、大飯判決の普遍化を目指して頑張っていかねばなりません。

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大飯判決に何を学ぶか-⑧ [原発問題・大飯判決]

大飯判決に何を学ぶか-⑦の続きです。
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2015-05-30

(3) 700ガルに至らない地震について
ア 施設損壊の危険
本件原発においては基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ,かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあると認められる(甲14号証の20頁には「『主給水喪失』『外部電源喪失』については,耐震B,Cクラス設備等の破損により発生することから,Ssまでの地震動で発生すると考えられる。」との記載がある。)。
大飯原発の敷地に160ガル以上の地震が到来すると,原子炉は緊急停止することになるが(弁論の全趣旨・被告準備書面(3)8頁参照),被告においても,たとえば200ガルの地震が大飯に到来した場合,外部電源が断たれなければ外部電源で冷却し外部電源が断たれれば非常用ディーゼル発電機で冷却することになり,主給水が断たれなければ主給水で冷却し主給水が断たれれば補助給水設備が冷却手段となる旨主張している(第6回口頭弁論期日調書参照)。
  イ 施設損壊の影響
外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第1の砦であり,外部電源が断たれれば非常用ディーゼル発電機に頼らざるを得なくなるのであり,その名が示すとおりこれが非常事態であることは明らかである。福島原発事故においても外部電源が健全であれば非常用ディーゼル発電機の津波による被害が事故に直結することはなかったと考えられる。主給水は冷却機能維持のための命綱であり,これが断たれた場合にはその名が示すとおり補助的な手段にすぎない補助給水設備に頼らざるを得ない。前記のとおり,原子炉の冷却機能は電気によって水を循環させることによって維持されるのであって,電気と水のいずれかが一定時間断たれれば大事故になるのは必至である。原子炉の緊急停止の際,この冷却機能の主たる役割を担うべき外部電源と主給水の双方がともに700ガルを下回る地震によっても同時に失われるおそれがある。そして,その場合には(2)で摘示したように実際にはとるのが困難であろう限られた手段が効を奏さない限り大事故となる。
  ウ 補助給水設備の限界
このことを,上記の補助給水設備についてみると次の点が指摘できる。証拠(甲14・21ないし22頁,甲16の7)によれば,緊急停止後において非常用ディーゼル発電機が正常に機能し,補助給水設備による蒸気発生器への給水が行われたとしても,①主蒸気逃がし弁による熱放出,②充てん系によるほう酸の添加,③余熱除去系による冷却のうち,いずれか一つに失敗しただけで,補助給水設備による蒸気発生器への給水ができないのと同様の事態に進展することが認められるのであって,補助給水設備の実効性は補助的手段にすぎないことに伴う不安定なものといわざるを得ない。また上記証拠によれば,上記事態の回避措置として,下記のとおり,(ア)のイベントツリーが用意され,更に(ア)のイベントツリーにおける措置に失敗した場合の(イ)のイベントツリーも用意されてはいるが,各手順のいずれか一つに失敗しただけでも,加速度的に深刻な事態に進展し,未経験の手作業による手順が増えていき,不確実性も増していく。事態の把握の困難性や時間的な制約のなかでその実現に困難が伴うことは(2)において摘示したとおりである。
                      記
(ア)イベントツリー
a 手法
①高圧注入ポンプの起動,②加圧器逃がし弁の開放,③格納容器スプレイポンプの起動を中央制御室からの手動操作により行い,燃料取替用水ピットのほう酸水を注入し,1次系の冷却を行う。注入の後,再循環切り替えを行い,④高圧注入及び格納容器スプレイによる継続した1次系冷却を行う。
b aが成功した場合の効果
この状態では未臨界性が確保された上で海水を最終ヒートシンクとした安定,継続的な冷却が行われており,燃料の重大な損傷に至る事態は回避される。
c aが失敗した場合の効果
①高圧注入による原子炉への給水,②加圧器逃がし弁による熱放出,③格納容器スプレイによる格納容器徐熱,④高圧注入による炉心冷却及び原子炉格納容器スプレイによる再循環格納容器の冷却のうち,いずれか一つに失敗すると,非常用所内電源からの給電ができないのと同様の非常事態(緊急安全対策シナリオ)に進展する。
(イ)イベントツリー((ア)cの場合の収束シナリオ)
a 手法
①タービン動補助給水ポンプによる蒸気発生器への給水が行われ,②現場での手動作業により主蒸気逃がし弁を開放し,2次系による冷却が行われる。③蓄圧タンクのほう酸水を注入し,未臨界性を確認し,④蓄電池の枯渇までに空冷式非常用発電装置による給電を行うとともに,蓄圧タンク出口隔離弁を中央制御室からの手動操作により閉止する。また,復水ピット枯渇までに海水の復水ピットへの補給を行うことにより,2次系冷却を継続する。
b aが成功した場合の効果
この状態では未臨界性が確保された上で海水を水源とした安定,継続的な2次系冷却が行われており,燃料の重大な損傷に至る事態は回避される。
c aが失敗した場合の効果
①タービン動補助給水ポンプによる蒸気発生器への給水,②現場での手動作業による主蒸気逃がし弁の開放,③蓄圧タンクのほう酸水の注入,④空冷式非常用発電装置による給電のうち,いずれか一つに失敗すると,炉心損傷に至る。
 今回、こういう手抜きはよくないと思いながら、仕事の都合で時間がとれず、一括しての説明になります。基準地震動未満の地震が原発敷地を襲った場合の分析で、それこそ頻繁に起こりうることの想定を電力会社側が、どこまでち密に分析でき、かつ、いざという時の行動をとれるか?という問題に対する解答とも言える部分ですので、丁寧に取り組むべきなのですが、時間をかけだすと来月に入ってしまいそうなので、ご容赦いただきたいと思います。
 福井新聞が判決が出た当時、判決要旨を記事にしていましたので、その中の該当部分を引用します。
 大飯原発差し止め訴訟の判決要旨 危険性が万が一でもあれば
(2014年5月21日午後8時42分)
 http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/syosai/50559.html
「過去に原発が基準地震動を超える地震に耐えられたとの事実があっても、今後大飯原発の施設が損傷しないことを根拠づけるものではない。基準地震動の700ガルを下回る地震でも外部電源が断たれたり、ポンプ破損で主給水が断たれたりする恐れがある。その場合、実際には取るのが難しい手段が功を奏さない限り大事故になる。」
 ここだけでは短すぎるので、次の部分も合わせて引用します。エの被告の主張のところにあたるのですが、予めお知らせしておきます。
 「地震大国日本で、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しだ。それに満たない地震でも冷却機能喪失による重大な事故が生じうるなら、危険性は現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設の在り方は、原発が有する本質的な危険性についてあまりに楽観的だ。」
 想定地震動の範囲に収まってくれたとしても、外部電源、ポンプ破損は起こりえるのであって、そうなった場合に、過酷事故を防げる保証というのは結局ないのであって、極めて楽観的な見通しに過ぎないということを判決は示しています。
 後は、「エ 被告に主張」の部分で、また詳しく述べるとして、前回⑦の時のコメントから一部取り上げておきます。

敷地周辺の地質・地質構造及び基準地震動Ssの策定について(概要)
https://www.nsr.go.jp/archive/nisa/shingikai/107/3/040/40-2.pdf
平成21年12月24日
 これは、民主党政権に変わってまもない時期の保安院の「地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ」の会議資料にあったものを見つけ出したのですが
https://www.nsr.go.jp/archive/nisa/shingikai/107/3/107_3_index.html
このWG自体は自民党政権時代からありました。平成19年10月12日が第1回になっています。大飯、高浜、玄海、川内などの資料もあるのですが、それは前回のコメントのリンクから見ていただくとしまして、伊方の分だけ紹介します。

1.検討用地震の選定
1.1 内陸地殻内地震 64ページ
伊方67.png
1.2 海洋プレート内地震 65ページ
伊方68.png
1.3 プレート間地震 66ページ
伊方69.png
1.4 地震タイプ毎の敷地に与える影響度合いと検討用地震の選定 67ページ
伊方70.png
検討用地震の選定結果
内陸地殻内地震:中央構造線断層帯による地震(敷地前面海域の断層群)
海洋プレート内地震:1649年安芸・伊予の地震M6.9
プレート間地震:想定南海地震M8.6 (中央防災会議による想定南海地震)
敷地に与える影響は,中央構造線断層帯による地震が最も大きいと推察される
 と、お知らせするだけでは能がないので、今回の規制委員会の審査書案の該当分と比較していただくため、ほんとは仕事せんといかんのですが、ビッグブラザーの監視の目を盗んでコピペします。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198272001&Mode=0
伊方発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(3号)に関する審査書(案)
13、14ページ(PDFの通しでは、19、20ページ)

(2)検討用地震の選定
解釈別記2は、内陸地殻内地震、プレート間地震及び海洋プレート内地震について、活断層の性質や地震発生状況を精査し、中・小・微小地震の分布、応力場及び地震発生様式(プレートの形状・運動・相互作用を含む。)に関する既往の研究成果等を総合的に検討し、検討用地震を複数選定することを要求している。また、内陸地殻内地震に関しては、震源モデルの形状及び震源特性パラメータ等の評価に当たっては、孤立した短い活断層の扱いに留意するとともに、複数の活断層の連動を考慮することを、プレート間地震及び海洋プレート内地震に関しては、国内のみならず世界で起きた大規模な地震を踏まえ、地震の発生機構及びテクトニクス的背景の類似性を考慮した上で震源領域の設定を行うことを要求している。

申請者は、検討用地震の選定について、以下のとおりとしている。
① 内陸地殻内地震
内陸地殻内地震については、気象庁震度階級関連解説表の記載によると、地震によって建物等に被害が発生するのは震度5弱(1996年以前は震度Ⅴ)程度以上であると考えられることから、過去の地震及び活断層による地震から、敷地に影響を及ぼすものを抽出した。
このように抽出した敷地に影響を及ぼす地震について、Zhao etal.(2006)の方法により求めた応答スペクトルの比較を行った結果、敷地への影響が最も大きいと考えられる地震は、敷地前面海域の断層群による地震であった。敷地前面海域の断層群は中央構造線断層帯の一部であり、地震調査委員会(2011,2005)において、中央構造線断層帯全体が同時に活動する可能性や別府-万年山断層帯の東端が中央構造線断層帯に連続している可能性が言及されていることを踏まえ、これらの連動を含む区間を考慮した断層群(以下「敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)」という。)による地震を検討用地震として選定した。

