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3.11が近づきましたが、セシウムボールを考える上で量子力学の知識は必要です。 [原発問題・ホットパーティクル]

 先月は池江選手の白血病の発表や、除染土の再利用問題もあって早く記事にしたかったのですが、チャレンジしたことが私にはハードルが高すぎてついつい先のばしになってしまいました。

 矢ケ崎先生の被ばく訴訟における意見書の中で、もっとも新しくかつ長文のものの中の量子力学に関する部分を取り上げようとしたのですが、まだまだ勉強不足。ほとんど引用だけに終わりそうですが、書きかけていたので、自分向け備忘メモのつもりで仕上げたいと思います。

こちらのブログで紹介されていました。

沖縄の矢ヶ崎克馬先生が、意見書を裁判所に提出されました。「原告の多重がんは東電敷地内作業によることの十分な証拠」
2018年07月25日 14時39分49秒 | たんぽぽ舎https://blog.goo.ne.jp/naha_2006/e/2a4b3bfd4213f3b519364c8a23f17e50
コンパクトに要約を紹介いただいています。
こちらからダウンロードできます。
https://drive.google.com/file/d/1uvYTXFig5UxXShy9aVmC1EUEAyIWLSqZ/view

図もいっしょに載せた方がよかったのかもしれませんが、お時間のある方は、本文の方をごらんいただくようお願いします。

20ページ
放射線が刺激として作用する物理的プロセスは「電離」である。放射線に作用される物体に応じて「電離」は物体特有の反応を導く。電離は原子と原子の結びつき構造(量子力学的交換相互作用)を破壊し,物体にミクロ的組織分断をもたらす。量子力学は主として分子や原子あるいはそれを構成する電子など,徴視的な物理現象を記述する力学である。

交換相互作用
https://kotobank.jp/word/%E4%BA%A4%E6%8F%9B%E7%9B%B8%E4%BA%92%E4%BD%9C%E7%94%A8-61675
物質の磁性を理解するための中心的な概念の一つ。ほとんどの場合,物質の磁気的性質は電子に由来する。さらに電子のスピン(電子の自転運動)がもつ磁気モーメントが磁性の担い手である場合が多い。この電子のスピンの向き(自転運動の軸)がそろうと,磁気モーメントの向きがそろい,強磁性が発現することになる。そのためには,スピンの向きをそろえるような力が二つのスピンの間に働かねばならない。この力が量子力学的に導かれる交換相互作用である。(世界大百科事典 第2版の解説)

21ページ
(電離という打撃を受けた物体の反応)
電離から生じる分子切断をこうむった物体は,自由電子の行動が不可能な物体は永久的に分子が切断されたままである。自由電子が存在する物質では電離された電子の元の位置に新しい電子が到達して原子を結びつける量子力学的相互作用を回復する可能性を持つ。生物体は生物進化の歴史とともに身に着けた電離作用の破壊結果を修復する能力を持つ。自然放射能であるカリウム40は成人で4000ベクレルほどの内部被曝を行う。この電離作用は毎秒毎秒のうちに修復されている。すなわち毎秒瞬時のうちに1億3千万個ほどの電離を始末する能力を通常の大人は免疫力として持つ。生体酵素の活性化には活性酸素が必要であり,その活性酸素をカリウム40の電離で賄っていることが生命体機構の一部となっているとみるべきである(児玉順一、アヒンサー6号(2016)。このメカニズムも含めてカリウム40の毎秒1億3千万個の電離が瞬時にして修復されるメカニズムが成り立っている。人工放射能はこの常時成り立っているバランスを崩し,一方的に過剰のDNA切断及び活性酸素を生成し、免疫力を低下させる。免疫力が低下している人あるいは低下している時が自然放射能および人工放射能による被害が現実化する危険が迫る。

電離は「原子や分子が電子を放出または取り入れてイオンになること。イオン化。」のこと

22ページ
(3) 原子の結合,分形成は 「電子対 」形成による
原子と原子を結びつける力は,二つの原子間に生じる電子対である。電子が対を形成することによって2個の原子をつなぎとめる大きな力を生ずる。量子力学で「交換相互作用」と呼ばれる強固な電子対の形成である。
安定的に存在する分子,原子内の電子は,内側の電子は全て自己原子内で電子対を形成し,量子力学的最安定の状態にある。最も外側(あるいはそれに準ずる位置)に位置する電子は他原子の電子との間で電子対を形成するか残余は自己原子内で電子対を形成する。原子と原子が結合し,分子となっている通常の物体は,有機物であろうと無機物であろうと金属であろうと動物であろうと植物であろうとすべて同じ原理による。
図5は典型的な共有結合として知られる水素分子の形成を電子の配置で描いている。2つの電子が対をなすことにより強固な水素分子が得られる。電子は軌道運動スピン運動の2つの物理量を有し,2つの物理量がともに最低値になるような電子配置が最も安定したエネルギー状態をなす。水素原子が水素分子になる際の電子の対はスピン量子数もゼロ,軌道の状態も量子数がゼロになるような電子のカップルが生み出される。ここで原子内の電子はスピン角運動量軌道角運動量と2種の角運動量を持つ。角運動量は回転の大きさと方向を表す運動量,スピン角運動量は相対性理論で裏付けられる角運動量である。また、各運動量などの大きさは量子数で特徴づけられる。
このような「対になる」ことが最低エネルギー状態を作り出すうえで決定的なのである。最低エネルギー値の大きいほど(=電子対の結合が強固なほど)強固な結びつきが実現する。「対」の形成がもっと多数の電子が関与してできる「複合対」でなされる場合もある。

軌道運動 
https://kotobank.jp/word/%E8%BB%8C%E9%81%93%E9%81%8B%E5%8B%95-1714383
物体が重力などの力を受け、ある軌道を描いて運動すること。太陽の周囲をまわる惑星、地球の周囲を周る月や人工衛星の運動を指す。地球と人工衛星のように、一方の物体の質量および空気抵抗を無視できるとき、地表上空のある点から物体を水平に発射すると、初速度が速くなるにつれて、その軌道は円軌道、楕円軌道、放物線軌道、双曲線軌道になる。(デジタル大辞泉の解説)

スピン角運動量 軌道角運動量は
https://butsurimemo.com/quantum-angular-momentum/
軌道角運動量とスピン角運動量の違い

