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放射線ホライゾン-東京に降ったセシウム・フォールアウトについて [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

探してみるとあるもんですねえ。久々の放射線ホライゾンの Hiroyuki氏による投稿です。

http://rad-horizon.net/truth-of-radiation/1057-2016-06-29-01-14-41

 下のグラフは東京の1カ月間のセシウム137の降下量で、核実験のころから福島事故後まであります。
爆発直後に顕著に現れていますね。
TokyoOlympic1964-2020.JPG

分析の結果、微粒子の主成分はFe-Zn酸化物のナノ粒子で、Csの溶け込んだSi酸化物(ガラス)と共存していることがわかった。Siガラスを形成する過程としてメルトダウンにより炉芯とコンクリートの反応と考えられる。微粒子中のCs濃度は4.4x1011Bq/gと高いため、福島の土壌の107〜108倍の放射線量を与える。
微粒子サイズは0.58-5.3μmで、Fe、Cs、Znの他の成分元素はSn、Rb、K、Mn、Cl、Pbであった。一部はAg2Se0.5S0.5、Ag-Te、Sn金属であったことからAgとSe、Teが蒸発したことが示唆される。微粒子は多孔質でCO2とH2Oが溶融時に溶け込んだことを示している。微粒子表面は固化した時に形成される構造を持つため、SiOガラスの固化がデブリ起源の気化したCsを取り込む前に起きたことを示す。


これまでお伝えしてきたことと共通ですが、手短ながら独自に分析した結果を述べていただいてます。

この発表に外国の専門家から最新のナノ粒子研究手法(SEM、STEM)を駆使したこの研究で放射性微粒子が長距離移動が解析できるようになり、今後の事故解析が正確に行えるとコメントしている。

下の図は2月に発表があった東大の報告からのようです。
http://www.u-tokyo.ac.jp/en/about/publications/tansei/10/73-recovery-agriculture.html

73-recovery-agriculture-1.jpg

今回の研究結果で都市部に落ちたフォールアウトが水で移動したり土壌中にトラップされないため、人体に取り込まれるリスクが高くなることを示唆している。都市部ではそのため長期的な人体への影響の調査が必要となる。

鳥越さん、上杉さん 是非 この人体影響 国はやろうとしないから、都の予算つけてやってください。
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ツイッター検索だけでは見逃してしまうセシウムボールの貴重な情報 [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

なんと大事な情報を見逃すところでした。セシウム89%はガラス粒子
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2016-06-30

で、紹介していた新聞記事ですが、国際学会の発表であり、その後、いくつかの専門的なブログで貴重な記事が出ておりました。”セシウムボール”などで、ツイッター検索でこまめに見てはいたのですが、意外とひっかからないものですねえ。

放射能を気体の1000倍も濃縮して東京に降下した東電福島第一原発からの粒子状セシウムの危険
http://sharetube.jp/article/3337/

宇都宮聡博士の談話:

「この研究によって、これまで福島の事故による放射性降下物に関して私たちが仮定していたことが少し違っていた、ということが明らかになりました。当初から行っていた、表層土の洗浄および除去、という手順は、正しかったと思われます。ただ、放射性セシウムは微粒子に濃縮されていることがわかったことで、環境中におけるこのような微粒子の挙動を含めたセシウム移行挙動や、この微粒子による健康影響に関しても考慮する必要が出てきた、と言えるでしょう。」

フランス・ナントのSUBATECH研究所の所長であり、東海村の国立研究開発法人日本原子力研究開発機構・先端基礎研究センターの界面反応場化学研究グループ長であるバーナード・グラムボウ教授のコメント。

「最先端のナノ界面科学装置による観測は極めて重要です。このような観測は、福島の事故が起きた原子炉から東京への放射性セシウムの長距離大気輸送についての我々の理解を変化させる可能性があり、しかし、一方では人間に吸入されるセシウム微粒子の吸入線量を評価する方法にも変化をもたらす可能性があります。実際のところ、不溶性のセシウム粒子の生物学的半減期は、水溶性のものに比べてより長いと思われます。

アメリカのビキニ水爆実験の放射性降下物を調べた米国立衛生研究所がん研究所のスティーブン・サイモン博士は、放射能粒子は気体の1000倍以上の放射能を濃縮すると指摘する。健康への影響について考え直す必要があるのはこのためである。

固形の放射能密度は1000倍大きい
 サイモン博士はロンゲラップ島民の大きな内部被ばくの原因を、放射性降下物中の微粒子(固形)が付着した食物を食べて、放射能を経口摂取したことにあるとしている。また、空気中にあったヨウ素131を吸入したりもしたが、それは被ばくのごく一部だったという。そして、飲み込んだ固形の放射性微粒子の放射能密度は、空気中のものよりも1000倍大きいとしている。
抜粋: “福島原発事故甲状腺リスク アメリカ水爆実験がんリスク報告からみる”。

健康への影響は、海外の学者の方が危機感をもっています。ちょうど知事選挙があってますが、5年前、東京で起きたことへの指摘です。
まったく無防備で選挙が、参議院に続き知事選でも行われている。まだセシウムボールはそこらじゅうにあるんですよ。

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なんと大事な情報を見逃すところでした。セシウム89%はガラス粒子 [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

選挙ばかりをやってると大事な情報を見逃してしまいます。

セシウム89%はガラス粒子
原発事故で東京への降下物分析
http://this.kiji.is/120014225440391169

東京電力福島第1原発事故の発生から4日後に東京に降下した放射性セシウムの89%は、ガラス状の微粒子に溶け込んだ状態だったとの研究結果を、九州大の宇都宮聡准教授らが27日までにまとめた。

 セシウムは雨などで洗い流されると考えられていたが、直接的に除去する方法でなければ環境に存在し続ける可能性があるという。チームは「健康への影響について考え直す必要がある」としている。

 チームは、事故発生後の2011年3月15日、原発から約230キロ離れた東京都内で採取された放射性降下物を分析した。

なんということだ東京に降ったセシウムの約9割がセシウムボールじゃないですか?これ簡単に体外に出ないのに、この選挙やイギリスのEU離脱で、関心の薄い時に発表するんじゃない!!