② プレート間地震
プレート間地震については、過去の地震及び知見から敷地の震度が 5 弱(1996 年以前は旧気象庁震度階級V)程度以上であったと推定される南海トラフ沿いの 6 地震及び日向灘の 2 地震を抽出した。このように抽出した敷地に影響を及ぼす地震について、Zhao et al.(2006)の方法により求めた応答スペクトルの比較を行った結果、内閣府検討会(2012)による南海トラフの巨大地震(陸側ケース)(モーメントマグニチュード(以下「Mw」という。)9.0)を検討用地震として選定した。

③ 海洋プレート内地震
海洋プレート内地震については、過去の地震から敷地の震度が 5 弱(1996年以前は旧気象庁震度階級V)程度以上であったと推定される 3 地震を抽出し、さらに地震調査委員会(2009)の地域区分の観点から、この 3 地震が所属する領域の隣の 3 領域からそれぞれ最も規模の大きい地震を 1 つずつ抽出した。
このように抽出した敷地に影響を及ぼす地震について、Zhao et al.(2006)の方法により求めた応答スペクトルの比較を行い、また世界で起きた大規模な地震に関する知見も踏まえ、1649 年安芸・伊予の地震(Mw6.9)を検討用地震として選定した。 規制委員会は、審査の過程において、申請者が当初、地震調査委員会が指摘した中央構造線断層帯と別府-万年山断層帯の連動の可能性よりも短いものとしていたため、より長い連動ケースを検討するよう求めた。
これに対して、申請者は、中央構造線断層帯と隣接する別府-万年山断層帯も含めた連動性を考慮して検討用地震の選定に係る評価を示した。
規制委員会は、申請者が実施した検討用地震の選定に係る評価は、活断層の性質や地震発生状況を精査し、既往の研究成果等を総合的に検討することにより検討用地震を複数選定するとともに、評価に当たっては複数の活断層の連動も考慮していることから、解釈別記2の規定に適合していることを確認した。

けっきょくこの後ごちゃごちゃと専門用語が出てきて17ページに結論がありますが

 規制委員会は、審査の過程において、敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)による地震動評価に当たっては、当該断層群が長大であるため、部分破壊も考慮するとともに、スケーリング則の適用性を検討するよう求めた。また、破壊伝播速度については、申請者が当初、レシピに示されている Geller(1976)による経験式だけを用いていたため、敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯)が長大な横ずれ断層であることを考慮し、最新の知見を考慮して検討するよう求めた。
 これに対して、申請者は、部分破壊については、断層長さ約 130km 及び約 54kmを断層長さ約 480km ケースに加えて基本震源モデルとして設定した。スケーリング則については、壇ほか(2011)の手法を基本とするが、断層長さ約 480kmと約 130km については Fujii and Matsu’ura(2000)の手法、断層長さ約 54kmについては入倉・三宅(2001)の手法でも評価を行った。また、破壊伝播速度については、Bouchon et al. (2002)等の知見を踏まえ、断層長さ約 480km と約 130km については破壊伝播速度がS波速度と等しくなる場合、また、断層長さ約 54km については宮腰ほか(2003)の知見を踏まえて標準偏差 1σ を考慮した場合を不確かさケースとして地震動評価を行った。

3.震源を特定せず策定する地震動は(17、18ページ)
結局 お馴染みの二つになります。
Mw6.5 以上 2000 年鳥取県西部地震  Mw6.5 未満 2004 年北海道留萌支庁南部地震

これは、どこの原発も同じ結果に導いてるのですねえ。なんとまあ素晴らしい。
 3.11事故前といったい何が変わったのだということになるのですが、あれこれややこしくして煙にまくのがうまくなったというところでしょうか。
 本質は何も変わっていないことを樋口裁判官は見抜いたわけで、ずばり再稼働はだめと言ってくれるわけですが、川内仮処分の鹿児島地裁や、現在継続中の訴訟等を担当する裁判官は、高等テクニックにまどわされてしまっているのではないか?そういう感じです。
 ではどうすればいいか?いつもコメントをいただいてますはじめちゃんのご意見
---------------------------------------------------------------------
今後、川内仮処分2審、玄海・伊方仮処分1審、と続き
ますが、今までの不毛な(似非)地震論議から卒業して、

「地震学の基本」に戻った論議

・・をして欲しいと思います。

○○式、といったローカルルールでは無く、
モーメント・マグニチュード(Mw)を基本とした、
世界標準的な、基準地震動シミュレーションの策定です。

また、平成以降のリアル・地震データの検証が
ほとんどされていません。

原子力規制委員会 (11ページ) 
http://www.nsr.go.jp/data/000050725.pdf
http://www002.upp.so-net.ne.jp/bob-k/mw02.jpg

仮想的では無い、豊富な地震動データが沢山あります。
--------------------------------------------------------------------
期待しております。

ちょっと追加します。
川内仮処分決定書より引用します。
https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/150422/%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E6%96%87%EF%BC%93.pdf
下の数字の120、121ページです。
川内決定書1.png
川内決定書2.png
はじめちゃんにコメントいただいた部分と関連があるのですが、鹿児島地裁が九電の主張丸のみしたところですが、パブコメの結果をもってきており、質問主意書とほぼ重なりますので、アップしておきます。
こちら質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a187076.htm

質問主意書や川内決定書に出てくるパブコメ意見への回答はこれですね。
第23回 原子力規制委員会
https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/h26fy/20140910.html
資料1九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の審査書案に対する意見募集の結果等及び発電用原子炉設置変更許可について(案)
https://www.nsr.go.jp/data/000048040.pdf
パブコメ25.png
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大飯判決に何を学ぶか-⑦ [原発問題・大飯判決]

前回(http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2015-05-01)の続きをやります。

エ 基準地震動の信頼性について
  被告は,大飯の周辺の活断層の調査結果に基づき活断層の状況等を勘案した場合の地震学の理論上導かれるガル数の最大数値が700であり,そもそも,700ガルを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する(第3の2被告の主張(4)ア)。しかし,この理論上の数値計算の正当性,正確性について論じるより,現に,下記のとおり(本件5例),全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの間に到来しているという事実(前提事実(10))を重視すべきは当然である。地震の想定に関しこのような誤りが重ねられてしまった理由については,そもそも(1)に摘示した地震学の限界に照らすと仮説であるアスペリティの存在を前提としてその大きさと存在位置を想定するなどして地震動を推定すること自体に無理があるのではないか,あるいはアスペリティの存在を前提とすること自体は問題がないものの,地震動を推定する複数の方式について原告らが主張するように選択の誤りがあったのではないか等の種々の議論があり得ようが,これらの問題については今後学術的に解決すべきものであって,当裁判所が立ち入って判断する必要のない事柄である。
 アスペリティは前回のコメントで少し予習をしておりました。

アスペリティとバリアー
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/seno/terms/asperity.barrier.html
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地震が起こると地下の岩盤の急速なずれ(くいちがい)が面状に広がっていく。この面が断層面だが,断層面上のずれの性質やそれが発生する波動は一様ではない.断層面上で,応力降下が大きく,大きな加速度をもつ強震動を発生させる部分をアスペリティと呼ぶ.

このモデルではまずい点が二つある.大きな地震の場合したがってアスペリティが大きいことになるが,このような地震でも短周期強震動が出る.アスペリティは決してのっぺりとした大きなものがそのまま存在できるわけではないのである.もう一つは,大きな地震が繰り返し起こるところには大きなアスペリティが存在し,小さい地震しか起こらないところには小さいアスペリティが存在することになるが,このような地震活動の違いは例えば三陸沖と茨城沖のように同じ太平洋プレートが東北日本下に沈み込んでいるところで起こっている.同じ海洋プレートが沈み込んでいるところで,なぜこのようなアスペリティサイズの違いが起こるのか説明困難であるという点である. 
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これは比較的わかりやすいかもしれませんね。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3144_all.html
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長谷川教授が地震のメカニズムを探るため着目したのがアスペリティ・モデルという新たな仮説でした。
この仮説によれば、陸のプレートの下に海のプレートが沈み込む境界面には滑りにくく強く、くっついた部分があります。
この部分をアスペリティと呼びます。
プレートが動くのに伴いアスペリティには徐々にひずみが、たまっていきます。
ひずみが限界に達したとき、アスペリティが剥がれプレートが一気にずれて地震が発生するのです。
アスペリティを見つける手がかりになるのが、これまでに蓄積してきた地震計のデータです。
波形を分析することでアスペリティの位置を割り出すことができるといいます。

「100年より前は 地震計データがないからアスペリティが推定できないんですね
アスペリティモデルは単純化しすぎていたということが明らかになったんですね」
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次は、基準地震動の概略についてまとめてくれている大間訴訟の準備書面です。今、格闘中ですが、とりあえずアスペリティに関する部分のみ紹介します。

大間原子力発電所建設差止 準備書面(5)
大間原発の基準地震動について(概説)
http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014031100330/files/261225junnbisyo5.pdf
14ページ以下にアスペリティの説明があります。
大間準備書面.png
「アスペリティの実体がどのようなものなのかは,必ずしもよく分かっていない。」

Q電も関電もこのアスペリティ仮説を根拠に基準地震動を過小評価してます。大飯判決では、このアスペリティを信頼せず電力側の言い分は退けています。と、イマイチ理解不足ですのでこのくらいにしておきます。

      記
① 平成17年8月16日
宮城県沖地震
女川原発
② 平成19年3月25日
能登半島地震
志賀原発
③ 平成19年7月16日
新潟県中越沖地震
柏崎刈羽原発
④ 平成23年3月11日
東北地方太平洋沖地震
福島第一原発
⑤ 平成23年3月11日
東北地方太平洋沖地震
女川原発