軌道角運動量は、電子の円運動による角運動量を指す。惑星で例えると公転に対応する。ただし、本来電子は原子核の周りに存在確率として分布しているものであり、原子核の周囲を円運動しているものではない。事実、もし本当に電子が円運動していると仮定すると、その電子は加速度運動によってエネルギーを放出し続ける(円運動は加速度運動である)ため、最終的には原子はつぶれてしまうことになる(参考:原子の構造)。
一方のスピン角運動量は、電子そのものが持つ角運動量のことである。この角運動量は電子の移動によって発生するものではないため、惑星の自転による角運動量のようなものと考えればわかりやすいだろう。

23ページ
食塩NaClは単純にNaからs電子(sは量子力学の電子軌道の角運動量を特徴づける記号)が1個Clに移動してp電子(pは量子力学の電子軌道の角運動量を特徴づける記号)の穴に入り込むように単純に機械的に思い込まれているがそうではない。実際の結合はNaもClもs電子とp電子の混成軌道を作り,両原子ともに6回対称の全く同じ波動関数(量子力学で電子の空間的に存在する確率を雲に例えて表現したもの)を合成して,合成された波動関数でお互いに6分の1個ずつの電子波動関数を入り込ませて波動関数の完全化(合計の軌道角運動量もスピン角運動量もともにゼロになる)を達成する。これが塩化ナトリウム構造という結晶構造を作り上げる。 この場合の結合の姿は塩素もナトリウムも両方の電子が(x,y,z)直角座標のそれぞれの方向に電子雲(電子の存在確率を現す)を伸ばすような対称性に姿を整えて,それで電子雲を受け容れるのと差し出すのとで電子対を形成する。

波動関数
https://kotobank.jp/word/%E6%B3%A2%E5%8B%95%E9%96%A2%E6%95%B0-115386
広い意味では波動現象を記述する関数をいうが,量子力学(波動力学)におけるものを指すことが多い。波動力学では,電子,光子などの微粒子は粒子的性質と波動的性質の両方をもっていて,そのふるまいは波動関数ψ(x,y,z,t)によって表されると考える。ψ(x,y,z,t)は波動方程式(シュレーディンガー方程式)に従い,粒子の種類やその粒子がどのような条件の下におかれているかによって定まる。そして,この場合のψ(x,y,z,t)は抽象的空間における複素関数であり, |ψ(x,y,z,t)|2dxdydzは,ある時刻tにその粒子が点(x,y,z)を含む微小な体積dxdydz内に見いだされる確率を与えると解釈されている。(世界大百科事典 第2版の解説)

24ページ
化学的には共有結合,イオン結合,金属結合等々,結合の種類が分類されているが,いずれも電子軌道・スピンを共有することが基本である。それぞれのタイプで電子雲の分布等が異なるが,共通原理は電子雲の重なりであり電子対である。量子力学という分野では電子の分布の様子が「電子雲」として理解されている。電子雲は電子の存在確率の大きさを表す。電子雲は結合相手との条件に応じて量子力学的な対称性を変化させ(電子の空間的展開の形を変化させ),双方が同じ量子状態となることにより互いに相手を迎え入れることができる。最低エネルギーでの電子結合ができるように結合が進む。その1例が上記の水素分子や食塩である。全ての結合で放射線による電離を受けると分子が切断される危険を持つ。図3(再掲)は単独に電離を説明するものであったが,原子が相互に結合している状態で分子が切断されるメカニズムを図7に示す。

電子雲
https://kotobank.jp/word/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E9%9B%B2-102325
原子のような小さい領域に閉じ込められた電子は粒子として固まらないで,雲のように広がった連続的分布をしていると考えられる。これを電子雲という。量子力学では,電子は波動関数 Ψ で表わされる。 Ψ は位置 x ,y ,z の連続関数であって,その2乗 |Ψ(x,y,z)|2 が電子雲の広がりの様子を表わす。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)

 個別に説明をするつもりでしたが、3.11が明日に迫ってきました。勉強不足のままチャレンジで情けないことですが、私自身がまだ理解できていない用語などをコトバンク等から引用しました。
 福島第一原発事故から8年、ICRPの放射線防護体系を根本から見直す意味でも、放射線物理学、放射線生物学は”科学”じゃないといけません。
 矢ケ崎先生の意見書81ページの部分を図で引用させていただいて締めくくるといたします。
 yagasaki.png
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東京オリンピック収賄疑惑-返上すべきところですが、まずはセシウムボールの影響を見直しましょう [原発問題・ホットパーティクル]

 JOC竹田会長の東京オリンピック誘致をめぐる贈賄疑惑がフランス司法当局から捜査対象となって連日賑わせてます。ここはいっそのことオリンピックを返上すべきと考えますが、東京都民もうかれてほとんど意識しなくなった福島第一原発事故のフォールアウトのことを思い起こしてもらうために、セシウムボールのことを取り上げます。
 加計学園問題も、受験シーズンになり、岡山理科大学の出願状況も気になるとことですが、国会もまもなくはじまりますので、後日取り上げることにいたしましょう。

以前の記事で引用しました”日本地球惑星科学連合ニュースレター August, 2017 Vol. 13”から、九州大学 大学院理学研究院 宇都宮 聡准教授の記事を使わせていただきます。

http://www2.jpgu.org/publication/jgl/JGL-Vol13-3.pdf

2011 年 3 月 15 日 の 10:00 ~11 :00,東京都に最も高い放射能を持つプルームが到達した.その主要放射性核種はヨウ素(131I, 132I)とセシウム(134Cs, 137Cs)であり,それぞれピーク時の放射能は 522 Bq/m3, 124 Bq/m3と報告されている。(4ページ)

2016年6月に新聞報道があり、当時かなりセンセーショナルなニュースになりました。東京に降下した放射性セシウムの89%は、ガラス状の微粒子に溶け込んだ状態だったというもの。