このアベのどあほ。
sho_fj.jpg

論文探す時間がないのでまた落ち着いたら探してみます。
Csボールで検索しないと森口先生のツイッターはひっかからないのだ。おととい書いていた。
https://twitter.com/y_morigucci/status/747568395571208192

2011/3/15の東京への降下物分析に関する昨日の報道
http://this.kiji.is/120014225440391169
は、Goldschmidtでの発表
http://goldschmidt.info/2016/uploads/abstracts/finalPDFs/1253.pdf
の関連と思われます。ここでCsMPsと表記されているのは、いわゆるCsボールと同じ性状。

まちがいない。たんなるガラス玉じゃない。ええとAグループのものでつくばと同じものか。

http://goldschmidt.info/2016/uploads/abstracts/finalPDFs/1253.pdf

ええごだ。

朝日の方が詳しいですね。

福島第一のセシウム、コンクリと反応か 九大など研究
http://www.asahi.com/articles/ASJ6V35H4J6VULBJ001.html

東京電力福島第一原発事故の発生から4日後に東京都へ降下した放射性セシウムの大半が、ガラス状の微粒子に取り込まれた状態になっていたことが九州大など日米仏の国際チームの研究でわかった。溶け落ちた核燃料が高温で格納容器の底のコンクリートと反応してできたとみられる。今もよくわかっていない炉心溶融した原子炉内の状況を知る手がかりになりそうだ。

 27日、横浜市で開かれる地球化学の国際会議で発表される。

 九大の宇都宮聡准教授(環境ナノ物質化学)らは、事故発生4日後の2011年3月15日に都内でフィルターによって採取された放射性降下物を電子顕微鏡などで詳細に分析した。セシウムの80~89%はガラス状微粒子に取り込まれ、微粒子に含まれないものはほとんどなかった。大きさは1マイクロメートル未満で、放射性物質の濃度は1グラムあたり4400億ベクレルだった。

 2200度以上になった溶融燃料と触れたコンクリート由来のケイ素などが、熱せられた後に冷えてガラス状になったとみられる。格納容器底部まで落ちたことが裏付けられ、廃炉作業の前提となる溶融燃料の位置を知るのに役立つと期待される。宇都宮さんは「微粒子がどう拡散したかの調査も必要だ」と話した。(杉本崇)
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日本地球惑星科学連合2016年大会でセシウムボールの発表が続々(2) [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

 前回の続きですけど、セシウムボールは間接的に関係があるのですが、セシウムの再飛散に関する発表を紹介します。

日本地球惑星科学連合2016年大会
http://www2.jpgu.org/meeting/2016/PDF2016/M-AG24_all.pdf

 セシウムの再飛散を取り上げた発表が4件ありました。実質的に再飛散で問題になるのがセシウムボールの吸入による健康問題ですので、文中Csボールとかは出てきませんが、半減期の長いCs137が中心になります。今後も長い期間監視が必要になりますので、そのためのソフト、ハードの開発が急がれます。

夏/秋季における大気中の放射性セシウムの再飛散過程~生物―大気循環の可能性
 平成23年3月の福島第一原発事故により環境中に多量に放出された放射性物質は、大気を通じ広域に拡散し陸域では土壌や植生に沈着した。放射性物質が沈着した地域では、それらが再飛散プロセスを経て再び大気中に戻ることで、現在も大気中に事故以前に比べ高濃度の放射性物質が浮遊している。この大気中に浮遊する放射性物質の濃度を継続的に監視することに加え、再飛散プロセスを定量的に理解していくことが、今後の推移を予測し対応を考える上で重要である。特に放射性物質の移行において、大気再飛散は、速く広範囲に移行を起こす可能性があるため、経路の一つとして重要である。
 我々のグループでは、土壌や森林から大気への放射性セシウム再飛散プロセス解明のための観測を福島県川俣町山木屋地区内および浪江町津島地区内の5地点で実施している。ハイボリューエアサンプラーを用い、大気粒子を連続的にサンプリングし、そのセシウム放射能強度をGe検出器で測定し、大気放射能濃度(単位体積大気中の放射能)に換算している。津島地区では、大気中のセシウム放射能濃度は毎年夏季に極大となる季節変化を示す。この時期、大気放射能濃度は風速と弱い逆相関傾向が見られ、昼間より夜間に大気放射能濃度が高くなった。これは、風速によらず再飛散が発生しており、地表境界層の成長や風により希釈されるためであると解釈できる。

福島第一原発事故由来放射性セシウムの再浮遊:胞子は重要な役割を果たすのか?
 著者らは, 福島第一原発事故の放射能汚染による大気環境影響評価のため, 福島県内の汚染地域に設置された観測地点で放射性セシウムの大気への再飛散を研究してきた。その結果, 1) 都市部での観測結果と異なり, 典型的な里山である観測点では,特に夏季に放射性Csの大気中濃度が上昇し(Fig. 1),2)これを担う粒子は, 見た目や光学顕微鏡像からダストと思われたが, 意外にもその大部分が実は生物由来であること(Fig. 2)を見出した。真菌類が放射性Csをカリウムと誤認し濃縮する事実を考慮すると, 再飛散を支える実体として胞子が想定できる。仮に真菌胞子のみが137Csを運ぶとして, 胞子一個当たりの137Cs量を幾つかの仮定下で推定すると, 5×10-10-3×10-7 Bq/個となり, 森林から胞子が9×103-5×105個/m2/秒飛散する必要がある。この値は,Sesartic & Dallafior (2011) Table 2のForestの最大値387個/m2/秒よりも1~3桁も大きい。しかし実際, 今夏の予備観測で,バイオエアロゾル個数濃度は5-8×105個/m3に達することが確認され, 我が国の森林から予想以上のバイオエアロゾルの飛散が起きていることがわかった。さらに上記仮定に基づくと, 大気中137Cs濃度は2.5×10-4-0.15 Bq/m3となり, 現実の放射性Csの再飛散と凡そ辻褄が合う。これらから, 夏季におけるバイオエアロゾルによる放射性Csの再飛散を真剣に考慮すべきことがわかってきた。

空間線量率と気象条件の相関に関する研究
 長期間の被ばくリスクは、放射性核種の再浮遊プロセスによって引き起こされるとされている。そこで、私たちは放出された放射性核種の大気・地表面での挙動に着目する。放射性核種は土壌へ沈着、大気中を漂うなど複雑な挙動をするが、それらには気象条件が大きく影響を与えている。それに伴い、線量と気象条件の関係を明らかにする必要がある。
 本研究では、空間線量率と気象条件との相関関係を解析している。放射性崩壊の線量の減少を取り除いた空間線量率の変動は、土壌水分と負の相関関係があることが確認された。この結果により、気象データを使用し空間線量率を回帰させることができた。逐次的に状態推定値を更新することができるカルマンフィルタを使用した空間線量率の推定も実測値と制度の高い結果を得ることができた。