  被告は,上記地震のうち3回(①,④,⑤)は大飯原発の敷地に影響を及ぼしうる地震とは地震発生のメカニズムが異なるプレート間地震によるものであることから,残り2回(②,③)の地震はプレート間地震ではないもののこの2つの地震を踏まえて大飯原発の地震想定がなされているから,あるいは,①②③の地震想定は平成18年改正前の旧指針に基づくS1,S2基準による地震動であり,本件原発でとられているSs基準による地震動の想定と違うということを理由として,これらの地震想定の事例は本件原発の地震想定の不十分さを示す根拠とならないと主張している(第3の2被告の主張(4)ウ)。
 これは実際に過去原発敷地内に影響のあったもので、4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超えた地震のケースと、それに対する被告関電の主張部分です。関電は大飯の場合に該当させるのは無理があると言ってますが、これに対し、判決は
しかし,上記3回(①,④,⑤)については我が国だけでなく世界中のプレート間地震の分析をしたにもかかわらず(別紙4別記2第4条5二③参照),プレート間地震の評価を誤ったということにほかならないし,残り2回の地震想定(②,③)もその時点において得ることができる限りの情報に基づき当時の最新の知見に基づく基準に従ってなされたにもかかわらず結論を誤ったものといえる。これらの事例はいずれも地震という自然の前における人間の能力の限界を示すものというしかない。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様,過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づきなされたにもかかわらず(弁論の全趣旨・第3の2被告の主張(4)ア参照,乙21),被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。
 「地震という自然の前における人間の能力の限界」を越えた事例が現実に「平成17年以後10年足らずの間に到来している」のであるから、この大飯の地震想定も信頼に値しないと判示しています。
また,被告の本件原発の地震想定については,前提事実(2)に記載した各事実に加え証拠(甲41,72)及び弁論の全趣旨によれば,次のような信頼性を積極的に失わせるような事情が認められる。すなわち,大飯原発の敷地をほぼ東西に走る非常用取水路の下をほぼ南北に横切るF-6破砕帯と呼ばれる破砕帯が活断層であるか否かについては専門家の間でも意見が分かれていたもので,大飯原発の差止めを求める大阪地方裁判所の仮処分事件においても主要な争点のひとつであった。この争点については被告の発電所敷地内の破砕帯に関する従前の調査結果に基づき,上記F-6破砕帯と連続性があるとされた非常用取水路の北に位置する台場浜トレンチ地点の破砕帯の評価を巡って争われた。しかるところ,被告は従前の調査結果を否定し,上記台場浜トレンチ地点と非常用取水路の下を走っている破砕帯の連続性がないと主張し,その後の掘削によりその存在が確認された非常用取水路の下を南北に走っている新F-6破砕帯と呼ばれる破砕帯については,上記仮処分却下決定後に専門家の全員一致の見解として活断層ではなくまた地滑りとしての危険性もないとの評価が得られた。
 ここは、F-6破砕帯と台場浜トレンチに関する記述です。説明しようとすると迷路に入ってしまいそうなので
台場浜付近の超苦鉄質岩分布状況確認のための調査位置より 
https://www.nsr.go.jp/data/000088447.pdf
トレンチ.png
これを見ていただくことでスルーさせていただきます。
翻ってみると,このような主張の変遷がなされること自体,破砕帯の走行状況についての被告の調査能力の欠如や調査の杜撰さを示すものであるといえる。発電所の敷地内部においてさえこのような状況であるから,被告による発電所の周辺地域における活断層の調査が厳密になされたと信頼することはできないというべきである。このことと,地震は,必ずしも既知の活断層で発生するとは限らないことを考え併せると,大飯原発の周辺において,被告の調査不足から発見できなかった活断層が関わる地震や上記性質の地震が起こり得ることは否定できないはずであり,この点において既に被告の地震想定は信頼性に乏しいといえる。
 被告の主張に変遷がありすぎて、信頼性が乏しく、証拠能力としても疑問があるということなのでしょう。

オ 安全余裕について
被告は本件5例の地震によって原発の安全上重要な施設に損傷が生じなかったことを前提に,原発の施設には安全余裕ないし安全裕度があり,たとえ基準地震動を超える地震が到来しても直ちに安全上重要な施設の損傷(機能喪失)の危険性が生じることはないと主張している(第3の2被告の主張(5))。そして,安全裕度の意義については対象設備が基準地震動の何倍の地震動まで機能を維持し得るかを示す数値であるとしている(平成26年3月27日期日における被告の補足説明要旨)。
 さあこの安全余裕、電力側には都合のいい逃げ道です。
 柏崎刈羽原発に生じた損傷がはたして安全上重要な施設の損傷ではなかったといえるのか,福島第一原発においては地震による損傷の有無が確定されていないのではないかという疑いがあり,そもそも被告の主張する前提事実自体が立証されていない。この点をおくとしても,被告のいう安全余裕の意味自体が明らかでない。弁論の全趣旨によると,一般的に設備の設計に当たって,様々な構造物の材質のばらつき,溶接や保守管理の良否等の不確定要素が絡むから,求められるべき基準をぎりぎり満たすのではなく同基準値の何倍かの余裕を持たせた設計がなされることが認められる。原告らが主張するように(第3の2原告らの主張(3)),原子炉圧力容器や蒸気発生器などが高温側と低温側に大きな温度差があり,使われている鋼材などに温度差・熱膨張差による伸び縮みを繰り返すことによる材料の疲労現象がある等の事実があるとすれば,上記不確定要素が多いといえるから,余裕を持たせた設計をすることが強く求められると考えられる。このように設計した場合でも,基準を超えれば設備の安全は確保できない。この基準を超える負荷がかかっても設備が損傷しないことも当然あるが,それは単に上記の不確定要素が比較的安定していたことを意味するにすぎないのであって,安全が確保されていたからではない。以上のような一般的な設計思想と異なる特有の設計思想や設計の実務が原発の設計においては存在すること,原子力規制委員会において被告のいうところの安全余裕を基準とした審査がなされることのいずれについてもこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって,たとえ,過去において,原発施設が基準地震動を超える地震に耐えられたという事実が認められたとしても,同事実は,今後,基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しても施設が損傷しないということをなんら根拠づけるものではない。
 すぱっと切り捨ててくれているのでありますが、まずこの逃げ道は、次のHPでうまく説明していただいています。

ムラの方言「安全裕度」は原子力安全・保安院の発明
http://shino.pos.to/energy/anzenyudo.html
------------------------------------------------------------------------------------------
どうもこの「安全裕度」という言葉は原子力村の方言らしい。 ネットを「安全率」あるいは「安全係数」で検索すると、さまざまな技術分野のものが掛かる。 ところが「安全裕度」で検索すると、原発関連のものしか出てこない。 それ以前に「裕度」という言葉が漢字変換で出てこない。変換辞書にあるのは「尤度」(「もっともらしさ」の意)というまったく別の語。

さらに言えば、この言葉はほとんど今回のストレステストがらみで使われている。 1984年 原子力委員会月報2月号に「機器配管系の耐震安全裕度の評価確認に関する研究」と題する科学技術庁国立防災科学技術センターの記事が見られるから、 昔から「ムラ」にこの言葉は存在したようだ。 ただし、そこに「安全裕度」の定義は無い。 今回この言葉に定義が与えられたのは原子力安全・保安院の発明かもしれない。

原子力安全・保安院が「安全裕度」という言葉を持ち出したのは、それを自由に定義できるからだろう。 さきの図の(安全裕度)のところには、その2つの定義が示されている。 すなわち 1次評価と 2次評価では定義が違う。

1次評価では (安全裕度) = 設計基準上の許容値(B)/想定基準地震動から計算された応力(A)
2次評価では (安全裕度) = 試験で確認された材料の強さ(D)/想定基準地震動から計算された応力(A)

そうするとたとえば大飯3-4号機の 1次評価の数字 1.8倍は、 (安全係数などの値によるが) 2次評価だと 6倍だとかの大きな数字になるのだろう。
---------------------------------------------------------------------------------
一応 電力側ももっともらしい科学的根拠に基づいて安全余裕を考えていますとは言う。

中越沖地震の柏崎刈羽原子力発電所への影響評価研究分科会
(4)余裕の考え方
http://www.jsme.or.jp/pes/Research/P-SCD361/OS6-A212.pdf

この点は次の内田樹先生の説明がわかりやすいです。
内田樹さん(@levinassien)による、高浜原発3・4号機再稼働差し止め仮処分の決定についての考察
http://togetter.com/li/809063
--------------------------------------------------------------------------------------
内田樹 @levinassien 2015-04-15 15:26:46
原子力規制委員会が定めた基準地震動(原発周辺に発生した場合に耐えうる揺れの上限)は700ガルです。でも、高浜原発の建築時点での基準地震動は370ガルでした。それが「安全余裕」があるという理由で途中で550ガルに引き上げられ、規制委の基準に合わせて700ガルになった。

内田樹 @levinassien 2015-04-15 15:28:44
もしあなたが「この机は上に370キロまで荷物のせられます」という惹句で机を買ったあとに工業規格が変わって「700キロの負荷に耐えられないと机とは言わない」となったら、「実はこの机、700キロまでの負荷に耐えられるんですよ、ははは」とメーカーが言い出したら「嘘つけ」と思うでしょ。

内田樹 @levinassien 2015-04-15 15:29:48
だったら最初から「700キロまで載せられます」と仕様にうたえばいいじゃないですか。それによって机の価値は上がりこそすれ下がるいわれはないんだから。それをなぜせず、「実力以下」の仕様で申請したのか?誰か納得のゆく理由を思いつける人がいたら教えてください。

内田樹 @levinassien 2015-04-15 15:31:45
でも、決定文は「700キロって嘘だろ」というような下世話な話をしているわけじゃなくて、過去に国内の4原発で5回にわたって700ガルを超えている地震が起きているにもかかわらず高浜原発「だけ」には700ガルを超える地震は起きませんという推論には無理があると言っているのです。

内田樹 @levinassien 2015-04-15 15:32:06
こんな「ふつうの理屈」が通らない国なんです。日本て。

内田樹 @levinassien 2015-04-15 18:27:57
基準地震動について書いたら「安全余裕」というのはどんな道具にも設定してあるから、「積載上限370キロ」と書いてあっても「700キロ乗せても大丈夫」なことはありうるというご指摘がありました。でも、「370キロ」のところに「700キロ」乗せて机が壊れたら、それ本人の責任でしょ。
返信 RT お気に入り