 危惧される健康影響ですが、以前引用しました5ページの部分を再度使わせてさせていただきます。何度読んでも読みすぎるということはありません。

原発災害の直後に放出された CsMP は,周辺環境および生態系の放射線量に対して顕著に寄与している.東京の大気フィルターで検出されたような 0.58 ~ 2.0 μm の大きさの CsMP を人間が経口吸引したケースを考察すると,通常の PM2.5 と同様に,約 20 ~50 % および < 10 % の CsMP が肺胞および気管支領域にそれぞれ沈着すると考えられる.CsMP が不溶性であると仮定すると、肺胞領域に沈着した CsMP はマクロファージによって完全に貪食されずにリンパ節にゆっくり移動し,その場合の生物学的半減期は数十年になると推定される.これは水溶性Cs の典型的な生物学的半減期 ~ 100 日間と比較して長く,体内に CsMP が長期間保持されると予想される.CsMP の場合,単位質量あたりの放射能(放射能密度)が非常に高いため(~1011 Bq/g), CsMP 周囲のミクロな領域で局所的に強い β 線と γ 線が水の放射線分解を引き起こし,マクロファージおよび呼吸器上皮細胞よりも大きい数百ミクロンのスケールでラジカル種を生成する.CsMPs の表面上の 100μm 厚の水の薄膜層を考えた時,β 線およびγ 線によるエネルギーの蓄積は(1.0 ~ 24)× 10-3 グレイ/h (グレイ=ジュール/kg)と計算される.水の放射線分解によって H2,H2O2,及び H・などの様々なラジカルが生成し,この蓄積エネルギーによって,とくに・OHラジカルが毎秒 4.9 × 103 分子生成すると見積もられる.これは細胞中 DNA に酸化的損傷を引き起こすのに十分な生成量であると推定される. これまでの被曝線量評価は,国際放射線防護委員会 ICRPpub.119 で確立されている実効線量係数にもとづいておこなわれているが, CsMP の影響は考慮されていない.難溶解性の CsMP は水溶性 Cs より長い生物学的半減期を有する可能性が高いため,今後は CsMP の内部被曝に関する詳細な評価が求められる.

 とりわけ赤で示したリンパ節に留まった場合、半減期30年のセシウム137は、まだ8年しか経っておらず、体外に排出されない限り、遺伝子、染色体などに強い影響を与え続けます。政府もこのセシウムボール問題は無視できない状況になり、一昨年3月日本保険物理学会のシンポジウムで本格的に討議され、6月にはNHKもクローズアップ現代で取り上げられるようにもなりました。
そのシンポジウムの資料がこちらで、コピーも印刷もできませんが、極めて重要な部分がありますので、一部キャプチャで紹介したいと思います。
http://www.jhps.or.jp/pdf/20170324-symp.document.pdf
量研機構・放医研の松本雅紀氏の発表部分です。

57ページに非常に気になる部分があります。
松本.png
九大宇都宮准教授がいわれるように肺リンパ節に留まる可能性が非常に大きいということを意味しています。正確にはお話を聞いておりませんから、私ではわかりませんが、このあたりの専門的なことは早期に解明していただかなければならないと考えます。

 松本氏が所属する量研機構も昨年、量子生命科学に本腰を入れる気配を見せました。

量研(QST)における量子生命科学研究
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/089/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2018/08/14/1408106_4.pdf

9ページ X線による突然変異誘発のメカニズム(電子やプロトンのふるまい)研究は未開拓領域

これは有名なシュレディンガーの「生命とは何か」でもX線の突然変異は随所にでてきます。

17ページ 海外の量子生命科学研究動向 2 英国 Centre for Quantum Biology サリー大学

サリー大学にはイギリスの物理学者ジム・アル・カリーリ氏もいて、この分野を先導していると言っていいでしょう。
https://www.ted.com/talks/jim_al_khalili_how_quantum_biology_might_explain_life_s_biggest_questions/transcript?awesm=on.ted.com_s04vz&utm_medium=on.ted.com-none&share=1dbdf455dd&utm_source=direct-on.ted.com&utm_campaign=&language=ja&utm_content=roadrunner-rrshorturl

これは半世紀前から知られていたことです 疑問が生じます― これはどの位の頻度で起こるのか そしてその仕組みは? ボールが壁を超えるときのように ジャンプするのか? それとも 量子トンネル効果のように 十分なエネルギーがなくても起こるのか? 初期の研究結果によると 量子トンネル効果が起きているようです その重要度については まだ理解が進んでおらず 未解決の問題です 推測の域にあります これは重要な未解決問題の一つであり 量子力学が突然変異に 関わっているとすれば 特定のタイプの突然変異を理解する上で とても重要な意味を持つことは確実です もしかすると 細胞のがん化を 引き起こしているのかもしれません

 贈収賄でケチのついた東京オリンピック、必要以上に華美にするすることはありません。その前に、福島原発事故の未解明の部分に貴重な予算を割り当てるべきです。最先端の量子科学を駆使してセシウムボールの健康への影響を前倒しで解明して、帰還政策、除染土の再利用などはそれからやればいいことです。
ICRPに任せていたらいつになるかわかりませんよ!!
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7年前の3.11からの一週間の記憶を呼び覚ましましょう。 [原発問題・ホットパーティクル]

東日本大震災の全ての犠牲者の皆様にお悔やみ、お見舞い申し上げます。

もう7年 いやまだ7年です。解明されて問題も山積みされています。

この7年目はセシウムボールが注目されています。

日テレ
http://www.news24.jp/articles/2018/03/06/07387331.html
TBS
http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3309836.html

 NHKのサイエンスゼロやクローズアップ現代に比べますと、掘り下げは足りませんが、7年たったから安心ではなく、健康への影響については重大な関心を寄せられています。

昨年記事にしました

さつきさんブログに重要な記事が出ました。
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2017-11-26-1