原発事故由来の放射性セシウム大気濃度の長期解析:土壌、植物からの再飛散
はじめに

 2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い大気中に放出された放射性Csは、東北・関東地方において広範囲に沈着した。事故約1年半後の2012年12月以来、避難指示区域内に位置する福島県浪江町・浪江高校津島分校の校庭において、放射性Csの大気濃度の長期間変動と、陸面に沈着した放射性Csの再飛散を評価するために、連続観測が行われて来た。本研究では、約30年と半減期の長い137Csを対象として、再飛散モジュールを実装した3次元物質輸送モデルと、避難指示区域内(浪江高校)と区域外(茨城県つくば市)の2地点の長期間大気濃度観測結果を用いて、東北・関東地方における再飛散を伴う137Csの収支解析を行った。期間は2012年12月から2013年12月までの約1年間を対象とした。

手法

モデル: 省略

観測:大気濃度は、浪江高校校庭および茨城県つくば市の気象研観測露場(Igarashi et al., 2015)でハイボリウムエアサンプラーを用いて捕集されたエアロゾル中の137Cs濃度の測定値を用いた。サンプリングの時間間隔はそれぞれ、浪江高校は1日間、気象研は1週間である。

結果
 浪江における137Cs濃度は、冬に低く(0.1 –1 mBq/m3)夏に高い(~1 mBq/m3)傾向が見られ、つくばにおける濃度(0.01-0.1 mBq/m3)に比べて1桁程度高かった。モデルにより計算された2地点間の濃度比は、観測の濃度比と整合的であった。土壌からの再飛散は、逆に冬に高く夏に低くなる傾向があり、絶対値は冬季の浪江の観測値を説明できるレベルであるが、夏季の濃度ピークを1-2桁程度過小評価した。解析期間中の原子炉建屋からの放出量は約106 Bq/hr程度(TEPCO, 2013など)であり、浪江の観測値を説明できるレベルではなかった(2-3桁程度過小評価)。植生からの再飛散計算結果は、浪江の季節変動をよく再現し、10-7 /hrの放出率を仮定すると、観測濃度の絶対値と同レベルとなった。依然、事故から5年が経過した現在でも再飛散のメカニズムは明らかにされておらず、観測・実験に基づいたメカニズムの解明研究の発展が望まれる。
 個別にコメントはしたかったのですが、だんだん時間がなくなってきましたので、まとめてで失礼します。前の記事のGroup Bが浪江の土壌からのものであったこともあって、再飛散も浪江を場所的に選んだ気がしないでもありません。
 特に浪江の津島地区は帰還困難地域です。
http://www.town.namie.fukushima.jp/site/shinsai/20160401kuikiminaosi.html
「▽ 帰還困難区域は、平成29年3月末まで居住が制限されるという方針となっています。他方、政府は平成28年夏までに、平成29年3月以降の帰還困難区域の区域見直しに向けた国の考え方を示すという方針を出しています。」
 もうじき見直しに入る時期ですので、この再飛散問題を早く決着をつけたかったのではないでしょうかね。いずれの発表も夏場にセシウム濃度が上がるとなっていますので、安易に基準値を緩和するようなことはやめて、きちんとデータをとって、科学的な対策が取れることを見越したうえで見直しをはかるべきです。

 さて、五十嵐 康人氏,足立 光司氏のお二人は前回のセシウムボール関連発表の共同研究者でもあり、 セシウムボールの研究に関しては、佐藤志彦氏と共になくてはならない人たちです。

以前に
気象研究所は、Csボールの再飛散に注力すると見たが如何に
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2015-10-21

を書きましたが、このとおりに進めていただいています。

これは再飛散と関係ありませんが、ベイズの定理が出てるのでタイトルのみ紹介しておきます。

空間的冪特性を考慮した土壌中Cs-137の移行モデルの検討

意味はむわったくわかりません。

 さて、アベ政治許さない日(に無理やり持っていきましたが)でもありますので、やはりこれを出さないわけにいきません。再飛散対策は、福島においては非常に重要な政策になります。どこまで復興を真剣に考えているのか?安易に帰還を勧めるべきではありません。今回の再飛散に関する研究成果を踏まえて、まだ当分の間は帰還をを急ぐべきでないし、ましてや、補償打ち切りなどとんでもありません。
sho_fj.jpg

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日本地球惑星科学連合2016年大会でセシウムボールの発表が続々(1) [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

毎日新聞も記事にしましたが

福島第1原発事故 飛散微粒子3種類
http://mainichi.jp/articles/20160524/ddm/012/040/029000c
まずはこちらから引用
東京電力福島第1原発事故で放出された放射性セシウムを含む微粒子が3種類あることを、阿部善也・東京理科大講師(分析化学)らの研究グループが突き止め、23日に千葉市であった日本地球惑星科学連合大会で発表した。形状や化学組成が異なっており、事故のメカニズムを知る手がかりになる可能性がある。
 微粒子は、(1)直径数マイクロメートルの球形(2)直径数百マイクロメートルで不定形(3)直径数マイクロメートルの不定形で不均質−−の3種類。気象研究所(茨城つくば市)などの大気粉じんフィルターや福島県内で採取したそれぞれ7〜15個の微粒子を分析し、分類した。(1)は2号機が放射性物質を大量放出した2011年3月15日朝に飛散。(2)は福島県の土壌で見つかり、飛散時期は不明。1号機由来とみられる。(3)は塩素が多く含まれ、炉に注入した海水に由来する可能性があるという。
 福島第1原発では溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)がどこにあるかもわかっていない。阿部講師は「微粒子の状態から事故の経過を分析し、詳しく分からない炉内の状況の推測につなげたい」と話している。【酒造唯】

各発表の要旨集がありました。セシウムボールや再飛散に関連のある発表を紹介します。
http://www2.jpgu.org/meeting/2016/PDF2016/M-AG24_all.pdf

 まずは、セシウムボールを直接扱っている発表からいきまして、次回、再飛散の問題を取り上げた発表を紹介させていただきます。

福島第一原発事故により放出された粒子状放射性物質の物理・化学的性状の解明
本研究により,異なる物理・化学的性状を有する3種類の放射性粒子(Group A,B,C)の存在が明らかとなった。

 Group Aは直径1~5 µmと小さく,基本的に全て球形である。足立ら1)により,事故直後の2011年3月14~15日に気象研究所で捕集された大気粉塵から発見され,1粒子で約1 Bqの放射能を有し,質量濃度にして%オーダーの高濃度のCsを含むことから,通称「Csボール」と呼ばれる。またCsの他にもRb,Sn,Baなど核燃料の核分裂生成物(FP)由来と考えられる元素を含み,一部の粒子では核燃料由来の可能性があるUも検出されている2)。FP以外にもSi,Fe,Znなど炉の構成材料由来と考えられる元素も含まれている。Siを母体とするガラスだと考えられ,非水溶性である2-4)。長期的な環境影響が懸念され,実際に福島県内の屋外プール堆積物中にもこの種類の粒子が残留していることが明らかになっている。134Cs/137Csは約1であり,2号機または3号機から放出された可能性が高い。ただしCuやNi,Agなど,一部の粒子からしか検出されていない元素も見られ,単一的な生成・放出過程であったとは考えづらい。