内田樹 @levinassien 2015-04-15 18:30:33
「だから、『370キロ以上載せるな』って書いてあっただろ。壊したのはお前だよ。こっちには責任ないからね」って製造者は言えます。でも、原発に700ガル超えの地震が来たときに「『700ガル以上はダメ』って書いてあっただろう。壊したのはお前だよ」って誰に向かって言うの?
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カ 中央防災会議における指摘
大飯を含む日本のどの地域においても大規模な地震が到来する可能性はあるのであり,それが大規模であればあるほど,その確率が低くなるというにすぎない。平成24年6月12日に開かれた中央防災会議,「東南海,南海地震に関する専門調査会」においても,「地表に現われた地震断層は活断層に区分されるものもあるが,M(マグニチュード)7.3以下の地震は,必ずしも既知の活断層で発生した地震であるとは限らないことがわかる。したがって,内陸部で発生する被害地震のうち,M7.3以下の地震は,活断層が地表に見られていない潜在的な断層によるものも少なくないことから,どこでもこのような規模の被害地震が発生する可能性があると考えられる。」との指摘がなされており(訴状38頁参照,同指摘がなされていることは争いがない。甲52参照),この指摘は上記知見に沿うものであるところ,証拠(甲38,62,63)によれば,マグニチュード7.3以下の地震であっても700ガルをはるかに超える震度をもたらすことがあると認められる。
 ここはいろいろ説明するまでもないと思いますが、700ガルを越える地震は今後いくらでも起こりえるのであるから、想定地震動は極めて甘い設定になっているという指摘ですね。

さて、最近コメントをいただいているhajimechanさんの主張は極めてシンプルです。(私にはまだかなり難しいのですが、なんとか勉強してみます。)

■ 原子力発電所 訴訟 ・ 論点要約 (基準地震動 2015.0422) 
http://www002.upp.so-net.ne.jp/bob-k/genpatu-note5b.htm

一部引用させていただきます。
---------------------------------------------------------------------------------
○ 論点は、僅か1つ 


原子力発電所、運転差止め訴訟における論点 (基準地震動) は、僅か1つ。

基準地震動 シミュレーション (震源を特定しない地震動) 策定の過程で、平成以降の内陸型 ・7大地震 (阪神、新潟中越、新潟中越沖、能登半島、福岡西方沖、鳥取、岩手内陸) を、取り上げることである。

電力会社は、これらの内、 5大地震のリアル・データを、意図的に無視し、北海道・留萌地震 Mw 5.7 を、 基準地震動 (安全基準) に据えている。

留萌地震 Mw 5.7 (逆断層・軟地層) → Mw 6.5~ 6.6  (横ずれ&正断層・硬地層)  規模差約 20倍。

620 x ( 20^1/3 ) ≒ 1600 ガル

前後が、適正な 基準地震動 となる。(0.02s)     
------------------------------------------------------------------------------------
本来の想定地震動は1600ガルは必要ということです。伊方も、川内も、もちろん高浜もだめということで、合格取消というか基準そのもののやり直しですね。

hajimechanさんよりさっそくコメントをいただきましたので、追加させていただきます。
------------------------------------------------------------------------------------
平成 25年 3月、震源を特定せず策定する地震動 ★

原子力規制委員会 (8~11ページ) 

http://www.nsr.go.jp/data/000050725.pdf
http://www002.upp.so-net.ne.jp/bob-k/mw02.jpg

兵庫県南部地震 (阪神大地震)
新潟県中越地震
新潟県中越沖地震
能登半島地震
福岡県西方沖地震

平成以降で、最大級クラス (Mw 6.6 ~ 6.9)
5つの直下型地震が含まれていました。


平成 25年 4月、以降の地震ガイド等(8ページ)
5つ全て削除されています。理由の説明無しに・・

http://www.nsr.go.jp/data/000050755.pdf

(´・ω・`) ショボーン


一方、Mw 5.0~6.2 の、中規模地震、14事例は
1つも削除されていません。

即ち、平成 25年 4月、以降の地震ガイド等は 不正であり、原子力規制委員会は、基準地震動の、 審査のやり直しが必要です。
------------------------------------------------------------------------------------------

さて、4022galというとんでもない加速度を記録した地震について、電事連はなにやら検討をしております。
2008年岩手・宮城内陸地震に関する今後の検討について
平成27年2月10日 電気事業連合会
http://www.nsr.go.jp/data/000097614.pdf
2ページめに
・事業者は,「震源を予め特定しにくい地震について」(平成25年4月2日,震基11-2-2)において,2008年岩手・宮城内陸地震については“震源域付近に長さ20km以上の活断層が伏在すると想定することができる”ことから検討対象地震には当たらない旨主張をしたが,地震規模については直接的には言及しなかった。
とありまして、この「震基11-2-2」を探してみると

震源を予め特定しにくい地震について
平成25年4月2日
https://www.nsr.go.jp/data/000050730.pdf

になります。日付けが問題の、安倍政権に変わってからの新年度です。これで何が変わったのか?変えたのか?
9ページですが
3.まとめ
・本日紹介した以下の地震については、原子力における詳細な地質調査を実施することにより、震源が特定できる可能性が高い。
2000年 鳥取県西部地震(M7.3)
2004年 留萌支庁南部の地震(M6.1)
2008年 岩手・宮城内陸地震(M7.2)
・従って、「震源を特定せず策定する地震動」として全国一律に考慮する対象とはならないと考えられる。
・なお、第10回地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チームで紹介された震基10-3「震源を特定せず策定する地震動について(平成25年3月22日)」においても記載されているように、以下のような地震(将来発生する地震も含め)については、それぞれ地域性を考慮して個別に検討し、詳細な地質調査、慎重な評価を行う必要がある。
・活断層の密度が小さく活動度が低いと考えられる地域で発生した地震
・上部に軟岩や火山岩、堆積層が厚く分布する地域で発生した地震

とあります。
『・従って、「震源を特定せず策定する地震動」として全国一律に考慮する対象とはならないと考えられる。』
この一言で持って、阪神、新潟中越、新潟中越沖、能登半島、福岡西方沖、鳥取、岩手内陸をばっさりとカットしたのか?私には難しすぎる問題ですが、今回はここらで締めさせていただきます。
引用ばかりで、自分の言葉はほとんどなかったのですが、これ以上考えても同じなので、頭が沸騰する前に終わらせていただきます。
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大飯判決に何を学ぶか-⑥ [原発問題・大飯判決]

それでは、前回の続きを書いていきたいと思います。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/237/084237_hanrei.pdf
「当裁判所の判断」以降を使わせていただいて、「(2) 700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震について」をやります。

前回 基準地震動の説明をしておりませんでしたので、まずはこれから押さえておきましょう。
基準+地震動なのか、基準地+震動なのか迷いますが、キジュンジシンドウと読みますので、基準+地震動の方になりますね。
意味は、
原子力発電所の耐震設計において基準とする地震動。地質構造的見地から、施設周辺において発生する可能性がある最大の地震の揺れの強さのこと。単位はガル。
ということで暗記しましょう。原発検定とかあったら試験に出るかもしれません。

 もうひとつ朝日新聞の説明があります。こちらの方が詳しいですね。
原発の設計の前提となる地震の揺れで、原発ごとに異なる。周辺の活断層などで起こりうる大地震を想定して、地盤の状態を加味し、原発直下の最大の揺れを見積もる。これをもとに原子炉、建屋、配管などの構造や強度を決める。単位はガルで、1ガルは1秒ごとに1センチずつ加速すること。地球上で物が落ちる時の加速度(重力加速度)は980ガルで1Gともいう。
模範解答はこちらの方ですね。

 前回は、確実に破局事故の起きる1260ガルを越える場合でしたが、今回はそれ未満で、大飯原発の想定レベルとしている700ガル以上のものを判決が分析してます。最大を600代にしているところもあるので、電力会社の想定がいかに甘いかがよくわかる説明を、判決文がしていることになります。

(2) 700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震について
ア 被告の主張するイベントツリーについて
仮に,大飯原発に起きる危険性のある地震が基準地震動Ssの700ガルをやや上回るものであり,1260ガルに達しないと仮定しても,このような地震が炉心損傷に結びつく原因事実になることも被告の自認するところである。これらの事態に対し,有効な手段を打てば,炉心損傷には至らないと被告は主張するが,かようなことは期待できない。
被告は,700ガルを超える地震が到来した場合の事象を想定し,それに応じた対応策があると主張し,これらの事象と対策を記載したイベントツリーを策定し,4.65メートルを超える津波が到来したときの対応についても類似のイベントツリーを策定している(前記前提事実(6),甲14)。被告は,これらに記載された対策を順次とっていけば,1260ガルを超える地震が来ない限り,津波の場合には11.4メートルを超えるものでない限りは,炉心損傷には至らず,大事故に至ることはないと主張する。
しかし,これらのイベントツリー記載の対策が真に有効な対策であるためには,第1に地震や津波のもたらす事故原因につながる事象を余すことなくとりあげること,第2にこれらの事象に対して技術的に有効な対策を講じること,第3にこれらの技術的に有効な対策を地震や津波の際に実施 できるという3つがそろわなければならない。
 イベントツリーの説明は末尾にもしておりますが、電力会社側が地震の時にどう対応するかのマニュアルのようなものと考えればいいのでしょうか。取りあえず図を示しておきます。
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2011/pdf/1117_1j_03.pdf
7ページ(他のページにも出てきます。)
イベントツリー.png
 700ガルを上回るものであれば、炉心損傷に結びつく重大事故は発生する可能性は大きく、関電のいう1260ガルを超えず、津波が11.4メートルを超えない限り炉心損傷には至らないという主張は信用できない。赤い色で示した三つのポイントがすべて揃って、イベントツリーが有効になると判示しています。

イ イベントツリー記載の事象について
深刻な事故においては発生した事象が新たな事象を招いたり,事象が重なって起きたりするものであるから,第1の事故原因につながる事象のすべてを取り上げること自体が極めて困難であるといえる。被告の提示する地震の際のイベントツリーを見ても,後記の主給水,外部電源の問題を除くと1225ガルから重大事故につながる事象が始まるとしているところ(甲14),基準地震動である700ガルから1225ガルまでの間に重大事故につながる損傷や事象が生じないということは極めて考えにくい事柄である。被告がイベントツリーにおいて事故原因につながる事象のすべてをとりあげているとは認め難い。
 想定の甘さが、ツリーの図に表れていて、まだ、他にも考えられることはあるのではないか?この程度のことで、本当に過酷事故は防げるのかと言う厳しい指摘です。ストレステストの頃ですから、そう福島事故から時間も経っていない時期に作られたものとしては、想像力があまりに欠如されているということになりましょうか。
 次により具体的に、イベントツリーの実効性を分析することになります。