では、九大宇都宮教授グループの発表につき詳しい解説をしていただいたのですが、なぜか、この宇都宮教授の論文が掲載された日本地球惑星科学連合ニュースレター誌の昨年8月号がなかなか公表されないので、これは相当慎重にあつかわれているな、と思っていたら、ちゃんと出てきました。

http://www2.jpgu.org/publication/jgl/JGL-Vol13-3.pdf

3ページからです。

高濃度放射性 Cs 含有微粒子による影響 の部分を引用させていただきます。

原発災害の直後に放出された CsMP は,周辺環境および生態系の放射線量に対して顕著に寄与している.東京の大気フィルターで検出されたような 0.58 ~ 2.0 μm の大きさの CsMP を人間が経口吸引したケースを考察すると,通常の PM2.5 と同様に,約 20 ~50 % および < 10 % の CsMP が肺胞および気管支領域にそれぞれ沈着すると考えられる.CsMP が不溶性であると仮定すると、肺胞領域に沈着した CsMP はマクロファージによって完全に貪食されずにリンパ節にゆっくり移動し,その場合の生物学的半減期は数十年になると推定される.これは水溶性Cs の典型的な生物学的半減期 ~ 100 日間と比較して長く,体内に CsMP が長期間保持されると予想される.CsMP の場合,単位質量あたりの放射能(放射能密度)が非常に高いため(~1011 Bq/g), CsMP 周囲のミクロな領域で局所的に強い β 線と γ 線が水の放射線分解を引き起こし,マクロファージおよび呼吸器上皮細胞よりも大きい数百ミクロンのスケールでラジカル種を生成する.CsMPs の表面上の 100μm 厚の水の薄膜層を考えた時,β 線およびγ 線によるエネルギーの蓄積は(1.0 ~ 24)× 10-3 グレイ/h (グレイ=ジュール/kg)と計算される.水の放射線分解によって H2,H2O2,及び H・などの様々なラジカルが生成し,この蓄積エネルギーによって,とくに・OHラジカルが毎秒 4.9 × 103 分子生成すると見積もられる.これは細胞中 DNA に酸化的損傷を引き起こすのに十分な生成量であると推定される. これまでの被曝線量評価は,国際放射線防護委員会 ICRPpub.119 で確立されている実効線量係数にもとづいておこなわれているが, CsMP の影響は考慮されていない.難溶解性の CsMP は水溶性 Cs より長い生物学的半減期を有する可能性が高いため,今後は CsMP の内部被曝に関する詳細な評価が求められる.

去年の記事と重複する部分ですが、健康への影響は決して楽観視せず、今後も注視していく必要があることを訴えていかねばと思っています。
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さつきさんブログに重要な記事が出ました。 [原発問題・ホットパーティクル]

ICRPの被ばく線量評価に再考を迫る最先端研究を無視するサイエンスライター
https://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/43489760.html

昨日出たばかりですが、前回の
さつきさんブログにCsMPsの情報がアップされていました。 
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2017-09-17

と深い関連があります。


宇都宮聡さん(九州大学)による2ページ余りの詳細な解説記事が掲載されている。
のところからですね。

高放射能性 Cs 含有微粒子による影響
 原発災害の直後に放出された CsMP は,周辺環境および生態系の放射線量に対して顕著に寄与している.東京の大気フィルターで検出されたような 0.58 ~ 2.0 μm の大きさの CsMP を人間が経口吸引したケースを考察すると,通常の PM2.5 と同様に,約 20 ~ 50 % および <10 % の CsMP が肺胞および気管支領域にそれぞれ沈着すると考えられる.CsMP が不要性であると仮定すると,肺胞領域に沈着した CsMP はマクロファージによって完全に貪食されずにリンパ節にゆっくり移動し,その場合の生物学的半減期は数十年になると推定される.これは水溶性 Cs の典型的な生物学的半減期 ~ 100 日間と比較して長く,体内に CsMP が長期間保持されると予想される.

 CsMP の場合,単位質量あたりの放射能(放射能密度)が非常に高いため(~ 10^11 Bq/g),CsMP 周囲のミクロな領域で局所的に強いβ線とγ線が水の放射線分解を引き起こし,マクロファージおよび呼吸器上皮細胞よりも大きい数百ミクロンのスケールでラジカル種を生成する.CsMPs の表面上の 100 μm 厚の水の薄膜層を考えた時,β線および γ線によるエネルギーの蓄積は(1.0 ~ 24)× 10^-3 グレイ/h(グレイ=ジュール/kg)と計算される.水の放射線分解によって H2,H2O2,および H* などの様々なラジカルが生成し,この蓄積エネルギーによって,特に *OH ラジカルが毎秒 4.9 × 10^3 分子生成すると見積もられる.これは細胞中 DNA に酸化的損傷を引き起こすのに十分な生成量であると推定される.

 これまでの被ばく線量評価は,国際放射線防護委員会 ICRPpub.119 で確立されている実効線量係数にもとづいておこなわれているが,CsMP の影響は考慮されていない.難容性の CsMP は水溶性 Cs より長い生物学的半減期を有する可能性が高いため,今後は CsMP の内部被曝に関する詳細な評価が求められる.

とっても重要です。
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さつきさんブログにCsMPsの情報がアップされていました。 [原発問題・ホットパーティクル]

さつきさんブログに次の記事が8月末にアップされていましたので、気になっていたのですが、台風通過を待つ間にちょっと紹介記事を書きたいと思います。

放射性セシウム微粒子についての最新の研究論文の紹介(その1)
https://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/43389943.html
放射性セシウム微粒子についての最新の研究論文の紹介(その2)
https://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/43390995.html
放射性セシウム微粒子についての最新の研究論文紹介(コメント)
https://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/43392026.html

元論文は最近見慣れてきたこちらのサイトの物がいいかと思います。
Isotopic signature and nano-texture of cesium-rich micro-particles: Release of uranium and fission products from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28710475

タイトルの日本語訳はさつきさんブログの「セシウムに富む微粒子の同位体的サインとナノスケール組織:福島第一原子力発電所からのウランと核分裂生成物の放出」でいかせていただきましょう。

さて要約部分をさつきさんところからお借りしますと

要旨
 福島第一原子力発電所(以下、「福一」と略記する)から放出された放射性セシウムに富む微粒子(CsMP)は、2011年におこった惨事についてのナノスケールの化学的「指紋」を提供する。 原発から10 km 以内で収集された3個の CsMP(3.79~780 Bq)は、それらの起源と形成メカニズムを明らかにするため、U、Cs、Ba、Rb、K、および Ca の同位体比が測定された。CsMPs は、Fe-ポルックス石結晶(CsFeSi2O6・nH2O)(最大 30wt% の Csを含む)の他に、主にSiO2ガラス基質中の Zn-Fe 酸化物のナノ粒子(1wt% の U を含む)からなる。 二つの CsMP の 235U/238U 比 0.030( ± 0.005)および 0.029( ± 0.003)は、濃縮された核燃料の値と一致する。この値は ORIGEN コードで推定される平均燃焼度のものより高く、未使用の燃料より低いため、様々な燃焼レベルの溶融燃料からの U の不均一な揮発と、引き続く Zn-Fe 酸化物への吸着を示唆する。ナノスケールの組織と同位体比は、メルトダウン中に燃料中で起こった化学反応の部分的な記録を提供する。また、CsMP は、放出された放射性核種のうち体内に吸引摂取され得る形態のものを運搬する重要な媒体であった。