 Group Bは,福島第一原発北西地域(福島県浪江町)の土壌から分離された放射性粒子である。同地域には,佐藤ら3)により1号機由来の放射性物質が飛来した可能性が指摘されている。球形でµmオーダーのGroup Aとは異なり,Group Bは大型の不定形粒子で100 µmを超えるものもある。粒子自体はGroup Aと同じくSiを母体とするガラスであると考えられるが,CsよりもBaを多く含む傾向にある,Group Aでは検出されていないSrを含む,Sbに富むといった点で,Group Aとは組成的特徴に差が見られる。また粒子内に数µmオーダーでFeやMo,Sn,Uなどの一部の金属元素の濃集が見られ,SR-µ-XANES/XRDにより,こうした濃集点においてガラスではない相の存在が示されている。

 Group Cは,2011年3月30日に産業技術総合研究所で捕集された大気粉塵より分離された放射性粒子である。粒径はGroup Aと同程度の数µmであるが,球形ではなく凹凸があり,角張った形状のものが多い。上記の2グループの粒子とは異なり,Group Cの粒子の主成分はSiではなく,重元素組成にもGroup AおよびBとは明確な違いが見られた。これら3グループの粒子の物理的・化学的性状の違いは,その生成・放出過程の違いに起因するものであると考えられ,事故後に複数のプロセスによって粒子状の放射性物質が環境中に放出されたことが化学的に実証された。
 新聞記事で取り上げられた研究発表で、メンバーも一昨年暮れのEテレサイエンス・ゼロに出てこられた皆さんが中心になっています。
 今回貴重なのは、セシウムボールに三つのタイプがあるということ。私は、形が球状でないCタイプは、完全に取り出せていないのではないかと思っていましたが、”く凹凸があり,角張った形状”のままであるということです。となると、あのイギリスのブリストル大学の論文のものもこのCタイプのものだったのか、とも思ってしまいました。
 重要なのは、Bタイプでストロンチウムが検出されたことと、このタイプにはウランも含まれサイズが大きいことがあげられます。幸い肺胞に入っていくには無理があるのかもしれませんが、やはり要注意のものですね。

強酸抽出後の残渣土壌に含まれる放射性粒子

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する、福島第一原発事故では環境中に大量の放射性物質が放出した。地表面に沈着した放射性物質のうち、半減期が約30年であるセシウム137の除去技術の確立は、除染に伴い発生する土壌の減容化のためにも不可欠である。本研究では2012年10月に福島県本宮市で採取した土壌に対し、強酸リーチングを含む連続化学抽出を行い、残渣中に含まれる放射性物質の存在形態を把握することで、土壌中に存在する放射性セシウムに対する基礎情報を取得した。
 未処理の土壌に含まれる137Csは2011年3月11日時点で8 kBq/kgだった。水溶性成分、陽イオン交換成分、有機物付着成分、強酸抽出成分を順番に抽出し、最終的に約50%の放射性セシウムが残留した。存在形態を把握するため残渣土壌のオートラジオグラフィーを取得したところ、無数のスポット状汚染が見られた。このスポット汚染を直接取り出し、透過型電子顕微鏡で観察すると球状の塊で、さらにエネルギー分散型X線分析により、鉄、亜鉛、ケイ素、酸素さらにセシウムが元素として検出された。これらの特徴は茨城県つくば市で事故直後に観測されたセシウム含有粒子(Adachi et al., 2013)に類似しており、つくば市で見つかったCs含有粒子が広範囲に分析していると考えられる。また粒子全体に占めるケイ素と酸素の割合が大きく、この特徴はSatou et al.,(2015)およびYamaguchi et al.,(2016)とも類似している。ケイ酸塩は一般的に耐酸性を示すため、同様の現象が放射性粒子にも見られたものと考えられる。
 こちらは土壌の中にセシウムボールが含まれていて、それがかなり広範囲に分散されていることですね。"スポット状汚染"という表現から、ホットスポットの中心には、セシウムボールの集団、塊があると見ていいのではないか?というところですね。

今回の二つの発表のいずれにも

放射化学33号掲載の放射性粒子の生成プロセス
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2016-04-27

の論文を発表された佐藤志彦氏が共同研究者として参加されています。
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サプレッションチャンバー(S/C)は、セシウムボールの元をカットできたか?(2) [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

200記事を達成して安心してしまってさぼってもいかんので、早目に続きを書いておきます。

前回
>1号ベントにここを考えるヒントがあります。
と、書きましたので、さっそく1号ベントを見てみたいと思います。

足田考人氏の1号ベントの続報です。

詳細記載 (5):1号機のベント(その2、ベントラインの超高線量汚染)
http://ashidakouto.blog.fc2.com/blog-entry-6.html

(排気筒の根元付近の超高線量)
2011年7月31日、1・2号機排気筒の根元付近でガンマ・カメラにより2つの強力な線源が発見された。翌8月1日の測定により排気筒に接続する非常用ガス処理系配管で最も線量が高かったが、測定器の限界である10000mSv/h(10Sv/h)を振り切ってしまい、どこまで高い線量なのか分からない状態であった。
 ガンマ・カメラの画像は非常用ガス処理系配管とは排気筒の反対側(南西側)から撮影されているが、間にある鉄管や鉄柱を透過して明瞭な異常が感知されている。
 とんでもなく危険な致死レベルの超高線量だったことを思い出しました。配管の中にベントで放出された時のセシウムが溜まりにたまっていた。