ウ イベントツリー記載の対策の実効性について
また,事象に対するイベントツリー記載の対策が技術的に有効な措置で あるかどうかはさておくとしても,いったんことが起きれば,事態が深刻であればあるほど,それがもたらす混乱と焦燥の中で適切かつ迅速にこれ らの措置をとることを原子力発電所の従業員に求めることはできない。特に,次の各事実に照らすとその困難性は一層明らかである。
 実際パニック状態でそんなにマニュアルとおり動けるのか?毎日のように訓練しても、現場がきちんと対応できるとも考えられない。
 次に個別に7つに分けて分析してます。
第1に地震はその性質上従業員が少なくなる夜間も昼間と同じ確率で起こる。上記3(2)において摘示したように,夜間の宿直人員数については規制基準が及ばないとしても,本件における危険性の判断要素となるところ,突発的な危機的状況に直ちに対応できる人員がいかほどか,あるいは 現場において指揮命令系統の中心となる所長が不在か否かは,実際上は, 大きな意味を持つことは明らかである。
 地震や火山噴火はそう都合よく日中の人員が確保される時間帯に起きるとは限らない。これは初歩的なことですが、そういう時間帯による体制の違いや、所長不在時の指揮系統など、イベントツリーに記載がないとすれば、かなり場当たり的ないい加減な絵を書いているに過ぎない。
第2に上記イベントツリーにおける対応策をとるためにはいかなる事象が起きているのかを把握できていることが前提になるが,この把握自体が極めて困難である。福島原発事故の原因について政府事故調査委員会と国会事故調査委員会の各調査報告書が証拠提出されているところ,両報告書は共に外部電源が地震によって断たれたことについては共通の認識を示しているものの,政府事故調査委員会は外部電源の問題を除くと事故原因に結びつくような地震による損傷は認められず,事故の直接の原因は地震後 間もなく到来した津波であるとする(甲1,19,20,乙9)。他方,国会事故調査委員会は地震の解析に力を注ぎ,地震の到来時刻と津波の到 来時刻の分析や従業員への聴取調査等を経て津波の到来前に外部電源の他 にも地震によって事故と直結する損傷が生じていた疑いがある旨指摘しているものの,地震がいかなる箇所にどのような損傷をもたらしそれがいかなる事象をもたらしたかの確定には至っていない(特に甲1・196頁な いし230頁)。一般的には事故が起きれば事故原因の解明,確定を行いその結果を踏まえて技術の安全性を高めていくという側面があるが,原子力発電技術においてはいったん大事故が起これば,その事故現場に立ち入ることができないため事故原因を確定できないままになってしまう可能性 が極めて高く,福島原発事故においてもその原因を将来確定できるという保証はない(甲32・208ないし220頁によれば,チェルノブイリ事故の原因も今日に至るまで完全には解明されていないことが認められる。)。それと同様又はそれ以上に,原子力発電所における事故の進行中にいかなる箇所にどのような損傷が起きておりそれがいかなる事象をもたらしているのかを把握することは困難である。
 ちょっと長めですが、政府事故調と国会事故調では分析結果に違いが大きく、国会事故調の分析では、津波ではなく地震発生そのものを事故原因とする見解もある。専門家の間でもここは見解がわかれるところであり、津波がなくても、それなりに激しい揺れで、配管の切断や、電源喪失も起きうるのであるから、政府事故調の都合のいい見解のみを証拠にすることはできない。チェルノブイリを見ても、いまだに事故原因や被害状況が確定したとはいえず、その中でイベントツリーなど策定したところで、それで安心しきっている電力会社の主張をやすやすと認めるわけにはいかない。
第3に,仮に,いかなる事象が起きているかを把握できたとしても,地震により外部電源が断たれると同時に多数箇所に損傷が生じるなど対処すべき事柄は極めて多いことが想定できるのに対し,全交流電源喪失から炉心損傷開始までの時間は5時間余であり,炉心損傷の開始からメルトダウ ンの開始に至るまでの時間も2時間もないのであって,たとえ小規模の水管破断であったとしても10時間足らずで冷却水の減少によって炉心損傷に結びつく可能性があるとされている(甲1・131ないし133頁,2 11頁,被告準備書面(5)11頁参照,上記時間は福島第一原発の例によるものであるが,本件原子炉におけるこれらの時間が福島第一原発より特に長いとは認められないし,第1次冷却水に係る水管破断による冷却水の減少速度は加圧水型である本件原子炉の方が沸騰水型である福島第一原発のそれより速いとも考えられる。)。
 結構専門的な判断がされています。「第1次冷却水に係る水管破断による冷却水の減少速度は加圧水型である本件原子炉の方が沸騰水型である福島第一原発のそれより速いとも考えられる。」裁判官に加圧水型と沸騰水型の違いがわかるはずがないという輩もいますが、弁護団がきちんと説明をすれば、電力側の専門用語の羅列に翻弄されることなく、”科学的”に対応できるのが、きちんと訴訟指揮のできる裁判官であり、理解力の問題と言うより、取り組む姿勢の違いにあるのだと言えます。
第4にとるべきとされる手段のうちいくつかはその性質上,緊急時にやむ得ずとる手段であって普段からの訓練や試運転にはなじまない。上述のとおり,運転停止中の原子炉の冷却は外部電源が担い,非常事態に備えて水冷式非常用ディーゼル発電機のほか空冷式非常用発電装置,電源車が備えられているとされるが(甲16の1,第3の2被告の主張(2)参照), たとえば空冷式非常用発電装置だけで実際に原子炉を冷却できるかどうか をテストするというようなことは危険すぎてできようはずがない。
 もともとテストのできない空冷式非常用発電装置などは、訓練で使えないのであって、頭の中だけのシュミレーションでうまくいくはずがない。
 第5にとるべきとされる防御手段に係るシステム自体が地震によって破損されることも予想できる。大飯原発の何百メートルにも及ぶ非常用取水路(甲17,乙2の2,弁論の全趣旨)が一部でも700ガルを超える地震によって破損されれば,非常用取水路にその機能を依存しているすべての水冷式の非常用ディーゼル発電機が稼動できなくなることが想定できるといえる。なお,原告らの主張のとおり(第17準備書面),非常用取水路の下を将来活動する可能性のある断層ないしは将来地盤にずれを生じさせるおそれのある断層が走っているとすれば,700ガル未満の地震によっても非常用取水路が破損しすべての水冷式の非常用ディーゼル発電機が 稼動できなくなる危険があることになるが,本件においては上記原告らの 主張の当否について判断する必要を認めない。また,新潟県中越沖地震の際に柏崎刈羽原発においてその敷地内で活断層が動いたわけではないが,敷地内の埋戻土部分において1.6メートルに及ぶ段差が生じたことが認 められる(甲92,乙8)。大飯原発も柏崎刈羽原発と同様に埋戻土部分 があることから(被告準備書面(12)参照),埋戻土部分において地震によって段差ができ,最終の冷却手段ともいうべき電源車を動かすことが不可能又は著しく困難となることも想定できる。大飯原発には,非常用ディーゼル発電機を初めとする各種非常用設備が複数存在することが認められるが (甲16の1,第3の2被告の主張(2)参照),上記に摘示したことを一例として地震によって複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり故障したりすることは機械というものの性質上当然考えられることであって,防御のための設備が複数備えられていることは地震の際の安全性 を大きく高めるものではないといえる。
 非常用水路は柏崎刈羽原発で新潟県中越沖地震の際1.6メートルもの段差ができたことから、非常用ディーゼル発電機が稼動できなくなることも想定され、活断層などなくともこういう事態は起こりえるということが考慮されなければならない。
第6に実際に放射性物質が一部でも漏れればその場所には近寄ることさえできなくなる。地震が起きた場合の対応については放射性物質の危険に 常に注意を払いつつ瓦礫等を除去しながらのものになろうし,実際に放射 性物質が漏れればその場所での作業は不可能となる。最悪の事態を想定すれば中央制御室からの避難をも余儀なくされることになる。
 現実の事故時は、お手上げ状態になり、自衛隊や、レスキューなど特殊な訓練をした組織の手助けなしに対応できず、電力会社にそこまでの能力は期待できない。結果的に中央制御室からの撤退と言う事態も想定される。
第7に,大飯原発に通ずる道路は限られており施設外部からの支援も期待できない。この道路は山が迫った海岸沿いを伸びるものであったり,いくつかのトンネルを経て通じているものであったりするから(甲14・3 頁,乙2の2),地震によって崖崩れが起き交通が寸断されることは容易に想定できる。
 原発までに行く交通網ががけ崩れなどれ遮断されれば、自衛隊や消防署の救援も時間がかかり、海や空からの支援となりば体制が整うまでに時間がかかる。

 と、下手な解説を続けてきましたが、いろんなところの裁判で大飯判決文は証拠として提出されており、すっきりとした要約文もありました。
函館大間訴訟の準備書面
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014031100330/files/260703_junbisyo_genkoku.pdf
(リンクがうまく表示されませんので、直接URLをコピペしてください。)
⑴ イベントツリーについて
 700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震への対応策があり,大事故に至らないとの被告の主張に対して,本判決は以下のように述べて,有効性及び実効性は認められないとした。
 被告はイベントツリーを策定してその対策をとれば安全としているが,イベントツリーによる対策が有効であることは論証されていない。
 事態が深刻であるほど,混乱と焦燥の中で従業員に適切,迅速な措置を取ることは求めることができない。地震は従業員が少なくなる夜も昼と同じ確率で起き,人員の数や指揮命令系統の中心の所長がいるかいないかが大きな意味を持つことは明白である。また,対応策を取るには,どんな事態が起きているか把握することが前提だが,その把握は困難である。福島原発事故でも地震がどんな損傷をもたらしたかの確定には至っていない。現場に立ち入ることができず,原因は確定できない可能性が高い。
 仮にいかなる事態が起きているか把握できたとしても,全交流電源喪失から炉心損傷開始までは5時間余りで,そこからメルトダウン開始まで2時間もないなど残された時間は限られている。
 地震で複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり,故障したりすることも当然考えられ,防御設備が複数あることは安全性を大きく高めるものではない。原発に通ずる道路は限られ,施設外部からの支援も期待できない。

イベントツリーとは原発だけではないのですが
http://www.isad.or.jp/cgi-bin/hp/index.cgi?ac1=IS11&ac2=&ac3=519&Page=hpd_view
(リンクがうまく表示されませんので、直接URLをコピペしてください。)
イベントツリー解析
 イベントツリー解析 (Event Tree Analysis : ETA)は、定量的な安全性解析手法のひとつです。この手法は、発端となる初期の事象からスタートして、これが最終的な事象に発展していく過程を、枝分かれ式 (ツリー状) に展開して解析するものです。初期事象が発生する確率、ある事象から次の事象に分岐する確率を与えることにより、中間あるいは最終の事象がどの程度の確率で起こりうるかといった解析も可能になります。
 コンビナート施設の災害想定にイベントツリー解析を適用する場合、まず装置の損傷やプロセス異常といった災害のきっかけとなる事象 (初期事象) を設定します。続いて、このような事象が起こったとき、これを発端として災害が拡大していく過程を、各段階における安全装置や防災設備が機能するかどうかを確率的に評価しながらツリーを展開していくことになります。
 考え方としては当然必要なものですが、実際の事故の経験を元に修正され、より確度を挙げていかないといけませんから、イベントツリーがあれば、全て治まるというほど簡単なものではないですね。