うほ難しいですね。
ウランの同位体比率から、圧力容器内のウランが揮発して酸化した亜鉛や鉄に吸着したもので、メルトダウンが原因であることは間違いなさそうです。「体内に吸引摂取され得る」ということですので、健康被害に影響する可能性は十分あると見ていいでしょう。

論文の本文の翻訳については、私ごときは歯が立たないので、さつきさんのコメントの部分から

この粒子を ここ で示した図3(比放射能ー存在度図)にプロットすると、天然環境では形成され得ない「ホットパーティクル」の典型例であることが分かる。下の図2にその改訂版を示す。
図はこちら
https://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/GALLERY/show_image.html?id=43392026&no=1

チェルノブイリはどうか。これは黒鉛炉であり、メルトダウン時に還元的な雰囲気になった筈で、この点で軽水炉である福一とは反応環境が大きく異なっていたであろう。チェルノブイリ周辺でこのような放射性微粒子を探す努力がどの程度なされたか知らないが、ATOMICA に記載されているチェルノブイリで見つかった粒子 は、本来のホットパーティクルの概念とは異なる性質のものである。もしかしたら、福一から放出された放射性物質の主成分が CsMP であったことは、地球上に本格的な多細胞生物が出現したおよそ6億年前以降、生命が初めて直面する種類の脅威であるのかもしれない。

むしろチェルノブイリの放射性微粒子は、いわゆるホットパーティクルの定義に当てはまらない特殊なもので、福一のメルトダウン事故と爆発によって外部に放出されたCsPMsこそホットパーティクルの概念に合致するものであるという見解です。

核兵器の爆発の場合は、その破壊力に比べて実際の核分裂生成物の量は原発よりはるかに少ないし、メルトダウンに引き続く、コアーコンクリート反応のような、比較的ゆっくりとした反応が進行する時間的余裕もない。実際、大気圏内核実験によるグローバルフォールアウトの人工核種をトレーサーとした海洋の三次元的海水循環の研究(例えば、Eigle et al., 2017 )を参照すると、採水測定によって得られた鉛直方向の拡散速度は、粒子として沈降した成分の存在を否定しており、大部分が海水に溶けていると模擬することでうまく説明できるという。

CsMPsを3号機即発臨界爆発説に結び付けるのはちと無理があるような感じですね。

さて健康被害の問題

一方、例えばヨウ素を濃縮する甲状腺の被曝において、甲状腺等価線量に 0.04 をかけて全身への被曝影響の尺度としての実効線量へ換算するということが行われる。これは、ある一定量の放射性ヨウ素による内部被曝においては、甲状腺に濃縮しようが体全体に均等に分布しようが、個体全体の吸収線量は同じなので、結果的に確率的影響は組織荷重係数に関わるところ以外は何も変わらない、との判断に基づいているだろう。問題は、高度に局所化された被曝においてもこの仮定を適用して良いかどうかにある。その点はまだ十分には解明されていないが、先のレビュー論文を読むと、少なくとも目の角膜や水晶体に及ぼす深刻な影響は十分に考慮されるべきであることが分かる。「鼻血」をバカにするのも、既に2007年の時点においてさえ、科学的な態度から逸脱していると言える。

ちょっと長めの引用でしたが、目に関する健康被害は、CsMPsによって高度に局所化された被曝が起きれば十分に健康上の問題が起きえるということですね。
レビュー論文はこちら
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/0952-4746/27/3A/S11/meta
ずばりホットパーティクルによる放射線生物学の問題を扱ったものですね。

もうひとつ九大宇都宮グループのこちらの論文も注目ですね。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28198440
グーグルさんの力を借りてますが、なんのことやら。

結論部分だけそのまま

結論
FDNPPのメルトダウン中の反応炉内の一連の化学的および物理的プロセスは、CsMPの最先端の原子分解能電子顕微鏡に基づいて解明されている。CsMPsは数ミクロンと小さく、SiO 2ガラスマトリックスと約20重量%のCsに付随する〜10nm サイズのZn-Fe-酸化物ナノ粒子を含み、場合によっては微量のUを伴っている。ミクロテクスチャのCsMPsは、様々な空気中の核分裂生成物のナノ粒子が、溶融破壊の前および中に燃料から最初に放出されたことを明らかにする。その後、RPV破壊が起こり、多数のZn-Fe-酸化物ナノ粒子が生成された。最後に、溶融したコアはコンクリートと相互作用し、MCCIはSiO 2を介して進行した核分裂生成物ナノ粒子を組み込んだZn-Fe-酸化物ナノ粒子を含む凝縮。本研究は、CsMPsが反応器の内部の反応および状態を理解するための重要な手掛かりを提供することを示している。一方、単位質量あたりの放射能は非常に高いため、〜10 11  Bq / gであるため、CsMPsは福島の周囲環境における放射線量の重要な源泉となりうる。さらに、CsMPは、Uなどの揮発性および低揮発性の放射性核種が環境に到達する重要なキャリアである。

どこかで見たことがあると思ったら
http://ryukei-rondan.blog.so-net.ne.jp/2017-02-17-1
この時のものでした。今年でしたね。
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クローズアップ現代でセシウムボールが取り上げられました。 [原発問題・ホットパーティクル]

ここのところ加計問題ばかりでしたので、セシウムボール系にアンテナを張るのを忘れてました。
NHKがあのサイエンスゼロの続編をクローズアップ現代で取り上げてくれましたね。

原発事故から6年 未知の放射性粒子に迫る
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3986/index.html
kurogen.png
動画はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=Ub0E07cHLIA

日経の記事があって、なにやら動きがあるのかなという予感はあったのですが、まさかテレビ番組という形で出てくるとは思ってもいませんでした。

 ここのブログで紹介した宇都宮教授、佐藤志彦氏、箕輪はるかさんが登場されてうれしい限りです。
ただ成分の中のウランの存在とかがまったく出てきませんでしたので、やはりクロ現は一般向けなのでここらはカットされてしまったのかな。