だが、よく考えると、汚染されたベントラインに付着しているのはセシウムであり、排気筒の外に出たものは少なかったと思われる。つまり、圧力抑制プールから放出された排気にはセシウムも大量に含まれていたが、大部分は途中のベントラインの内壁に付着して、排気筒から外気に放出されたものは少なくなったと思われる。
 上記のようにベントライン全体が異常に汚染されている。管の外側は放熱するから、管の中を通る水蒸気は冷やされて内壁に水が付着し、そこに放射能が吸着されたと思われる。水酸化セシウムは水に対する親和力が強いので、セシウムが選択的に管壁に付着したのではないかと考えられる。
 ベントでもサプチャンでカットされずに、セシウムが排気口付近まで出て行ったことはこのことからわかったわけですが、なぜ、そのような事態になったかは、足田氏のブログの最初の記事に書いていただいています。
概要
http://ashidakouto.blog.fc2.com/blog-entry-1.html
(1号機ベント)
12日14時ごろから1号機のベントが始まった。NHKのヘリからの撮影で、排気筒から白い蒸気が北西方向に横に勢いよく流れる様子が捉えられている。その風下5.6kmに位置する上羽鳥のモニタリング・ポストでは、14時40分に4613μSv/hの空間線量率が記録された。これは事故全体を通して原発敷地外で測定された最大の値である。このベントにより大量の放射能が放出された。
 1号機のベント配管やそれに接続する系統は最も著しく汚染されているが、それはこの時のベントに因るものである。圧力抑制プールに水があればガス状の放射能以外はプール内に残るので、そのような酷い汚染が配管に生じるはずがない。ベント時には、プール内の水が無いか非常に少ない状態だったと思われる。崩壊熱に再臨界で発生した熱が加わることでプールの水が蒸発したと考えられる。
 プールに水がなくなってしまえば、ドライベントとさして変わりはない。それが、3号でも5回目のベントでは、その状態に近いことが起きていたのではないか?
 もう一度原子力学会の次の資料
「3 号機のベントに関する検討」
http://www.aesj.or.jp/~snw/media_open/document/nhk_saisaikougi150521/tennpu1_3goukibento.pdf
4ページ
ヨウ化セシウム.png
5ページ
注目すべきはプール水が沸騰している方が沸点以下の場合よりも DF が高い値を示していることである。また、DF は蒸気が放出される水深が大きいほど高い値を示しており、水深 3m 程度でも DF は約 100 である(放射性物質の 1%が外部環境へ放出され、99%がプール水中に残留する)ことが分かる。
 3 号機における 1 回目から 5 回目のベントは格納容器内の圧力が大気圧より高い状態でベントが行われており、プール水はベント弁が開くと沸騰する。
 DFが100ということは、1/100が外部に放出されたことを意味しますので、1%が外部に出たにすぎないといっても、今回は放出量が天文学的数字ですから、この場合の1000分の1と100分の1では雲泥の差です。

東京電力も原子力学会もベントの性能のよさを誇るつもりだったのですが、次のブログ記事に、昨年秋ニュースになった新たな事実が書かれています。

3号機も高濃度汚染源…ベント後、北西に大量放出:フィルターが付いていれば・・
http://ameblo.jp/syuukitano/entry-12086368975.html

 全体の1%未満に対し再検討と、読売にしては珍しくつっこんだ書き方をしていますが、ウェットベントでも99%カットできるとは限らないことを認めています。同じニュースですが河北新聞の記事です。

3号機ベント後大量放出?
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201510/20151020_63063.html

「研究グループの推定では、3月20日に3号機から放出された放射性物質が岩手、宮城県境付近を、3月20日夜から21日朝に2号機から出た放射性物質が茨城県南部を汚染した可能性があるという。」

 この時の岩手、宮城県境付近というのは、今からでも遅くはありません。きちんと検証すべきです。私も反対しましたが、まさに海側の地域のがれきの広域処理で、放射性物質を懸念するのは考えすぎだ、絆を無視する非国民とまでいう者もいましたが、両県に対して、このことが正しく伝えられているのか?この新聞記事は、もともと9月に開催された秋の原子力学会での発表によるものです。ということは実際にはもっと早い時期にデータは出ていたでしょうから、こっそり発表するのではなく重要なことは、いち早くプレスにするべきです。

2号ベントに関しましては、一度次の記事で検討しましたので、今回はカットして
3.15 2号爆発を考える-結局のところシールが溶けたのか
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2016-03-18

また足田氏に助け船を出して終わりにしたいと思います。
(2号機のベントはなぜ失敗したか)
弁の開操作に伴う圧力低下が認められないので、2号機のベントは失敗であったとされる。格納容器の圧力はラプチャーディスクの作動圧を上回っていたのに、なぜかディスクが破れなかった。注水量が多すぎて圧力抑制プールが水没し、ベント管の中にまで水が入ったため、水柱の高さ分の圧力が格納容器側より低くなり、ラプチャーディスク作動圧まで上がらなかったと想像される。
 ただ2号由来セシウムボールは検出されていますので、失敗したドライベントとはいえ、何がしかの形で、大気中に放出されたのは間違いありませんので、警戒を緩めるわけにはいきません。

 さて、いくらか見えてきたセシウムボールですが、私のブログの初期のころは、次の私設原子力情報室さんのブログをよく読んでおりました。

放射性物質はいかに飛散し人体に入り込むのか(2)
http://nucleus.asablo.jp/blog/2014/08/10/7410771
この<セラミクス→メルトダウン→セラミクス>という事態が、原子炉内で起きたのです。そこにあったのはウランやプルトニウム、放射性セシウムや放射性ストロンチウムでした。そして、すべてが大きな塊にまとまったのではなく、一部は、微粒子=ホット・パーティクルとして舞い上がり、はるかかなたにまで、放射性物質を届ける役割を果たしました。
 福島の事故のホットパーティクルもチェルノブイリと似たようなものだろうと、しかし、一昨年暮れのEテレのサイエンス・ゼロ以来、やはりやや違うものだと言うことははっきりしてきました。

 ツイッターで次の情報を得たのですが、論文の記事が見当たりません。

参考:MONDALより、一般公衆がCs137粒子(AMAD=1.0 μm)を急性吸入摂取してしまった場合におけるCs137体内残留率の経時変化。
Fタイプ→http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/RPD/JPDF/y/jyCs137FWB.pdf
 こちらは水溶性のセシウムと思われます。1.E-08は、0.00000001ですのでほとんど0ですね。
Sタイプ→http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/RPD/JPDF/y/jyCs137SWB.pdf
 こちらは非水溶性のものでしょう。ただ、一定期間すぎても0には近づかない。
どこのサイトかと思ったら「国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所」でした。
あれこれURLをいじってましたら
http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/RPD/yinhalj.php?nuc=Cs137&type=&media=&gr=
これでした。ICRPベースの考え方による推定値によるだけで、セシウムボールというわけではありませんでした。まあ勘違いだけど、いずれ、ICRPにこれがセシウムボールの場合は、そうそう体外に排出されないということは認めさせないといけません。

 プルトニウムはもちろんのこと、ストロンチウムもセシウムボールからは検出されたことがありません。この先はどうなるかはわかりませんが、生成の過程での、温度や圧力の関係で、チェルノブイリとはまったく別もののホットパーティクルが出来てしまったと思うしかありません。隠ぺいだ、陰謀だと言ったところで、何も変わりません。
 ただ、2011年の3月15日午後3時から翌日午前9時までの18時間、東大本郷キャンパスでずっと野外にいたら、とんでもない量の放射性物質がマスクに着いていたという事実は変わりません。
http://mononomikata-kerogg.blogspot.jp/2011/12/blog-post.html
 恐ろしいのは、もしマスクをしていなかったら「内部被曝は9.3マイクロシーベルトに相当」したということです。そしてそのマスクこそが、何度かこのブログで使ってきました次の画像です。
B3yK3MKCAAAfm3x.png
IPを通すと、まさにセシウムボールを検出してきたフィルターと同じように多数の黒点が現れます。今も東大で保管されているはずです。すぐにセシウムボールを取り出してSPring8で分析をしてもらいたい。9.3マイクロシーベルトの物質は何だったのか?明らかにする責任が、東大アイソトープ総合センターにはあります。宜しくお願いします。まあ見てはないでしょうが。
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サプレッションチャンバー(S/C)は、セシウムボールの元をカットできたか?(1) [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