「エ  基準地震動の信頼性について 」以降は次回に回します。
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大飯判決に何を学ぶか-⑤ [原発問題・大飯判決]

高浜、川内の仮処分の決定時期が迫ってきておりますが、大飯判決の前回の続きを書いていきたいと思います。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/237/084237_hanrei.pdf
(どうもこのリンクがうまく表示されませんので、直接コピペをお願いします。)
「当裁判所の判断」以降を使わせていただき「5 冷却機能の維持について」のうち「(1) 1260ガルを超える地震について」をやります。

 まずはガルの説明から
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AB
ガル(gal, 記号:Gal)は、CGS単位系における加速度の単位である。その名前は、ガリレオ・ガリレイにちなむもので、単位名をガリレオ (galileo) としている地域もある。
1ガルは、1秒(s)に1センチメートル毎秒(cm/s)の加速度の大きさと定義されている。すなわちガルは「センチメートル毎秒毎秒」(cm/s²)と書き表すことができる。国際単位系(SI)における加速度の単位はメートル毎秒毎秒(m/s²)であり、1 Gal = 0.01 m/s² となる。
ガルは非SI単位であるが、日本の計量法では重力加速度および地震に係る振動加速度の計量に限定してガル(Gal)および1000分の1のミリガル(mGal)の使用を認めている。
地球表面における重力加速度はおよそ981ガルである。
世界最大の地震による加速度は、岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日)の際に岩手県一関市厳美町祭畤で観測した4022ガルである。
なにやら難しいのですが、世界最大規模の地震加速度は日本でおきたということですねえ。それだけ日本は地震国なんです。
ちと読みづらいのですが、教育用ということで
http://www.geocities.jp/p_taka0227/0005.htm
マグニチュードとかと比較しやすくなっています。「必ずしも震度や被害とは直接結び付かない。建物などの被害は地震の周期や継続時間に影響を受ける面が大きいからだ。
地震時に物体に働く力の大きさは,その物体の質量と地震により生じる加速度の積となることから,昔から地震による揺れの尺度として慣例的に用いられている。」このあたりが大事なのでしょう。
さて判決文に入っていきましょう。

5 冷却機能の維持について
(1) 1260ガルを超える地震について
上述のとおり,原子力発電所は地震による緊急停止後の冷却機能について外部からの交流電流によって水を循環させるという基本的なシステムをとっている。1260ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊し,非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり,メルトダウンに結びつく。この規模の地震が起きた場合には打つべき有効な手段がほとんどないことは被告において自認しているところである。すなわち,本件ストレステストに関し被告の作成した甲14号証の47頁には「耐震裕度が1.80Ss以上または許容津波高さが11.4m以上の領域では,炉心にある燃料の重大な損傷を回避する手段がなくなるため,その境界線がクリフエッジとして特定された。」,被告の準備書面(9)17頁には「クリフエッジとは,プラントの状況が急変する地震,津波等のストレス(負荷)のレベルのことをいう。地震を例にとると,想定する地震動の大きさを徐々に上げていったときに,それを超えると,安全上重要な設備に損傷が生じるものがあり,その結果,燃料の重大な損傷に至る可能性が生じる地震動のレベルのことをいう。」との各記述があり,これは被告が上記自認をしていることにほかならない。なお,当裁判所は被告の主張する1.80Ss(1260ガル)という数値をそのまま採用しているものでないことは,(2)オにおいて説示するところであるが,本項では被告の主張を前提とする。
 「1260ガルを超える地震によってこのシステムは崩壊し,非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり,メルトダウンに結びつく。」ということですので、岩手・宮城内陸地震よりはるかに小さい規模の地震でメルトダウンしてしまうのです。2008年というとちょっと前ですね。億とか万とかいう単位でない、ごく最近の地震です。
「クリフエッジ」崖っぷちという意味ですが、いわゆる原発用語なのでしょう。「,プラントの状況が急変する地震,津波等のストレス(負荷)のレベルのこと」であって、これを超えた場合「安全上重要な設備に損傷が生じるものがあり,その結果,燃料の重大な損傷に至る可能性が生じる地震動のレベル」電力会社がここまでわかっているのに、規制委員会は、安全とは言えないけど、基準を満たすからいいんだという屁理屈です。
しかるに,我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象であるから,その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないのであって,仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに頼らざるを得ない。確かに地震は太古の昔から存在し,繰り返し発生している現象ではあるがその発生頻度は必ずしも高いものではない上に,正確な記録は近時のものに限られることからすると,頼るべき過去のデータは極めて限られたものにならざるをえない(甲52参照)。証拠(甲47)によれば,原子力規制委員会においても,16個の地震を参考にして今後起こるであろう震源を特定せず策定する地震動(別紙4の別記2の第4条5三参照)の規模を推定しようとしていることが認められる。この数の少なさ自体が地震学における頼るべき資料の少なさを如実に示すものといえる。したがって,大飯原発には1260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である。むしろ,①我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり(争いがない),1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること,
 原発がメルダウンを興すような規模の地震を予知できないというのが重要で、予知できれば停止して安全に対応できるなどと、ほざくのでしょうが、緊急地震システムを持ってしても数秒前で、そのくらいで完全停止は不可能。
また停止しさえすれば安全化といえば
http://numata-city.kazelog.jp/numata/2011/08/post-ef51.html
 「技術的な見地から見れば、原発は停止しても安全にはなりません。場合によっては、停止した方が危険な事さえあります。これは、停止中であった福島第1発電所の4号機が事故を起こしたことからも明らかです。定期点検中のリスクは運転中のリスクと同程度との解析結果もあるくらいです。たとえば、非常用発電機が2台ずつ設置してありましたが、停止中の4号機は1台が点検中で起動できなかったのです。これはとても怖いことです。
 停止した浜岡原発も今、大地震や大津波が襲えば、大事故になる可能性が高いのです。停止したからと言って何も解決していないのです。そもそも浜岡は停止操作中に事故を起こしています。また、炉型が違うので単純に比較するのは妥当ではありませんが、チェルノブイリの原発事故は運転停止を想定した試験中に起きたものです。
 停止した原発の燃料を冷やすには外部電源が必要です。すべての原発が止まってしまって、供給余力がぎりぎりのところに、大地震が来て一部の火力して停電が起きたらどうなるでしょうか。先日の新潟福島豪雨では、福島県内の全水力発電所が止まりました。約100万キロワットの供給力低下です。これも忘れてはいけません。」
予知もできず、メルトダウンが確実に起きる規模の地震は、日本では過去いくらでもあっているのに「原子力規制委員会においても,16個の地震を参考」にして基準を決めている。たった16個です。考えられません。
②岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震(別紙4の別記2の第4条5二参照)であること,③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず,若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること(甲18・756,778頁,乙37・50頁,前提事実(2)イ,別紙1参照),④この既往最大という概念自体が,有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからすると,1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある。 なお,被告は,岩手宮城内陸地震で観測された数値が観測地点の特性によるものである旨主張しているが(第3の2被告の主張(1)),新潟県中越沖地震では岩盤に建っているはずの柏崎刈羽原発1号機の解放基盤表面(固い岩盤が,一定の広がりをもって,その上部に地盤や建物がなくむき出しになっている状態のものとして仮想的に設定された表面,別紙4別記2第4条5一参照)において最大加速度が1699ガルと推定されていること(甲38,被告準備書面(4)の16頁)からすると,被告の主張どおり4022ガルを観測した地点の地盤が震動を伝えやすい構造であったと仮定しても,上記認定を左右できるものではない。
 これは電力会社の詭弁でしょうね。「被告は,岩手宮城内陸地震で観測された数値が観測地点の特性によるものである」と言っておけば、ガルの世界記録が出るような場所はそうそうありません。といいたいのでしょう。ところが大飯判決では、新潟県中越沖地震で、柏崎刈羽原発1号機の解放基盤表面において、1699ガルという極めて大きな数値がでていることに着目し、4022ガルを記録した地点が特殊という電力側の主張を退けています。
1260ガルを超える地震が大飯原発に到来した場合には,冷却機能が喪失し,炉心損傷を経てメルトダウンが発生する危険性が極めて高く,メルトダウンに至った後は圧力上昇による原子炉格納容器の破損,水素爆発あるいは最悪の場合には原子炉格納容器を破壊するほどの水蒸気爆発の危険が高まり,これらの場合には大量の放射性物質が施設外に拡散し,周辺住民が被ばくし,又は被ばくを避けるために長期間の避難を要することは確実である。
 このくらいなら私にも暗記できるか。1260ガルを超える地震が来ても耐えられる原発の建設が構造上可能なのかどうか?結局、新設フルMOXの大間が、なんとたったの650ガルしか想定していません。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141217_21021.html
「耐震設計の前提となる基準地震動は従来の450ガルから650ガルに引き上げた。津波対策の目安となる基準津波の高さを海抜4.4メートルから6.3メートルに見直した。」
巨大地震を何度も経験している東北でこんなもんです。作らせるわけにはいきません。

22日に決定が出る川内原発の仮処分の準備書面です。

本平成26年(ヨ)第36号 川内原発稼働等差止仮処分命令申立事件
準備書面11
http://no-sendaigenpatsu.a.la9.jp/karijunbi11.pdf
すごい専門的です。よく素人の裁判官にわかるわけがない。という人がいますが、ちゃんと説明したらわかる頭を皆さん持っていますよ。福島事故前からそうだったはずだったのですが、責任をとるという「ハラ」が座ってなかったのです。井戸弁護士が裁判官の時や、一部にはいましたが、非常に希少価値でした。
今は樋口判事他続々と「ハラ」を決めてくれる裁判官が出てきている。
22日も鹿児島地裁の裁判官が、ハラを決めてくれた記念日になると信じます。
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大飯判決に何を学ぶか-④ [原発問題・大飯判決]