まあおおむね満足しておりますが。

さて、サイエンスゼロの時は、つくばでのサンプルが中心でしたが、今回は比較的原発に近いところの土壌などから出てきた不溶性微粒子にスポットを当てていましたね。
kurogen2.png

これのAタイプはセシウムボールで、いびつな形のBタイプ ボール状じゃないので、不溶性放射性微粒子、九大宇都宮教授はセシウムボールも含めて総称でCsMPsと呼んでいましたが。
佐藤志彦氏の説明では、断熱材とかにセシウムが吸着し、水素爆発で外に出て行く時に、断熱材なども解けて、セシウムなどの放射性物質と合体したものということでした。

これは次の論文で、1号機から放出されたものの特徴として詳しく述べられています。

福島第一原子力発電所事故により1号機から放出された放射性粒子の放射光マイクロビームX線分析を用いる化学性状の解明
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/66/4/66_251/_pdf

要約部分

2011年3月の福島第一原発事故により,1号機由来の放射性物質が飛来したと考えられる原発北西地域の土壌から,強放射性の粒子を7点分離した.分離された粒子は100 μm前後の大きさで歪いびつな形状のものが多く,2号機から放出されたとされる直径数μmの球形粒子(Csボール)とは明らかに異なる物理性状を有していた.これらの粒子に対して,大型放射光施設SPring-8において放射光マイクロビームX線を用いた蛍光X線分析,X線吸収端近傍構造分析,X線回折分析を非破壊で適用し,詳細な化学性状を解明した.1号機由来の粒子はCsボールに比べて含有する重金属の種類に富み,特にSrやBaといった還元雰囲気で揮発性が高くなる元素が特徴的に検出され,粒子内で明確な元素分布の不均一性が見られた.粒子本体はCsボールと同様にケイ酸塩ガラスであったが,Feなど一部の金属元素が濃集した数μm程度の結晶性物質を含有していた.これらの粒子は3月12~13日に大気中に放出されたものであると考えられ,核燃料と格納容器との熔よう融がかなり早い段階で進行していたことが示唆された.さらに放出源の推定において,放射性物質自体の化学組成情報が放射能比に代わる新たな指標となることが実証された.

本文中にもウランの存在は出てくるのですが、次のグラフをみると、セシウムボールほど、はっきりと出てきてないようですね。核になる部分が断熱材の成分に覆われているため、検出しにくいのかもしれませんね。
も一つ厄介な物質を見逃していました。ストロンチウムですね。要約文にもありますが「特にSrやBaといった還元雰囲気で揮発性が高くなる元素が特徴的に検出」と。これは要注意です。
セシウムボール.png
ちょっとストロンチウムに関する本文記事のところをキャプチャで失礼。
ストロンチウム.png
 前に気象研の最初の論文でストロンチウムが検出されてないということでしたが、いびつな形の1号機放出不溶性粒子にはしっかり含まれているということですね。

 本文がコピペできないのと時間不足でこのくらいにしておきますが、クロ現のあった日に起きた重大事故。昨日の報道でさらに驚かされることになんと22000ベクレルのプルトニウムです。

作業員1人肺から2万2千ベクレル 国内最悪の内部被曝
http://www.asahi.com/articles/ASK67424PK67ULBJ006.html

被曝医療に詳しい、国際医療福祉大クリニックの鈴木元院長は「2万2千ベクレルは量としては多い。肺に入ったプルトニウムは、1週間から10日かけて化学薬品を霧状にして吸入させたり、点滴したりして排出させる。その後、体内に残っている量を調べて健康への影響のリスクを判断しなければならない」と話す。

お 疑惑の国際医療福祉大ですが、この先生の言ってることはまともです。

ホットパーティクルと違って水溶性のものと思われますが、骨に溜まることも想定され、肺の洗浄や気レート剤ですべてが排出されることは困難でしょう。

原発事故のセシウムボールなどの不溶性放射性微粒子ではプルトニウムが検出されてませんけど、あのICRPの甲斐教授が、内部被曝の影響は評価を見直す必要があるといいましたので、長期に渡って局所に留まった場合の危険性は、放射線量が低いといっても侮れません。

また、時間ができたら詳しく書きたいと思います。

https://twitter.com/rollotron/status/845191603396362243

チェルノブイリ事故時に問題になったホットパーティクルはα線粒子なので細胞表面から数十ミクロンで吸収線量は急速に減衰する。γ線粒子であるセシウムボールの吸収線量の減衰は非常に緩やかで放射線は深い位置まで到達する。

これが実は気になっています。今回クロ現に出てきたシンポジウムの時の発表かな。また探してみます。

九大宇都宮グループのCsMPs論文が発表されました。ー続き [原発問題・ホットパーティクル]

あれこれ載せたい論文なのですが、翻訳のことがあるので絞り込みましょう。
http://www.nature.com/articles/srep42731

中ほどの図5のあたりをいきましょう。

OTZ CsMPでは、細孔がなく、粒子はFe酸化物介在物を除いて均質な組成を有するように見える(図5a、b)。しかし、KOI CsMPのように、OTZ CsMPは、10nm未満のサイズのFe-Zn-酸化物ナノ粒子とともに非晶質SiO 2ガラスマトリックスで構成されている(図5c)。これらのナノ粒子は、FFT画像およびSAEDパターンに基づいてフランケナイトとして同定された(図5d、e)。Frankliniteは構造が説得力のある特徴を持つ唯一のナノ材料でした。セシウム、Cl、Snは、ほとんどがフランクリンナイトと関連していた。しかしながら、ZnClに関連するCsClの包含もまた存在する(図5f)。驚くべきことに、図2の黄色の四角で示される領域は、図5aは、 Uのピークを有するナノ粒子が含まれているM個の α、Lの αとLの EDXスペクトル(内β 図5グラム)。粒子(edx1および2)の点分析は、Rb(スペクトルの赤線)からの干渉なしに、さらに特徴的なUピークを示した。HAADF-STEM画像はUO 2結晶を分解しなかったが、少量のUを含むフランケナイトのみが溶解した。