 この記事がちょうど200記事目になりますが、どのテーマでいくか迷いましたが、やはりホットパーティクル、セシウムボールでいくとしましょうか。

放射化学33号掲載の放射性粒子の生成プロセス 
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2016-04-27
で引用させていただいた佐藤志彦氏の論文の次の部分をここのところ考えておりました。
3 号機由来の放射性粒子は未だ北西地域からは発見されていない。その原因について 3 号機の汚染はサプレッションチャンバー(S/C)を経由したウェットベントであり、この場合、汚染蒸気はケイ酸建材の存在するドライウェル(D/W)を通過しない。そのためプリュームに粒子が混入する機会がなかったと推定される。そしてこの観測結果は粒子生成過程の仮説とも一致する。
 3号に関しては5回もベントがあったと最近知ったようなことなのですが、そのすべてはウェットベントですので、3号機からセシウムボールが放出されたことがあるとすれば、水素爆発説によると、原子炉の中の物は爆発では、ほとんど出てないということ矛盾することになりはしないか?
 プール即発臨界爆発の場合は、さすがに短時間でプールのコンクリートと反応してケイ素が気化して、ウランなどと合体するかとなるとこれも無理があるか?ジルコニウム始め燃料や燃料集合体のラックの金属の比率がウランと共に高く、ケイ素がかなり低いとなれば、プール即発臨界により形成されたものといえなくもないです。
 まず、5回のベントについては次の所に情報があります。
「3 号機のベントに関する検討」
http://www.aesj.or.jp/~snw/media_open/document/nhk_saisaikougi150521/tennpu1_3goukibento.pdf
後でまた触れるとして、セシウムボールに関する最初の論文を見てみましょう。

福島核事故の初期段階における球状セシウム含有粒子の放出
http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2014/05/nature.html
 この論文の段階では、Spring8での検証をしておりませんので、ウランは検出されていません。
図をお借りしますと、
セシウムボール成分.png
やはりシリカ、ケイ素が多いですね。格納容器の中のコンクリートなどのケイ素が放出されたことを示していると言わざるを得ないでしょう。
 論文では次のように説明されています。
e) 地域における別の元素の元素分布。O、Si(シリコン)、Cl、Mn、Fe、Znは粒子内にCsと併存している可能性がある。われわれはCs粒子1の水溶性を、粒子の浸水前後の形状を比較することによって分析した(図S7)。その結果、少なくとも大気移動期間中の粒子は不溶物であることが示された。
 この後、理科大やいくつかの論文発表があり、セシウムボールの生成原因の解明が行われていくのですが、時系列的に見た場合、3月14日21:10から3月15日09:10までつくばで捉えられたものの中にセシウムボールが検出されたことから、3号機の爆発前後が考えられますが、ベントが原因だとすれば、次のとおりからみて
3号ベント.png
4回目ぐらいしか考えられないですね。水素爆発の前に、すでにウェットベントでわずかながらセシウムボールが形成され、それが敷地内を漂っていて、爆発で拡散されたか?あるいは、最近といっても昨年末ですが、格納容器の継ぎ目に使われるシール材が、高熱で溶けていたと推定されたことから、格納容器から漏れた水蒸気からセシウムボールを形成し、これが爆発と共に拡散して、海側に行った風が、関東方向に向きを変えていった時の気流に乗ってつくばまで運ばれたかです。

 前の方の記事で使った画像ですが
稲やダストフィルタへの付着物.png
25年産米の南相馬市での基準値超過がニュースになった時に、3号機のがれき撤去が原因でないかと疑われ、いくつかの地点の微粒子の分析をした時のものです。
 稲の葉に付着していた粒子からはウランも検出され、すわ3号の時のものかと思ったのですが、やはりケイ素が突出しています。むしろ小高局のダストから見つかったものの方がケイ素が少なく、鉄やアルミニウムが多いのですが、これからはウランが検出されていない。なかなかそう都合よく行きません。
 今回は、3号爆発を考えるのがテーマではありませんので、タイトルにあるサプレッションチャンバーで、ベント時にセシウムなどをどの程度カットできるかについて考えてみたいと思います。

次の論文集は、1990年代に書かれたもののようですが
https://www.jstage.jst.go.jp/article/htsj1962/34/133/34_133_39/_pdf
3番目(14ページから21ページまで)の

軽水炉 シビアアクシデ ン ト時の伝熱流動 杉本 純氏(日 本原子力研究所)

を読んでみました。なかなか全体的に勉強になる部分が多いのですが、今回は、19ページあたりのプールスクラビング効果のところを見てみたいと思います。
プールスクラビング効果.png
ヨウ素に関しては、ほぼ99.9%カットできているようです。ただちょっと気になったのが次の部分
FP挙動についての今後の課 題としては、特に実験データの少ない、低揮発性(Te,Ru,Stな ど)や短半減期核 種(1311な ど)の高温での燃料からの放出挙動 、配管内再蒸発や再浮遊挙動、 格納容器内再浮遊等に関する実験的知見を蓄積するとともに、これらに関する解析モデルの開発 ・検証が挙げられる19)。
 これが1990年代の論文ではあるのですが、3号機はそれ以前に建設されており、この論文執筆当時は、引用部分がクリアーできているとは到底思えません。
 大気汚染対策のための集塵装置の集塵率を見てみると
http://www.ducol.co.jp/techinfo/dust_collector_efficiency/
サプレッションチャンバーと類似の方式として、溜水式スクラバを見てみると
集粒子径は、1μm以上 集塵効率は、95%まで
ということで、もしかしたら、気化したセシウムをS/Cで完全にカットするのは困難なのではないか?と見ております。もっともここで冷却されるために、セシウムボールを形成するほどの温度を維持できないから、水溶性のセシウムのまま放出されるか、あるいはベント管にへばりついて、留まってしまうかもしれませんので、定説どおりウェットベントでは、セシウムボールが形成されないということは説として成り立つのかもしれません。

1号、2号につきましては、また続きを書きたいと思います。1号ベントにここを考えるヒントがあります。
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福島原発メルトダウン氏のセシウムボール発生の見解 [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