それでは、前回の続きを書いていきたいと思います。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/237/084237_hanrei.pdf
「当裁判所の判断」以降を使わせていただき、「4 原子力発電所の特性」のところだけ、短いので助かりますが、その次の「5 冷却機能の維持について」が肝になってきますので、ここは腰を据えてかかりたいと思います。

4 原子力発電所の特性
原子力発電技術は次のような特性を持つ。すなわち,原子力発電においてはそこで発出されるエネルギーは極めて膨大であるため,運転停止後においても電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならず,その間に何時間か電源が失われるだけで事故につながり,いったん発生した事故は時の経過に従って拡大して行くという性質を持つ。このことは,他の技術の多くが運転の停止という単純な操作によって,その被害の拡大の要因の多くが除去されるのとは異なる原子力発電に内在する本質的な危険である。
「原子炉の冷却を継続しなければならず」の部分は「動かすな、原発」(岩波ブックレット)の解説によると
「核分裂で発生した核分裂生成物の崩壊にともなって発生する崩壊熱は、原子炉を停止させることで核分裂を停止させても発熱をし続けるものであり、原子炉内で生産されている熱エネルギーの5%以上を占めています。」
と説明されています。常に冷やし続けないと非常に危険であることを指摘したものです。
したがって,施設の損傷に結びつき得る地震が起きた場合,速やかに運転を停止し,運転停止後も電気を利用して水によって核燃料を冷却し続け,万が一に異常が発生したときも放射性物質が発電所敷地外部に漏れ出すことのないようにしなければならず,この止める,冷やす,閉じこめるという要請はこの3つがそろって初めて原子力発電所の安全性が保たれることとなる。仮に,止めることに失敗するとわずかな地震による損傷や故障でも破滅的な事故を招く可能性がある。地震及び津波の際の炉心損傷を招く危険のある事象についての複数のイベントツリーのすべてにおいて,止めることに失敗すると炉心損傷に至ることが必然であり,とるべき有効な手だてがないことが示されている(前提事実(6),甲14,弁論の全趣旨)。福島原発事故では,止めることには成功したが,冷やすことができなかったために放射性物質が外部に放出されることになった(前提事実(9))。
「この止める,冷やす,閉じこめるという要請はこの3つがそろって初めて原子力発電所の安全性が保たれることとなる。」ということは、どれか一つが欠けても重大事故を引き起こし、東日本大震災のように大地震と大津波が重なったケースでは、この三つを完璧にするのは極めて困難だということです。「想定外」を繰り返して弁解に使ってますが、歴史上はこのようなケースはあり得るわけであって、想定の上での安全対策が取られていなければならなかったわけです。
 イベントツリーという言葉は、後から詳しく出てきますので、「5 冷却機能の維持について」のところで述べます。
また,我が国においては核燃料は,①核燃料を含む燃料ペレット,②燃料被覆管,③原子炉圧力容器,④原子炉格納容器,⑤原子炉建屋という五重の壁に閉じ込められているという構造によって初めてその安全性が担保されているとされ,その中でも重要な壁が堅固な構造を持つ原子炉格納容器であるとされている(甲1・126ないし130頁,弁論の全趣旨)。 しかるに,本件原発には地震の際の冷やすという機能と閉じこめるという構造において次のような欠陥がある。
この「五重の壁」は、「燃料ペレット、燃料被覆管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋」になりますが、すべてが破壊され放射性物質が外に出たわけですから、これだけで安全性が担保されたことにはなりません。
下の図は、Q&A放射性物理からのものですが、福島の事故前の版のものにつき、絶対の自信を持った書き方になってますね。
Q&A11.png
「原子力発電所では、ウランの核分裂によって生じた、種々の人工放射性物質が大量に原子炉の中に蓄積されますので、これが外界に漏出しないように、原子炉には五重もの防護壁が施されています。」
事故後初めての改訂版が最近出てますが、ここの記述をどう書き換えたか見てはおりませんが、さしたる反省もなく、想定外の天変地異がない限り大丈夫とでも思っているのでしょうかね。

以上、引用は「Q&A放射線物理 改訂新版」からです。
http://www.amazon.co.jp/Q-A%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E7%89%A9%E7%90%86-%E6%94%B9%E8%A8%82%E6%96%B0%E7%89%88-%E5%A4%A7%E5%A1%9A-%E5%BE%B3%E5%8B%9D/dp/4320034538
からです。
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大飯判決に何を学ぶか-③ 冬眠明け第1号のつもりが抜かれた。 [原発問題・大飯判決]

まだ川内原発差し止め仮処分は出ておりませんが、次のロイターの記事によると五分五分だそうです。高浜原発の福井地裁での仮処分は、かなりの確率で差し止めの決定を出すのではないかと言われています。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LN08B20150219?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

それでは、今回は、昨年の続きを書いていきたいと思います。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/237/084237_hanrei.pdf
「当裁判所の判断」以降を使わせていただきます。

(2) 原子炉規制法に基づく審査との関係
(1)の理は,上記のように人格権の我が国の法制における地位や条理等によって導かれるものであって,原子炉規制法をはじめとする行政法規の在り方,内容によって左右されるものではない。
原告らは,「原子炉規制法24条の趣旨は放射性物質の危険性にかんがみ,放射性物質による災害が万が一にも起こらないようにするために,原子炉設置許可の段階で,原子炉を設置しようとする者の技術的能力並びに申請に係る原子炉施設の位置,構造及び設備の安全性につき,科学的,専門技術的見地から,十分な審査を行わせることにある」との最高裁判所平成4年10月29日第一小法廷判決(民集46巻7号1174頁・伊方最高裁判決)の判示に照らすと,原子炉規制法は放射性物質による災害が万が一にも起こらないようにすることをその立法趣旨としていると主張しているが(第3の1原告らの主張(2)),仮に,同法の趣旨が原告ら主張のものであったとしても,同法の趣旨とは独立して万一の危険も許されないという(1)の立論は存在する。

「動かすな、原発」(岩波ブックレット)の解説では
「行政法規が定める安全性審査とは別に、憲法や条理に従って原発の安全性を厳しく審査することこそが『裁判所に課せられた最も重要な責務』だということになります。」
とあります。上位の法概念としての憲法や条理(物事の筋道や道理)を安全性の判断基準にするのが裁判所の責務であると言ってますね。

また,放射性物質の使用施設の安全性に関する判断については高度の専門性を要することから科学的,専門技術的見地からなされる審査は専門技術的な裁量を伴うものとしてその判断が尊重されるべきことを原子炉規制法が予定しているものであったとしても,この趣旨とは関係なく(1)の観点から司法審査がなされるべきである。したがって,改正原子炉規制法に基づく新規制基準が原子力発電所の安全性に関わる問題のうちいくつかを電力会社の自主的判断に委ねていたとしても,その事項についても裁判所の判断が及ぼされるべきであるし,新規制基準の対象となっている事項に関しても新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく,(1)の理に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる。

こちらも、「動かすな、原発」の解説では
「新規制規準への判断は裁判所の判断を左右しないことを明らかにしてます。」
として、規制委員会のプロプロした技術的色彩の強いものには、裁判所は左右されないのだと言ってます。
「(1)の理」が時間が経ち過ぎたので
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27
こちらの、「(1) 原子力発電所に求められるべき安全性 」以降をお読みください。
ところで,規制基準への適合性の判断を厳密に行うためには高度の専門技術的な知識,知見を要することから,司法判断が規制基準への適合性の有無それ自体を対象とするのではなく,適合していると判断することに相当の根拠,資料があるか否かという判断にとどまることが多かったのには相応の理由があるというべきである。これに対し,(1)の理に基づく裁判所の判断は4以下に認定説示するように必ずしも高度の専門技術的な知識,知見を要するものではない。

この点は、推進派も反論があるのか、この人はあちこちで主張してます。
澤昭 裕 国際環境経済研究所(IEEI)所長
http://agora-web.jp/archives/1599118.html
「しかし、福島事故後に改正された新炉規制法は『国民の生命、健康及び財産の保護』を法目的に謳(うた)い、『人格権』自体を保護するための法律であることを明確にしている。判決はこの点を全く無視して、あたかも裁判所のみが人格権保護の役割を持っているかのような態度を取る。そのうえ、炉規制法に基づく新規制基準の適否について評価もしないまま、原発の危険性について独断的説示を行っている。しかも、その検討内容はずさんだと言わざるを得ず、判決後に専門家からさまざまな技術的誤りを指摘する批判が出ている。
 こうした批判は事前に予想していたとみえ、判決は『(人格権の法理)に基づく裁判所の判断は…必ずしも高度の専門技術的な知識・知見を要するものではない』と予防線を張っている。専門技術的な知識に基づく規制委の規制基準と必ずしも専門技術的な知識に基づかない規制基準が二重に存在することになるという点について、判決は何も語らない。」
 あいかわらず推進派は、我こそは原発に関しては全知全能の神だといわんばかりの傲慢さですね。そら知識の差はあるが、裁判官に、あの膨大な量の技術文書をすべて理解しなければ、判決を出せないなどということ事態がむちゃな話で、原告側の素朴な疑問に対して、きちんと証拠をしめして説明をできなかったのが電力会社なのであるから、裁判官が疑念をいだくのはやむを得ないのであって、絶対に事故がないと証明できなかった以上は再稼働はありえないのです。

一度コメントで紹介しました弁護士さんのブログですが
弁護士深草徹の徒然日記
大飯原発差止判決を読む
http://tofuka01.blog.fc2.com/blog-entry-95.html
 「このことは、原発の素人からなる司法機関が、原発裁判で、自信をもって判断を下せることになったことを意味している。
 実際、本判決でも難しい判断を迫られていない。第一に、本件原発を襲うことがあり得る地震を検討する。被告も手の施しようがないことを認める1260ガルを超える地震も起こり得るではないか。基準地振動700ガルを超える1260ガルまでの地震も起こり得る。また被告が安全という700ガル未満の地震の場合でも万一の事故は起こり得る。冷却不全に陥る可能性を認定できる。福島第一原発事故で問題になった4号機の使用済燃料プールの冷却不全の危機、そのようなことは本件原発でも起こりえる。極めてシンプルな認定だ。かくして万一の具体的危険性は幾重にも認められた。」
地震動は、後で詳細に出てくるのですが、日本で過去あった地震の規模に照らして、絶対の安全性を証明できなかったわけであるから、それよりかなり低い規準を満たしているに過ぎないのに「大丈夫です。」とは言えないし、田中のおっさんも「安全を保証したわけではない。」とはっきり言ってるのだから、そんなものを裁判官は責任持てないわけです。