srep42731-f5.jpg

こちらから直接図5に飛んで翻訳すると下の説明部分が出ます。
http://www.nature.com/articles/srep42731/figures/5

(a)FIBで調製したOTZ CsMPのHAADF-STEM画像。挿入図は、上部の薄い領域から得られたSAEDパターンです。白い点線の曲線は、FIB間引き前の粒子の元の形状を表す。(b)主成分の分布を示すCsMPの元素マップ。(c)Siマトリックス中のSn、CsおよびClに関連する多数のFe-Znナノ粒子を示す、主成分の元素マップによるHAADF-STEM画像の拡大。(d)フランケナイトとして同定されたFe-Zn-酸化物ナノ粒子。(e)フランクリンナイトに起因することが確認されている、拡散したハローに弱い回折リングを示すSAEDパターン。(f)CsClドメインの存在を明らかにする元素マップによるHAADF-STEM画像。(g)フランケナイトナノ粒子の凝集を示す(a)の黄色い四角で示される領域のHAADF-STEM画像。点分析のedxスペクトル(edx1と2の赤線)と領域分析(黒線)で得られたスペクトルとの比較は、Uピークの存在を明らかにする。

フランケナイトとはこれのことのようですね。
http://tigaku.com/geology/mineral/f/franklinite.html

フランクリン鉄鉱
Franklinite
ZnFe2O4

私の知識ではうまく説明できませんが、グラフの赤い線がウランの存在をしめしているようです。

結論

FDNPPのメルトダウン中の反応炉内部の一連の化学的および物理的プロセスは、CsMPの最先端の原子分解能電子顕微鏡に基づいて解明されている。CsMPsは数ミクロンと小さく、SiO 2ガラスマトリックスと約20wt%のCsに付随する〜10nmサイズのZn-Fe-酸化物ナノ粒子を含み、場合によっては微量のUを伴う。ミクロテクスチャのCsMPsは、様々な空気中の核分裂生成物のナノ粒子が溶融破壊の前および中に燃料から最初に放出されたことを明らかにする。その後、RPV破壊が起こり、多数のZn-Fe-酸化物ナノ粒子が生成した。最後に、溶融コアはコンクリートと相互作用し、MCCI は、分裂生成物ナノ粒子を組み込んだZn-Fe-酸化物ナノ粒子を含むSiO 2凝縮を介して進行した。本研究は、CsMPsが反応器の内部の反応および状態を理解するための重要な手掛かりを提供することを示している。一方、単位質量あたりの放射能は非常に高いため、10 11  Bq / gであるため、CsMPsは福島の周囲環境における放射線量の重要な源泉となりうる。さらに、CsMPsは、Uなどの揮発性および低揮発性放射性核種が環境に到達するための重要なキャリアである。

In addition, CsMPs are an important carrier by which volatile and low-volatility radionuclides such as U reach the environment.

結論部分でもウランが出てきます。念のため英語の部分も載せておくと、そんなにおかしな訳ではなさそうな。CsMPsがウランのようなα線核種を引き寄せて、より危険なものになると言ってるような。
深読みしすぎですかね。

九大宇都宮グループのCsMPs論文が発表されました。 [原発問題・ホットパーティクル]

九大宇都宮グループが貴重な論文を発表してくださったので、さっそく記事にします。
http://www.nature.com/articles/srep42731

まず要約部分

2011年3月の福島第一原子力発電所(FDNPP)での原子力災害により、三つの原子炉の部分的な溶融が起こった。メルトダウンの間、未知のプロセスによって反応器内部に形成された一種の凝縮粒子、セシウムリッチ微粒子(CsMP)。ここでは、FDNPPの近くで発見されたCsMPの原子分解能電子顕微鏡に基づくメルトダウン中の原子炉内でのCsMP形成の化学的および物理的プロセスを報告する。全てのCsMP(2.0〜3.4μmのサイズを有する)は、SiO 2ガラスマトリックスと、広範囲のCs濃度(Cs 2 O として1.1〜19重量%のCs)と関連する〜10nmサイズのZn-Fe-酸化物ナノ粒子)。微量のUもZn-Fe酸化物と関連している。CsMPsのナノテクスチャは、重大なFDNPP事故のメルトダウン中に複数の反応プロセスステップを記録する:CsOHおよびCsClを含む様々な空中核分裂生成物ナノ粒子を組み込んだ溶融燃料(溶融コア) - コンクリート相互作用(MCCI)は、SiO 2原子炉圧力容器の破損に起因するZn-Fe酸化物ナノ粒子の凝集体上での凝縮。それでもなお、CsMPは、Uなどの揮発性および低揮発性の放射性核種が環境に到達するメカニズムを提供し、FDNPPを取り巻く現在の環境でCsおよび放射性核種の移動モデルで考慮されるべきである。

微量とはいえウランがありますぞ。

前書きの抜粋

今まで、FDNPP反応炉で起こった反応は、間接的な証拠に基づいて推論されただけである3。燃料の温度が2200 Kの上に上がったときに放射性Csが照射された燃料から解放されたと考えられている8冷却システムは、ユニット#1-3でシャットダウンした後。他の放射性核種は、それぞれのボラティリティに応じた量で放出された9のではなく、主にUOで構成されていた核燃料中のそれぞれの見積存在に基づく量で2 8、10。したがって、放射性Cを含む核分裂生成物(FP)の大部分は、損傷した原子炉内に依然として残り、冷却水11と接触している。適切な廃炉プロセスを実施するためには、原子炉12内の放射性核種の物理的および化学的状態を理解することが極めて重要である。燃料のより少ない量またはnoneは、ユニット#2に溶融受けながら具体的には、照射された燃料の大部分は、ユニット#1、#3に溶け3、13。溶融炉燃料圧力容器(RPV)の底部に溶融した燃料が蓄積し、最終的にRPVが破裂し、一次封じ込め容器(PCV)14のコンクリートペデスタルとの反応が起こり、溶融炉心コンクリート相互作用MCCI)15。原子炉におけるMCCIの程度と溶融燃料の状態についてはかなりの不確実性が残っている。

メソッド

サンプルの説明

サンプリングキャンペーンは2012年3月16日に実施された。Ottozawa土壌サンプル(OTZ)は、福島県二葉市大隈町のFDNPPの約4km西に位置する水田の土壌の上部約1cmから採取した。