いつもコメントで取り上げるだけでしたので、今回は記事として福島原発メルトダウンさんの見解を見てみたいと思います。

http://www.asahi-net.or.jp/~pu4i-aok/cooldata2/politics/politics27.htm

なかなか長文ですが次の所。

3号機:

「炉心シミュレーションに あるように崩壊熱とジルコニウム酸化熱で炉心が2000℃を越えるのはメルトダウン後6-8時間程度の期間で24時間後には水で冷却せずとも放射冷却で 1200℃以下になってしまう。したがってセシウムホットボールが生成したのはこの期間という ことになる。3号機は13日未明にECCSを手動で停止してますからここからメルトダウンが始まってとしてセシウム・ウラネートが気体・ミストとなって吹 き出し、水素で還元され金属としてガラス球に封じ込められたという推論が成立うる。こうして夕刻にはセシウムホットボールが生成していたと考えられる。し たがってNHK番組の推論のように注入海水がほとんど復水器にながれて冷却不足であったため、熔融炉心の温度が上がったという推論を無理に採用しなくとも セシウムホットボールは生成したし、森永先生の指摘のように局部的再臨界があればより多くの熱がでるのので補強される。というわけで気象研究所の分析のよ うにウランもプルトニウムもごく微量だがセシウムホットボールに含まれていたという測定結果も説明できる。これがベント管内に蓄積し15日深夜のベントで 大気放出されたというNHKの説明も成立する。したがって藤原節男氏が危惧するような核爆発が3号機であったという仮説は不用と思う。」

 森永先生の指摘と言うのがどこにあるかはわからないのですが、建屋の外にベントや爆発で放出される前の段階でセシウムボールはできていたという説になります。これがベント管の中に溜まっていって、ベントで放出された。外気との圧力差や、温度差は必要ないと言うことです。

前の記事の、佐藤志彦氏の見解とは異なります。

で、福島原発メルトダウンを書かれた方は

グリーンウッド氏の経歴
http://www.asahi-net.or.jp/~pu4i-aok/core/editorialdata/profile1j.htm
でこういう本を出されてますね。
原発敗戦―事故原因の分析と次世代エネルギーの展望
http://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E6%95%97%E6%88%A6-%E9%9D%92%E6%9C%A8-%E4%B8%80%E4%B8%89/dp/4777517322/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1355193592&sr=1-1-catcorr
名前がわかってしまいますが、他にも著書論文があります。

論文と随想集
http://www.asahi-net.or.jp/~pu4i-aok/core/editorialdata/profile2j.htm

 エンジニアとしてのキャリアはかなりある方です。佐藤志彦氏はじめ筑波大学、気象研、東京理科大学などで、研究された成果は、現物のセシウムボールを取り出して分析されていますので、私は、建屋の外に放出された後に冷却されてセシウムボールができたという説を支持するのですが、そうすると3号プール爆発説との絡みもあって整合性が取れるやら自信がなくなってきますので、最近は、都合よく、プール内即発臨界では、ウェットベントと類似なので、セシウムボールは形成されにくい説などと勝手なことを言いだしております。

 私の戯言はともかくとして、ここは3号爆発説から離れて、純粋にセシウムボールの生成メカニズムについて検討してみたいと思います。
 福島原発メルトダウンさん、グリーンウッド氏と言った方がいいのでしょうが、3号ベントは15日深夜と言われていますが、実は5回あって次のPDFは原子力学会がNHKにいちゃもんをつけた時の添付資料ですね。

「3 号機のベントに関する検討」
http://www.aesj.or.jp/~snw/media_open/document/nhk_saisaikougi150521/tennpu1_3goukibento.pdf

15日深夜にあったとすれば、5回目のベントになるでしょう。

7ページ

「5 回目のベントは図 1 で示すように格納容器の圧力低下速度がゆるやかで、0.15MPa に達したのは 17 日の夜である。しかし、ベント弁を開いた時点での圧力の低下速度は早い。例えば 0.43MPa から 0.40MPa に低下する間に約 25トンの、0.3MPa に低下する間には約 100 トンの高温・高圧の蒸気が地下埋設配管を通って放出される。5 回目のベントで格納容器から放出された水量は約250 トンであり、その 94%は C 部のプール水から蒸発した蒸気である。

 圧力が下がるまでえらい時間がかかっているのですが、つくばで捕獲されたセシウムボールは、14、15日中に気象研究所のフィルターに収まったものを分析し、ウランなどが見つかっていますが、正確には3月14日21:10〔日本時間〕から3月15日09:10までのものです。
http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2014/05/nature.html

 5回目のベントのものは、この時期につくばで捕獲されるというのは不自然ですね。4回目は水素爆発のちょっと前の14日朝6時頃です。水素爆発説であれば、4回目のベントで出たものが、まだ原発敷地付近を漂っていて、これが11時の爆発によって一気に拡散し、風に乗って15日に関東付近まで飛んできたと見るべきか。
ただ4回目はあきらかなウェットベント-「4 回目のベントでは 0.36MPa でベント弁が閉じられたため、残留水量が最も多いが、それでも 1 トン未満である」とあります。-のようですから、セシウムボールは形成されにくい。
 となると、ウランが検出されたふたつの球体、あ、これは、東京理大の論文にしか出てこないのか。原文は英文でさらに有料です。
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ac501998d
そこでかって、kenkenさんが公開していた論文の文書部分を
http://johnadreams58.rssing.com/chan-33284981/latest.php#item3
で読むことはできるのですが、残念ながら画像が表示されません。

ウランに関しては

「このウラン・セシウムを含む計14種類の重金属元素の検出について、Abeらはその出所を検討している(Fig.3)。これによれば、ウランは燃料に由来し、9つの元素(Rb, Zr, Mo, Ag, Sn, Sb, Te, Cs, Ba)はその核分裂反応の生成物と考えられる。またリアクターの構造にも起因する。原子炉容器にはFe・Mn・Crを含むステンレス鋼が用いられ、燃料被覆管にはZn-Sn合金が使用されている。Znは一次冷却水にも含まれている。前記事 の微粒子のSEM-EDS解析ではケイ素(Si)が検出されているが、これは燃料棒が溶融してコンクリート基盤と反応した結果ではないかとAbeらは書いている(コンクリには二酸化ケイ素が含まれるらしい)。」

 3号プール爆発であれば、ケイ素は少ないはずで、使用済燃料からだと、ジルコニウムの比率が高いはず。
謎は謎のままがいいのか?時間から逆算すれば、3号爆発時の放出が一番合理的ではありますが。もっともわずか二つばかりのセシウムボールからウランが検出されたからといって、それがすべてを物語るわけではありませんが、もっと多くの地点にあるセシウムボールの分析をお願いしたいところです。
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放射化学33号掲載の放射性粒子の生成プロセス [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