(3) 立証責任
原子力発電所の差止訴訟において,事故等によって原告らが被ばくする又は被ばくを避けるために避難を余儀なくされる具体的危険性があることの立証責任は原告らが負うのであって,この点では人格権に基づく差止訴訟一般と基本的な違いはなく,具体的危険でありさえすれば万が一の危険性の立証で足りるところに通常の差止訴訟との違いがある。証拠が被告に偏在することから生じる公平性の要請は裁判所による訴訟指揮及び裁判所の指揮にもかかわらず被告が証拠を提出しなかった場合の事実認定の在り方の問題等として解決されるべき事柄であって,存否不明の場合の敗訴の危険をどちらに負わせるのかという立証責任の所在の問題とは次元を異にする。

「動かすな、原発」の解説では「具体的危険でありさえすれば万が一の危険性の立証で足りる」と書いてあります。詳しくは次の部分と合わせて後ほど述べます。
また,被告に原子力発電所の設備が基準に適合していることないしは適合していると判断することに相当性があることの立証をさせこれが成功した後に原告らに具体的危険性の立証責任を負わせるという手法は原子炉の設置許可ないし設置変更許可の取消訴訟ではない本件訴訟においては迂遠な手法といわざるを得ず,当裁判所はこれを採用しない。(1)及び(2)に説示したところに照らしても,具体的な危険性の存否を直接審理の対象とするのが相当であり,かつこれをもって足りる。

この立証責任に関する判断もかなり画期的であったようで、弁護士の方からは次のような論評があります。

大飯原発再稼働差止め判決と歴史的意義 弁護士 大橋昭夫氏
http://www.takajo-law.com/250/25010/

「すなわち,原発の稼働に具体的危険があるか否かを直接審理し,それについての証拠も,原告ではなく,被告が有していることから,実質的に被告が余すところなく,原発の稼働が安全であるということを立証しない限り安全でない,言葉をかえれば,危険性があるということになるもので,立証責任の転換がみられる。」

大飯原発・運転差止判決-司法は生きていた-福井弁護士会 笠原 一浩氏
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/data/enviroment/news_58.pdf

「本判決は立証責任につき、判断すべき対象は『かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべき』と述べ、原告が立証すべき事項を『具体的危険性が万が一でもあるのか』と設定しました。
 これは、伊方最高裁判決の、とりわけ①の趣旨を、民事訴訟に妥当する範囲で(伊方最高裁判決は、行政訴訟における判断です。)的確に理解したものです。」

なかなか自分の言葉で説明できるようになるまでは、修行が足りません。弁護士さんたちの言葉を借りながらではありますが、めげずに続けていきましょう。
冬眠明け第1号の予定がもたついている間に、ラドンに抜かれてしまいましたが、いろいろ考えてもしかたないので、アップしておきます。
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大飯判決に何を学ぶか-② [原発問題・大飯判決]

大飯訴訟の福井地裁判決の影響が、先日の、高浜、大飯差止めを求めた大津地裁の仮処分決定などにも出てきました。
それでは、今回も
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/237/084237_hanrei.pdf
「当裁判所の判断」以降を使わせていただき、続きの部分をやります。

2 福島原発事故について

福島原発事故においては,15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ,この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている(甲1・15ないし16頁,37ないし38頁,357ないし358頁)。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに,原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって,チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる(甲31,32)。

 ここに250キロ圏内がさっそく出てきます。それと避難中の入院患者の方々の犠牲に対して、原発事故の関連死として認定し、さらにチェルノブイリの事故での避難区域の範囲も考慮して、けっして原告側だけの言い分を採用したものでないことがうかがえます。
年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり,どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが,既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国,ベラルーシ共和国は,今なお広範囲にわたって避難区域を定めている(甲32・35,275頁)。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え,住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず,両共和国が 上記の対応をとらざるを得ないという事実は,放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが,だからといってこの数字が直ちに過大であると判断することはできないというべきである。

 ウクライナ、ベラルーシのケースを長期にわたって観察し、福島の事故を過小評価することなく「避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるもの」として、政府や、立地自治体さらには規制委員会の楽観的な見方をけん制する非常に慎重な姿勢には頭が下がります。

3 本件原発に求められるべき安全性,立証責任

(1) 原子力発電所に求められるべき安全性
1,2に摘示したところによれば,原子力発電所に求められるべき安全性,信頼性は極めて高度なものでなければならず,万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない。 

 これは、事故前の最高裁をはじめ司法全体の原発安全神話に対する過信への戒めともとれる言葉です。
人格権に基づく差止請求訴訟としては名誉やプライバシーを保持するための出版の差止請求を挙げることができる。これらの訴訟は名誉権ないしプライバシー権と表現の自由という憲法上の地位において相拮抗する権利関係の調整という解決に困難を伴うものであるところ,これらと本件は大きく異なっている。すなわち,名誉やプライバシーを保持するという利益も生命と生活が維持されていることが前提となっているから,その意味では生命を守り生活を維持する利益は人格権の中でも根幹部分をなす根源的な権利ということができる。 

 ”大飯判決に何を学ぶか-①”で引用した部分とも重複しますが、「生命を守り生活を維持する利益は人格権の中でも根幹部分をなす根源的な権利」の重要性を噛んで含んで説明しております。
本件ではこの根源的な権利と原子力発電所の運転の利益の調整が問題となっている。原子力発電所は,電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが,原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条),原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって,憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ,大きな自然災害や戦争以外で,この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は,その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても,少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば,その差止めが認められるのは当然である。このことは,土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら,侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば,侵害者の過失の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことなく請求が認められていることと対比しても明らかである。

政府も、電力会社ももう一回憲法を勉強しなおしなさいと言っているような気がしますが、「具体的危険性が万が一でもあれば」という慎重姿勢は、ドイツの行政裁判所のケースを彷彿とさせるものであり、裁判所は本当に生まれ変わったな、と感じさせる言葉です。
新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから,新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には,その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし,技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には,技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから,この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり,危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは,福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては,本件原発において,かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり,福島原発事故の後において,この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。

スリーマイルやチェルノブイリの事故の後に、一部の良心的な裁判官は、すでにこれと同様にことを考えていたのではないか?言いたくても言えない雰囲気はあったのでしょう。でも大部分の裁判官は、二つの事故は対岸の火事でしかなかったが、福島の事故でやっと目覚めた。それでは遅いという気もしないでもありませんが、「この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり,危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。」の部分は、見事というほかありません。確かに航空機や、自動車の事故による死者は福島の事故を明らかに上回ります。しかし、裁判官たちはわかっていたのです。一歩誤れば、東日本が放射能汚染で壊滅的な被害をこうむるところだったことを認識できたからこそ、「福島原発事故の後において,この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。 」という極めて厳しい表現を使って自らを戒めるとともに、原発を推進してきた政府と電力会社も断罪したのです。

途中でばててしまってすみませんが、とりあえずここでアップします。
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大飯判決に何を学ぶか-① [原発問題・大飯判決]

 かなり生真面目なタイトルにしましたが、川内はじめ近くの伊方原発再稼働を止めるために大飯訴訟の福井地裁判決から何を学ぶか、考えていきたいと思います。

では、画期的な判決を勝ち取った福井の皆さんのところに判決の全文があります。
福井から原発を止める裁判の会
http://adieunpp.com/index.html

 地元福井の皆さんはじめ原告団や、弁護団の活動がなかなかわかりやすく報告されています。
すでに高裁で1回めの弁論もあっています。高裁でも勝てば、今度は最高裁も棄却はできなくなるでしょう。
驚いたのは、弁護団に名を連ねる河合弘之弁護士、海渡雄一弁護士のお二人が超多忙中にもかかわらず映画まで作ってしまったというところです。
http://www.nihontogenpatsu.com/
一回見てみたいものです。九州では28日川内の仮処分審尋の日に合わせて上映されます。すごいこっちゃ。

 さて全文はあったのですが、紙判決をスキャンしたものだったので、
http://adieunpp.com/download&lnk/140521judgment.pdf
こちらの最高裁の判例DBにある判決文を使いながら進めさせていただきます。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=84237
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/237/084237_hanrei.pdf
これも全部は長いので、「当裁判所の判断」以降を使わせていただきます。

「1  はじめに」

前に大飯判決と環境基本法の理念
でも引用した部分とかぶるのですが、前はほとんどコピペで終わりましたので、今度は深い部分には、少し説明を加えることができればいいのですが、さてどうなるやら。
 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命,身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には,その被害の大きさ,程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは,当然の社会的要請であるとともに,生存を基礎とする人格権が公法,私法を問わず,すべての法分野において,最高の価値を持つとされている以上,本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。
 
「生存を基礎とする人格権が公法,私法を問わず,すべての法分野において,最高の価値を持つ」の部分が次の段で説明をされているところでしょうか。「程度に応じた安全性と高度の信頼性」を規制員会は何も保証できていないのです。「基準適合性」だけを根拠にしますが、その基準が「絶対の安全性」は保証していないし、そんなの求めても無理だという感覚から、技術的なことはどうせ馬鹿な国民にはわからんわい、とタカをくくっているから、司法に糾弾されるのです。
 個人の生命,身体,精神及び生活に関する利益は,各人の人格に本質的なものであって,その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条,25条),また人の生命を基礎とするものであるがゆえに,我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって,この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは,その侵害の理由,根拠,侵害者の過失の有無や差止めによって受ける不利益の大きさを問うことなく,人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが,その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき,その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

ここは非常に重要な部分で、岩波ブックレットの「動かすな、原発。」にも解説があります。
46ページ
このように人格権が憲法上の権利であること、人格権に基づいて侵害行為の差し止めを請求できることは、本判決独自の考えでなく、判例・通説により認められています。人格権には、名誉権、プライバシー権などが含まれますが、本判決は、生命を守り生活を維持する権利に焦点をあてています。

この解説は、弁護団の鹿島啓一弁護士によるもので、私がいろいろ言うまでもないところですが、「判例・通説により認められています。」という部分が非常に重要で、大飯に限らず、まともな裁判官で、圧力に屈しない人であれば、おそらく川内であっても、伊方で会っても同じ判決が出ると期待できるわけです。

では、また次回にといいたいところですが、ちょっと間があくと思います。それまで、ホットパーティクル論文の拡散を選挙投票日まで行うため、常にトップ記事になるようにしたいと思います。
明日からにしますが、しばし、大飯判決の意義をかみしめていただきたいと思います。
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