地上1m上の放射線量は84μSv/ hであった。コリノの砂利サンプル(KOI)は、集合住宅の排水管の下に集められました。その家はFDNPPの南西に2.9キロ離れている。排水管の下の放射線量は、周囲に比べて極めて高く、630μSv/ hと高いサンプリング面積があった。砂利のサンプルは、手でシャベルを使って地面から慎重に収集し、ビニール袋に入れた。水産養殖センター(AQC)の土壌試料は、FDNPPの約2km南に位置する養殖センターの側溝から収集した

事故の一年後に採取したサンプルで、二葉町とはなってるけど、地図からすると大熊町の中ですね。

ガンマ分光測定

134 Csと137 CsMPsのCS放射能をガンマ分光法を用いて決定しました。福島の表層土壌から得られる〜400ミクロンの大きさの追加のマイクロ粒子の放射能を正確に筑波大学、日本の放射性同位体の中心部で決定された、とのための基準点の試料として使用した134 Csと137 Csで構成されています。点源基準の放射能は、2015年9月29日現在、134 Csでは23.9 Bqであり、2015年9月29日では137 Csで94.6 Bqであった。放射能の測定は、ゲルマニウム半導体検出器GMX23、GMX30およびGMX40を用いてCsMPおよび点源標準(すべてSEIKO E&Gから)を九州大学の放射性同位元素の中心に設置しました。取得時間は、KOIサンプルではGMX30を使用して12,305秒、GMX40を使用して、OTZサンプルについて86,414秒; GMX23を使用してAQCサンプルの場合は263,001秒です。

95ベクレルと言うのはけっこう高めです。

結果

CsMPsはFDNPPから4km以内の3つの試料、すなわちKoirinoの集合住宅の砂利土壌、水産養殖センターの側溝とOttozawaの水田土壌(図1)の土壌で発見された。サンプルは、以後、それぞれKOI、AQCおよびOTZとラベル付けされる。CsMPの放射能および関連するパラメータを表1に要約する。134 CS / 137サンプルのCsの放射能比は約OrigenArpの計算による〜26 GWD /トンUに相当する1.04の平均で、0.97から1.1である18。単一の反応器内の照射された燃料内でさえも異質性のために、同位体比または放射能比のみに基づいて源反応器単位を決定することはできなかった。2.6g / cm 3の密度を有するSiO 2ガラス19の放射能が9.5×10 10から4.4×10 11(Bq / g)まで変化すると仮定して計算したCsMPsの単位質量当たりの放射能は報告された値と同等である東京からのCsMPのために20


うほグーグルさんの訳ではくたびれると思いますので、ここで一回休憩しましょう。後半部分の方が画像があるので、重要さがわかってくるでしょう。

原子力学会春の年会で「CsFeSiO4の蒸発挙動の雰囲気依存性評価」という発表に注目しましょう。 [原発問題・ホットパーティクル]

なんとなく勘でこの発表はセシウムボールに関係がありそうな気配を感じていましたが
表題の発表はここの中にあります。
http://www.aesj.net/document/2017spr_program.pdf

3月27日(月) 14:45~16:25となってますが、行くことはないな。
で、
304ステンレス鋼に化学吸着された水酸化セシウムの表面分析
http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/search/servlet/search?5054860

という研究発表があって、今回の学会発表メンバーとほぼいっしょです。これだけだとなんのことだかわかりにくいのですが、CsFeSiO4で検索するとこちらにわかりやすいものがありました。
http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat05/pdf/fukushimaR&D2015.pdf

ページ数が多いのですが、11、12ページの
1-1 炉内で起きたことを実験 ・ 計算により評価する⑴
がそうです。

すごくコピーがしにくいので、キャプチャで失礼します。
CeFeSiO4.png

廃炉のための研究とはありますが
「一例として水蒸気雰囲気中1000℃で Cs を化学吸着させた 4.9wt% Si 含有 SUS 試料表面の SEM/EDX 分析結果を図 2 に示します。Cs と Si が同様の分布を示していることから、既往報告と同様に、Cs と Si を含有する化合物が形成されていることが示唆されました。」
セシウムボールの生成の原理を実験してるような気もします。メルトダウンだと1000度では低すぎるのですが、これまでの分析結果などと綜合すれば、セシウムボール、CsMPsの分析も一気にすすむでしょう。
このPDF2015年版ですか、2016年のもあるのか。他の内容も注目すべきものが多いですね。

チェルノブイリでもセシウムの含有量の多いホットパーティクルの再飛散があってる。 [原発問題・ホットパーティクル]

それほど新しい情報でもないのですが、みーゆ@リケニャさんのツイッターでホットパーティクルに触れていたので取り上げさせてもらいました。

https://twitter.com/miakiza20100906/status/823377575867125762

でこちらの論文

Resuspension of coarse fuel hot particles in the Chernobyl area
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0265931X00000813

ホットパーティクルと出てますが、ウランやプルトニウムには触れてなくてセシウムがメインです。
コクラン等のホットパーティクル仮説は核兵器がメインでしたので、ウランやプルトニウムの成分の比率にこだわりがありましたが、チェルノブイリからは、定義としてはそういうこだわりはなくなったということなのでしょうかね。

またグーグルさんのお世話になりますが

12Bqの粗い燃料高温粒子が示されている フルサイズ画像(<1 K)粒子あたり。同じ実験中に、3μmより大きく、6μmより大きく、幾何学的直径が9μmより大きい燃料粒子を有する3つのサンプルを同時に収集する、新たに設計された回転アームインパクタを用いて粒子をサンプリングした。γ-スペクトロメトリー後に測定された放射性核種比は、事故の瞬間におけるチェルノブイリ原子力発電所の放射性核種組成の理論計算と、事故後の初期の土壌中の測定された高温粒子とよく一致した。空気中の熱い粒子の数濃度は、デジタルオートラジオグラフィーから得た。風の再懸濁、千メートル当たり2.6粗ホットパーティクルの最大濃度を3と農業活動中の千メートル当たり36粗熱い粒子3を測定しました。単一の高温粒子の幾何学的直径は6〜12μmと推定された。

うーむわからん。辞書を鍛えればもっと日本語らしくなるらしいですが、ちと時間なくこのまま使います。「風の再懸濁」For wind resuspension は、地表または地中にあったものが再飛散したことを意味しているのでしょう。年数がたったからと言って安心できないということでしょう。
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