放射化学33号38ページにセシウムボールに関する発表論文があります。
http://www.radiochem.org/rad-nw/rad_nw33.pdf

福島第一原発事故で放出した放射性粒子の生成プロセス」 佐藤志彦氏

 微粒子を形成するケイ酸化合物が格納容器内の保温材由来であることを着き止めていただきました。1、2号機に関しては、セシウムボールの8割近くを占めるケイ素と酸素の発生元として、ケイ酸カルシウム保温材、そしてロックウールに格納容器内に充満したセシウムが気化した状態で合体し、ベントなどによって放出され、この時の圧力の減少によって粒子化したと推定されています。

 セシウム以外の核種がほとんど検出されていませんので、温度的には1000度前後で液化または気化したものが合体して形成されたと考えられ、沸点が1,382°Cのストロンチウムが同一の粒子から検出されないというのも納得できました。それと、ロックウール保温材自体が元々セシウムを吸着しやすい材質であったことも影響しているとのことで、この点もなるほどだと思いました。

 3号に関してですが、ここは引用させていただくと
3 号機由来の放射性粒子は未だ北西地域からは発見されていない。その原因について 3 号機の汚染はサプレッションチャンバー(S/C)を経由したウェットベントであり、この場合、汚染蒸気はケイ酸建材の存在するドライウェル(D/W)を通過しない。そのためプリュームに粒子が混入する機会がなかったと推定される。そしてこの観測結果は粒子生成過程の仮説とも一致する。
 サイエンス・ゼロで放送されたつくばのセシウムボールを考えると、あれは3号由来のものと推測されるのですが、中にはウランが検出されたり、圧力容器内の金属成分も検出されたものがあるといいます。1,2号とは違ったメカニズムが働いたとも見て取れるのですが、今後の追跡研究をお願いしたいところです。

 佐藤志彦氏は最近次の発表をされており、セシウムボールの若手研究者として大変活躍されています。

日本原子力学会2016年春の年会
開催年月 : 2016/03

http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/search/servlet/search?5054626

福島第一原発周辺で発見した放射性粒子

福島第一原発周辺で採取した土壌およびダストから放射性粒子の分離を行った。分離したすべての粒子はCs同位体比から、1号機、2号機由来に分けることができ、1号機由来の粒子からのみ134Cs,137Csに加えわずかに125Sbも検出された。また粒子の成分は80wt%がケイ酸であることが判明した。

 ちょっとここだけ、アンチモン(Sb)が出てきた私の勝手な推理ですが、
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/03/03060502/05.gif
05.gif 
アンチモンはベリリウムとの合金状のものが、中性子源として使われるので、これがメルトスルーで格納容器内に出た時に、液化して他の物質と合体したのではと思ったけど、1号ベントの時間にメルトスルーしていたとは考えられませんね。

http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/search/servlet/search?5049797

福島第一原発付近の土壌中の粒子状Csの形態

福島第一原子力発電所から5km圏内の地域で採取した土壌から、高濃度に事故由来の放射性Csを含む粒子を分離した。粒子の放射能を原子炉停止時に壊変補正すると、134Cs/137Cs同位体比は0.90であり、1号機の同位体比と一致した。


日本放射線安全管理学会第14回学術大会
開催年月 : 2015/12

http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/search/servlet/search?5053659


福島第一原発周辺で見つかった放射性粒子の特徴

福島第一原子力発電所事故では、Csを高濃度に濃縮した放射性粒子が放出したことが確認されている。本研究では原子力発電所周辺の特に線量が高いエリアにおいて土壌等を採取し、放射性粒子の分布およびその特徴を分析した。その結果、土壌試料から、複数の放射性粒子が確認された。特に原子力発電所から北北西方向約7kmの地点では数百μmに達する放射性粒子が複数見つかった。見つかった放射性粒子は、先行研究において、原子力発電所から20km北西に離れた地点、およびつくば市で見つかった粒子と元素組成、並びに粒子の表面状態が類似していた。
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広島原爆のホットパーティクル吸引による内部被曝 [ホットパーティクルとどう付き合うか?]

ちょっと時間なく全文コピペですんません。でも重要です。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=56732

広島被爆者 がんリスク調査 原医研の大瀧教授ら 土ぼこり吸い 内部被曝

16年2月29日

爆心地東西で差

 広島の被爆者の固形がんによる死亡危険度(リスク)を高めた主因は、放射性微粒子を吸い込んだことによる内部被曝(ひばく)だった、とする研究結果を広島大原爆放射線医科学研究所の大瀧慈教授(統計学)のグループがまとめた。20日、広島市南区であった同大市民公開講座で報告した。(馬場洋太)

 被爆者のがん発症リスクをめぐっては、「ピカ」と表現される爆発時の初期放射線だけを考慮する研究が一般的だ。大瀧教授たちは、「ドン」で表現される放射能を帯びた土ぼこりの飛散による内部被曝の影響を軽視できない、との観点で研究を重ねてきた。

 今回の研究は、爆心地から2キロ以内で被爆した人のうち、浴びた初期放射線量が判明し、1970年1月に広島県内で生存していた1万8181人が対象。2010年12月末までの41年間に固形がんで死亡したかどうかを確認し、被爆地点(距離)との相関を性別や年代別に分析した。

 その結果、多くの年代で爆心地の東側と西側で死亡リスクに差があることが判明。10代男子では爆心地の西側1・2~2キロでの被爆が最も死亡リスクが高くなるなど、距離とリスクの相関が不明確だと分かった。

 大瀧教授は「爆心地から遠いほど弱まる初期放射線の影響では説明できない現象だ」と指摘。「原爆当日の東寄りの風で放射能を帯びた微粒子が西に流れたことや、若い男性が救護や捜索のため郊外から入市し、より多くの微粒子を吸い込んだことがリスクを高めた要因ではないか」とみる。

 内部被曝をもたらした微粒子の正体は、家屋の土壁などに含まれ、原爆によって一時的に放射能を帯びたアルミニウムやマンガンだと推測。特にマンガンは半減期が2・6時間と比較的長く、広範囲に飛散して遠距離被爆者や入市被爆者の内部被曝を招いたと考えられるという。

 3月で定年退職する大瀧教授は「初期線量が圧倒的に高かった広島でさえ、内部被曝の影響が大きいと分かったことは、福島でも放射性微粒子を吸い込むことの影響を軽視すべきでない、との議論にもつながる」と問題提起している。

(2016年2月29日朝刊掲載)

あ 中国新聞ですね。

前のところのコメントで出てきた農水省のPDFです。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/fukusima/pdf/150526_youin_chosa.pdf
9ページ マンガンMnは2年以上経っていても出てますね。アルミニウムAlもある。
稲やダストフィルタへの付着物.png
25年8月の時のものだったはず。
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